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リレー小説「再会」(仮)  作者: Meu × J.H
3/11

3(by Meu)

「恋愛は?という意味なら、答えはノー。タケシが最後。仕事の方も、相変わらず、OL続けてる」

「そうか、本当に変わってなさそうだよな、お前。ま、とりあえず、再会を祝して、乾杯」

真里は、タケシのグラスに、マティーニを軽く合わせた。

タケシはさらに、こう訊いてきた。

「で、音楽の方は、どうなの?ハウス聴いてる?」

「そうね、今でも、DJ KAWASAKIとか、KYOTO JAZZ MASSIVE聴いてる」

どちらも、タケシが、クラブが初めての彼女に教えてくれた、クロスオーバーと呼ばれる種類のジャンルの有名アーティストだ。

「もしかして、俺に、まだ未練があったり?」

「あるいは」と真里は答えた。思いがけない答えに、タケシは戸惑いを隠せなかった。

「冗談だろ」

「冗談に決まってるでしょ、やあね」

真里はニヤついた。なんとか、相手のペースに巻き込まれないようにしているのだ。それが、彼女の中での、このバーでのルールだった。声をかけてくる男と話すのは好きだが、一旦男にペースを握られると、ろくなようにならないことを、真里は身をもって知っている。好みの男にいいように口説かれて、一回寝てみたら、後は音信不通。なんてことも、一度や二度ではない。彼を他の男と同列に見ているわけではないが、彼女は、誰が相手でも、頑なにルールを守ろうと決めていた。

そうはいっても、動揺を隠そうと、つい、マティーニのペースが早くなる。彼女は、無意識に、飲み干してしまった。

「それで、どうなの、タケシの方は」

「俺?俺は相変わらずよ。DJの方は。結構、集客増えたんだぜ、俺のオーガナイズイベント。前は小さなハコでやってたけど、今は、代官山AIRとかでやってる。あそこももう、潰れちまったけどな」

「ふうん。そうなんだ。頑張ってるね。…それで、恋愛の方は、どうなのよ」

「聞きたい?」

「何よ、もったいぶって。あんたらしくもない」

と言った真里は、そんなところも変わってしまったの?と、いくぶん寂しさを覚えた。

「俺、彼女と同棲してるんだよね」

「ふうん。いつから?」

「お前と別れた、1年後かな。お前と同じように、クラブでオロオロしてた子だったよ。話すうちに、成り行きで付き合って、成り行きでこうなった」

「何よ、私の時とまるっきり同じじゃない」

真里は、わざと大げさに苛立って見せた。

「おいおい、いいじゃないか、そんなこと」

「冗談よ、冗談。そんなことより、どこかで飲み直さない?」

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