2(by J.H)
「真里、だよな・・??」
真里は振り向いた瞬間、
手に持ったマティーニのグラスを落としてしまいそうなくらいドキッとした。
そこにいたのは、
タケシだった。
つい数年前までいつも
一緒にいた恋人。
元カレというやつだ。
約3年ぶりの再会だった。
真里は動揺した自分を隠す様に何も答えず、またマティーニを口に付け、クールに装った。
タケシは真里の隣に座り
「俺はそうだな、
マッカラン、ロックで」
真里はマティーニを吹き出しそうになった。
タケシは微笑みながら、
「何がおかしいんだよ?」と真里に突っ込んだ。
「だって、カシスオレンジしか頼まない人がマッカランって。随分、大人になったのね」
真里は笑いながら、言った。
しかし、それと同時に多少の寂しさを感じてしまったのも事実だ。
昔はデートでも、パーカー、デニム、スニーカーを履いて待ち合わせ場所に立っているのがお馴染みだったのに、今、目の前にいるタケシは、黒のハットを被り、重そうなレザーのライダースを着て、スキニーパンツとブーツを履き、全身黒でキメている。
随分、変わってしまった。
そんな事を真里は思っていた。
タケシとの出会いは
新宿のクラブだった。
彼が「DJ TAKE」としてオーガナイズイベントをしていた頃、友達に誘われて仕事帰りに遊びに行った。
初めてのクラブに真里は戸惑っていたが、そんな時、気さくに声をかけて
くれたのが、タケシだった。
「お前、最近、どうなの?」
真里はハッとして、我にかえった。
タケシはマッカランのグラスを回しながら、真里に言った。
と、
真里は、こう応えた。