第二話 物語は一度落ち着きを取り戻す。
「ん……」
ここは……?
うつ伏せに倒れていた俺の意識を覚醒させるのに一役買ったのは───
「寒っ」
周りを見渡すと、見覚えのある家具、朝急いで家を出たせいで、片付けられずに机の上に置き去りになった食器。
「俺の家か」
俺はリビングの床に寝転がっていた。家に帰ってこれたはいいものの、そのまま倒れ込むように寝ていたらしい。
せっかく帰ってこれたのだし挨拶くらいはしないとな。
「ただいま」
返事はない。一人暮らしだから当然なんだけれども。寂しいとか言わないで。辛いから。
部屋の電気をつけ椅子に座った。とりあえず一息着き大きなため息をひとつつく。時計を見ると0時を少し回ったあたりだった。
「あれは……なんだったんだろう。」
何もわからず突然あの不思議世界に飲み込まれて……あ、違うわ。門は自分でくぐったわ。
結局出てこられたからよかったものの、一歩間違えばあの世界の住人になっていたわけで。それにあの黒猫……誰かに似てた気がする。いや猫だから誰猫?
今回はとりあえず帰って来れてほんと良かった。
にしても……
「腹減ったなぁ」
仕事帰りに晩御飯を買って、誘拐(?)され気づけば夜中。そりゃ腹も減るだろう。腹減ったけど……疲れたなぁ……。もう寝よ。明日片付けもやればいいや。やべ、風呂入ってないや。
コンコン
「え?」
玄関をノックする音が部屋中に響く。もう夜中なのに誰なんだ。
コンコン
あ、いやそもそもなんでノック?インターホンあるだろ。
コンコン
わかったわかった!なんだ、急ぎの用か?
「今行きますから!」
上から一枚、薄手の上着を羽織り玄関へと向かう。インターホンも押さずにノックするのは一体何者なんだろなぁ。
俺は眠たい顔を隠しもせず扉を開けた。だって眠たいもん。はよ寝たいもん。
「あの、何か用ですか?もう疲れてて早く寝たいんですけど」
「うにゃ〜」
猫……猫!?また猫か!今日はつくづく縁があるなぁ猫!あれ?この黒猫、尻尾に髪留めが。
「なんなんだ猫ちゃん。今日いたろ、あの道にさ。ってあれ?あの場所にいたんならお前も向こう側……じゃないのか?」
それにかぼちゃとかたこ焼きとか、どうしたんだ。
「にゃ〜」
「あ、いや、にゃ〜じゃなくて、たこ焼き……食ったのか……?」
もし、食べていたのならこいつがここにいるのはおかしい。なぜならあそこは……生あるものが紛れ込むような場所ではないから。
「はぁ……。まぁいいや。ここにいんだから生きちゃいるんだろ。こんな時間に来たってことは多分行くとこもねぇんだろ。あがってろ」
猫は言われるがままなのか勝手気ままなのかはよく分からないが、部屋に入り布団に潜り込んでいた。
「そこは俺の特等席だ。勝手に入るな。俺も寝たいんだ」
そんな言葉に耳を貸す素振りもなく猫はすやすやと眠り始めた。その姿は、別に動物好きでもない俺がもふもふしたい、なんて気の迷いを抱くほどには……可愛かった。
もう……いいや。俺も寝よ。
「また明日な。おやすみ」
声に反応したのか愛らしい寝顔の黒猫は小さな耳をピクリと動かし、今度こそ静かに眠りについた。
お久しぶりです。
お芋の人です。
前回ハロウィンにかこつけてお話を書き、エピローグでも書くかと手を出したはいいものの、全く進まず気づけは春休み目前。
前回きのこたけのこ戦争の話をしたので今回も食べ物の話を。
いつかやろうと思ってはいたものの、コンビニでさけるチーズが見つからず作ることのなかったじゃがありご。
私が作った時はチーズ味のじゃがりこにさけるチーズ1本分ぶっこんで、熱湯入れて3分。
あとは混ぜるだけ!!だったはずが何故か混ざらん。上手くまざらん。無理やり混ぜて食べたら……すげぇ!これ美味い!!!とか手放ししに褒められるものではなく無駄に胸焼けして終わりました。
……これ普通に食べた方が美味しいよね?
とそんな無駄にしたさけるチーズとじゃがりこのお話でした。
さて、次回はと言いますと、
黒猫が男の家に遊びに来た理由やその後黒猫と男の生活を短くダラダラと書き連ねて行こうかなぁ〜なんて思ってますので、猫と不思議な世界でお待ちしております。