5話 初めてのサボり
「じゃあ、ご飯は作っておいたからお昼食べてね。」
母は扉越しに言っていたが、俺はずっと枕に顔を埋めていた。ガチャンと母が出かけるのがわかると同時に自分が情けなく、申し訳ない気持ちでいっぱいになり涙を流し、泣き喚いてしまった。
そしてそのまま眠りについていた。
「ん゛ー」
呻き声をあげ目を覚ましたのが13時。母はいつも8時に出かけるからだいたい5時間寝たことになる。お腹が空いて起きるということがあるがそれよりは膀胱が限界に達していたので起きた。だからまずは起き上がってトイレに行った。
トイレを済ませてリビングに行くとテーブルの上にはラップがされたおかずと手紙があった。
「チンして食べてね。ご飯は炊飯器にあります。」
テレビをつけると普段学校で見ることがないヒ◯ナンデスや昼ドラをやっていた。よく風邪になった時に昼の番組を見ることがあるが、今回は学校をサボって見るテレビになる。そう考えて、改めて学校をサボったことを実感した。
俺は学校をサボったことが1回もなく、休むといったら風邪を引いた時ぐらいだった。皆勤賞が小学校では1回、中学校では2回あって比較的真面目な方であった(成績は良くないが…)。特にいじめられてもいなかったので学校に行くのも苦ではなかった。苦ではなかったのだが行く理由もなかった。友達もいなくて、いじめられてもいないから存在意義というものがなく、空気のような奴だった。だから俺が死んでも「誰そいつ」「そんな奴いたっけ?」となるのがオチだろう。俺が死んでも悲しむ人などいない。
そんなことを考えながら昼食を食べ終えて、部屋に戻った。ゲームをしようとしたが、サボっている身でそれは最低すぎると思いとどまり、ベッドで横になった。
「……暇だ」
結局何もすることがなく、天井を眺める。今後について考えないと。
お母さんとの交渉においていけなかったことは何だっただろうか?
辞めたいと確かに言った。しかし母はやめてほしくないと思って、俺に対して説得を始めたが、それでも俺は辞めたいと伝えた。その後は…どうなった?
確か、お母さんに「早く寝なさい」と言われたんだ。それに対して俺は頷いたんだっけ?
あぁ。その時は確かお母さんの対応に無意識にビビってしまったんだ。お母さんは俺に対して早く寝るように2回も促していた。1回目は学校を辞めたいと言った後、2回目はお母さんの説得に対してそれでも学校を辞めたいと言った後だ。2回も同じことを言ったお母さんに対して俺は『嫌われる』って思ってしまったんだ。怒られてしまう、呆れられてしまう、色々なことを考えてしまって、お母さんの促しに従ってしまった。
結局俺がちゃんと向き合って話合わず逃げてしまったんだ。改めて自分がクズだと思う。その時そこで引かずにちゃんと話し合っていれば、中途半端な気持ちのままになっていなかったかもしれない。また逃げたんだよお前が。何回も何回も昨日だって。死ぬためには1人でいろんなことをしないといけないから変わろうと思ったのに、5分としないうちに逃げたんだよ!本当にクズ野郎だよ!……もう自分自身が大嫌いだ。早く殺してしまいたい。
自分が悪いことを自覚して、ボーッと天井を眺めていた。時計を確認すると17時になっていた。以外に時間が経っていたことに驚いたが、お母さんが帰ってくる時間まではまだある。何かできることはないだろうか?
ふとテレビでやっていたことを思い出した。交渉において必要なことは事前準備だと。確かに、昨日は説得するのには無計画だったのと、決意が足りていなかった。まぁ肝心な『やりたいこと』についてはお母さんには正直に言えないが、ある程度言うことを考えておこう。後は……今度こそは絶対に逃げない。絶対に。
ちゃんと今夜でケリをつけよう。
カワセミです。
先週は更新できなくてすみませんでした。専門学校が結構忙しいので度々このようなことがあると思いますが、今後もよろしくお願いしますm(_ _)m