10(by J.H)
山岡は慣れた手付きで野菜を切り始めた。
オヤジは
「・・あんた、一体何者なんだ?」と不思議そうな目で見ている。
タケシは、真里の横顔を見ながら、美味いラーメンを食べさせてやれない自分を心の中で責めていた。
と、タケシのスマホがブルッとバイブ音を立てた。
画面を見ると、
Lineの通知が来ていた。
タケシは冷静な顔をしていたが、内心背筋が凍りそうであった。
「どうしたの??」
いきなり、真里がスマホを覗き込んだ。
タケシは慌てて、
「いや、何でもない。ゴメン、俺、ちょっとトイレ。山岡さんの事、代わりに見ててくれ」といい足早にトイレに向かった。
真里はそんなタケシをポカンと見ていた。
トイレの個室の中で、頭を抱えてタケシはうずくまっていた。
Lineは「サヤカ」からだった。
このサヤカはタケシが同棲している彼女ではなく、友達の紹介で知り合った
JDだった。
タケシは今朝、サヤカに
「ゴメン、中々会えなくて。ホント心が苦しい。早めに卒論出すから、それまで待っていて欲しいな」とLineしていた。
タケシは35を過ぎていたが、見た目が童顔なのもあり、サヤカには同じ大学生だと嘘をついていたのだ。
サヤカからのLineには、
「うん!大丈夫!待ってる!卒論提出、出来たらタケちゃんにいっぱいワガママ聞いてもらおーっと 笑」
と書いてあった。
タケシは彼女がいながら二股をし、しかも、今は元カノである真里とも一緒にいるのだ。
唖然としながら、
トイレを出ると
「さぁ、出来たぞ。食ってみてくれ」
山岡はカウンターにラーメンを出した。
それを見て、真里とオヤジは驚いた。
なんと、そのラーメンには・・