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39話

「そうですか、それではそこの馬鹿は私からよく言って聞かせておきましょう……ご用件は済んだでしょう?そろそろ東京にお帰りになってはいかがですか?」


「………………」


 男は沈黙している。


 恭介も慇懃な態度で男達を見ている。


 俺だけは地面に這いつくばってその情景をうす暗い視界の中で見ていた。

 

「……よろしいでしょう。それを回収しろ……東京に帰還する」


 男達が『駒墨』を抱きかかえて、立ち去っていく。  


 が、急に足を止めて、


「そうそう斉藤恭介君と言っていたかな?君の名前はよく覚えておくとしよう」


「光栄です……総理に覚えてもらえるなんて」


 全く感情のこもっていない声で光栄の言葉を捧げる。 


 男達はその言葉を受け取って静かに去っていく。


 まるで幻のように現実感のない光景だった。


 そのまま俺は闇よりももっと深い何かに沈み込んでいく。 


 結局何も出来なかったという無力感だけをしっかりと認識しながら……。


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