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リレー小説「再会」(仮)  作者: Meu × J.H
5/11

5(by Meu)

バーテンダーが、

「あちらのお客様からです」

真里が見ると、先ほどマティーニをご馳走してくれた、ハンチング帽にサングラスの男性が、相変わらず笑顔で飲んでいる。それは、焼酎のお湯割に見えた(グラスから湯気が立ち上っていた)。

「いつから、音楽のプレゼントのサービスなんて始めたの?」

「本日からです」

バーテンダーが答えた。そんなの、聞いていない。真里は、違和感を覚えた。が、気にしないことにして、更に尋ねた。

「あの人、どんな人?」

「ああ、なんでも、全国のいろんな酒場を巡っているとか。私も、詳しいことまでは存じ上げないのですが」

「そうなの」

真里はそう言ったが、さしあたって興味があるわけでもなかった。

「よく聴いたよな、この曲」

「そうね」

二人は、かえって気まずくなってしまった気がしていた。初めてタケシが真里に勧めてくれたのもこの曲だったし、二人が同棲していた時もよく部屋で聴いて踊りあっていた。おまけに真里の脳裏には、タケシに抱かれる時にも、よく、その曲が流れていた光景が浮かんでしまっていた。


「なあ、やっぱり、他で飲み直さないか?」

タケシがこう切り出した。

「何言ってんのよ、アンタ。軽い女呼ばわりしたのは、そっちじゃない」

真里は憤りを隠さなかった。彼女はそうやって、なんとか自分のペースに持って行こうとしていたが、なかなか、きつくなっていた。なぜなら、彼女もまたこの曲を聴いて、彼と飲み直したくなっているのもまた、事実だったからだ。

「アンタ、明日早いんでしょ。それに、彼女のことはいいの?」

「実は俺、彼女と喧嘩しててさ」

「はあ?なにそれ。そんな相談、聞きたかないわよ」

真里はあくまでも強気に出ていた。

「…まあ、いいわ。付き合ったげる。で、どこかいい店あるんでしょうね?」

「この辺りに、悪くない個室居酒屋があるんだよ。よかったらそこで飲み直さないか?俺がおごるからさ」

「わかった」と真里は頷いた。

「チェックお願いします」

真里とタケシは会計を済ませると、次の店に向かった。

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