68
ピンクな描写が含まれております。
嫌われる方は今回の更新分は見送っていただけますようお願いします。
次回更新分の前書きに、今回の概略を三行で書く予定です。
なお、怒られたら消します。
濃厚な血の臭いが部屋中に広がっている。
原因は、目の前にいる魔獣。
三尾の狐族を象った、人型の魔獣だ。
相手は気だるげにこちらを睥睨し、尻尾をゆらゆらと揺り動かしている。
奴の魅了の範囲がどの程度かは分からない。
だが、部屋の中に入った兵士達が全員死んで、部屋の外の俺が無事だというのならば、大して広いわけでもなかろう。
だとしても、奴が踏み込んでくれば。射程内に捉えられれば、敗北は必至。
全力で殺しに掛からなければ、俺も無残に散らばる死体の仲間入りだろう。
色々と啖呵切った手前、情けない姿は見せられない。
背後関係やら奴の事情を洗い出す、なんて甘い考えは捨てた。
既にあいつは俺の逆鱗を踏み抜いている。
生きている人間を蔑ろにし、踏みにじり、尊厳を破壊した。
だからこそ、決めるのは一瞬だ。
相手の頭を爆砕するイメージを、直接叩き込む。
影なら辺りにいくらでもある。想像するものはスチールボール。建物を解体する際、鉄筋コンクリートを豆腐のように破砕する鉄球だ。
俺の頭上に、大質量の物体が現れる。
それを、余裕ぶっこいてやがるあの雌狐にぶち込む。
それだけをイメージする。
さぁ。
行け。
―――ゴゥッ!
魔力の奔流とも言うべき空気の流れが、一時的に血臭を消し飛ばす。
そして狙いは寸分たがわず、スチールボールは狐魔獣の頭に到達し。
「無粋じゃの」
何の成果もなく、影そのものが消滅した。
「なっ!?」
唐突に灯された明りに、周囲の影が一時的に消滅したのだ。
やられた。まさかそんな防御法を使ってくるとは。というか、それで消えるのか。
「主が影を媒体にした、不思議な攻撃方法を取ることは調査済みじゃて」
人型の魔獣。知識を蓄積し、伝達する特性。それを甘く見ていた。
そうだ。奴の情報網は洗脳された人間から与えられるもの。誰かが見ていれば、いずれ耳に入る。洗脳された奴らが街中に散らばっている理由が分かった。こいつは、街中全ての情報を把握している。
理解したところで、現状手遅れなわけだが。新たな手を考える必要があるのか。
ゆっくりと顔を傾けた雌狐が、その双眸に俺を捉える。
瞬間。
脳みそが撹拌されるような衝撃に、膝をつく。
「がっ、あ……!?」
これが魅了の力だと? ふざけんな、ただただ苦痛を与えられるだけじゃないか。
魅了っつーより、むしろ脳を破壊して、命令しか受け付けないような状態にしてるだけなんじゃねぇのか。
だが、我慢できないほどではない。
片手で、ぐらぐらと回る頭を押さえつけながら立ち上がり、狐魔獣を睨み付ける。
なるほど。効果範囲は視界か。先ほどは兵士達が壁になって、俺を視界に捉えられなかった、と。
「ほう。耐えよるか。愉快愉快」
からからと笑う姿に、しかし余裕はなく。
自慢の手法に水を差されたとでも言うかのごとく、獰猛な笑みを浮かべている。
だったら、こちらも笑ってやろう。
「生憎、根性には自信があってな。世の中大抵、気合でどうにかなるんだよ」
まぁ虚勢だけども。気を抜けばゲロを吐きそうだ。相手は魔獣。防御能力は特筆すべきものであるが、それは攻撃能力の欠如を意味するわけではない。
そもそも人間なぞ、レンガで頭を殴り続ければ死ぬような脆弱さだ。
防御能力の高い体躯、つまりはそれだけ頑強な物質でひたすら殴り続けられればあっさりと死ぬし、行動不能になったところに刃物でも突き立てられれば一瞬で終わりだ。
「それならば根競べと洒落込もうかの? 妾の魅了と主の根性。どちらがより強靭か、の」
「はっ。上等だよ」
まともにやりあうわけねぇけどな。
言葉を交わしながらも、奴に一撃入れられる隙を探す。
いっそのこと床でも壊せば良いのかもしれないが、それでうっかり地下が埋まったら一大事だ。
横方向に吹き飛ばすような、この場で使える何か。
一番使いやすい影は、相変わらずの照明具によって封じられている。
せいぜい自分の懐から何かを取り出すくらいにか使えそうにない。
最低限、武器だけでも出しておきたいが。
脳裏に、映像が蘇る。
武器を構えた瞬間に、自らの首を貫いた兵士達の姿。
恐らく、魅了が効いた瞬間に自死でも命じられるのだろう。
よって、無手。あるいは魔法でどうにかしたいところだ。
「意外と耐えおる」
「あ? 何を訳わからんことほざいてやがる」
さっきから、甘ったるい匂いが強くなっている気がする。
いや、当然か。先ほどまでよりも、狐魔獣の姿が近くに来ているのだから。
……え?
「じゃがのう。ここまで近づいておるのに気付かないのじゃから、やはり限界なんじゃろうて」
「え、あ」
既に目の前に、狐魔獣が接近していた。
思わず突き飛ばそうとするが、俺の手は何かに遮られたかのように止まる。
これが魔獣の防御能力か、と思っていると。
そのまま腕を絡め取られ、奴の顔が近づいたと思った瞬間。
「んっ」
「んんー!?」
唇を塞がれた。
いきなり何を。
混乱する頭で、しかし何かの危機感を覚え必死で口を閉じる。
歯を食いしばり、口を引き結び、入ってこようとする異物に対し抵抗する。
しっかりと腰に手を回されているので離れることが出来ない。
相手を跳ねのけようとするも、全て防御能力に遮られる。
啄むようなキスを何度も浴びせられ、唇をねっとりと舐め回される。
幾度かのキスの後、再び長く唇を塞がれる。
その状態で唇がチロチロと舐められ、むず痒さにほんの少し力が緩む。
その瞬間を逃さず、奴の舌が唇を割って侵入してくる。
「んん!?」
歯の根を撫でるように舌が蠢く。
前歯から一本一本、少しずつ奥へ、奥へと。
背筋がゾクゾクする。
舐められるたびにピリピリとした感覚が走り抜ける。
丁寧に、丹念に、執念深く。
食いしばる力が、少しずつ抜けていく。
何度も意識が飛びそうになるが、すんでのところで踏みとどまる。
だが、執拗な責めについに顎の力が緩む。
ぬめりとした感触が口内に入り込む。
「ん、ふ」
「むぅ、ぐ、ん、む!」
これまでよりも強い感覚が全身を駆け巡る。
何だこれ、こんな感覚知らない。
言い知れない感覚に恐怖を覚え、全力で魔獣から離れようとするも、無為に終わる。
何度も拳を叩きつけ、両手を突っ張り、上半身を反らせようと。
そうしている間にも、狐魔獣の蹂躙は続く。
歯の裏を、歯茎を。
ゆっくりと、ねっとりと。
「ん」
「ふ、はぁっ、ん」
息苦しさに、涙が滲む。足に力が入らなくなる。
倒れそうになる体を、狐魔獣が支えている。
ようやく、魔獣の舌が口内から引き抜かれる。チロリと出した舌から、唾液の糸が伸びている。
助かった?
喘ぐように酸素を求める。
しかし次の瞬間、再び魔獣が口を塞ぐ。
今度は歯を閉じるのが間に合わず、最初から舌が侵入してくる。
「むぅー!!」
「んっふふ」
視界一杯に映る狐の顔が喜悦に歪む。
先程までは執拗に歯を舐められたが、今回は舌に刺激が来た。
最初は舌先同士を。
つつくように、跳ねあげるように。
生暖かい新たな感触に、脳髄が痺れる。
溢れる涎が口の端から垂れる。
舌の次は上顎を。
上顎の次は歯茎を。
そして再び舌を。
横から、裏から、絡め取るように。
とろりとした唾液を送り込まれ、飲み込まされ。
瞬間的に顔が離れることがあっても、体を捩ることすら許されず。
いつの間にか、奴が覆いかぶさるように体が倒されている。
両手で顔を挟み込まれ、両膝で腰を締め付けられ、決して逃げられない体勢に持ち込まれている。
「ほほ、愛い奴め」
ぼうっとした視界に、狐の甘い顔が広がる。
こんな奴に好き放題にされている事実に腸が煮えくり返りそうになるが、舐めあげられる舌に、その思考も溶けていく。
顎の力が緩む。
圧力のなくなった口内。歯の一本一本を丹念に舐め回される感触。
意識が全て、そこに持って行かれる。
唾液が送り込まれ、溢れ出し、ピチャピチャと水音が耳に届く。
抵抗は惰弱なものにしかならない。
なんで、こんな、気持ちぃ、ぃ……。
段々と頭が真っ白になっていく。
何も考えられない。
ただ与えられる感触に官能を刺激され。
舌の中ほどをじっくりと舐りあげられる。
ツツと舌先で撫ぜられ、先端まで辿りつくと、今度は側面へ。
円を描くように、小刻みに揺れ動き、軽く差し込まれる。
押し返すように力を込めると、その動きに合わせて引き抜かれていく。
思いがけない動きに、思った以上に舌が前に出る。
「んふ」
狐の笑みがこぼれた。
奴の舌が奥まで入り込み、舌の根元からたっぷりと撫でられる。
「んん~~~~!?」
今までで最大の刺激に、思わず体が跳ねる。
狐が体重をかけ、俺の体を抑え込む。
内側から溢れ出る感覚を逃すことも出来ず、延々と蹂躙される。
意識を失いそうになると、また新たな刺激を送り込まれ強制的に意識を戻される。
どれほどの時間が経ったのか。
朦朧とする意識の中に、声が響く。
――妾に服従せよ。
それは甘い響きを伴って。
熱にうかされた頭に心地よくて。
何も考えられないままに。
――妾に、全てを委ねるのじゃ。
言葉とともに、甘い刺激を感じて。
熱い吐息がもれて。
体じゅうから、ちからがぬけて。
――良い子じゃの。
あたえられるかいらくに。
ながされるまま。
じぶんがなくなって。
――さ、立て。目を開けよ。
ことばのままに。
みをおこし、ひとみをひらいて。
そしてめのまえには。
運命のダイスロール、二つ振って6以下ならバッドエンド! ノクターンルートに!(大嘘)
評価・ブックマークありがとうございます。
誤字脱字のご指摘、感想等よろしくお願いします。




