11(by Meu)
野菜しか入っていなかった。
「山岡さんとやら、野菜しか入ってないなんて、ゲスの極みだよ、野菜以外野菜じゃない」
オヤジがため息をつく。
「まあ、苦情は食ってから受け付けるぜ」
山岡が促す。
真里が、まずスープから口をつけた。
「…ああ、なんという濃厚なスープ!それでいて、後味があっさりしているわ」
続けて彼女は野菜を食べてみた。
「すごい、ゲスの極みだけど、野菜以外野菜じゃない!」
思わず、当たり前のことを口にした。
オヤジが慌てて、ラーメンに飛びついた。
「なんだ、このスープは!山岡さん、あんた只者じゃないな」
タケシもラーメンをすすると、
「山岡さん、俺にこのラーメンの秘密を教えてくれ!」
「それは簡単には教えられないな、おっと、ゆう子から電話だ」
山岡は、バーを一旦出て行ってしまった。
「それはそうと、さっきのライン、誰からなの?卒論がどうとか書いてあったけど」
「なんでもないよ、ははは、覗くなんてルール違反だ」
タケシは焦った。
「まあいいわ。ラーメン対決の勝負はついたようね」
「ああ、悔しいが、山岡さんの勝ちだ」
オヤジが頭を抱える。
そこに、バーテンダーが口を挟んだ。
「あの、ちなみに、山岡さんは、既婚者ですよ」
「え、そうなの!残念」
真里が呻いた。
そこに、山岡が戻ってきた。
「悪かったね。じゃあ、このラーメンの秘密を教えてやるよ」
山岡のラーメンの秘密は、なんと、これだった。