十一話
俺の住んでいる街は田舎というほど寂れてもおらず、かといって活気にあふれているかというとすれ違う人間達は暗そうな顔で歩き、一定距離ごとに消費者金融の看板が立ちならんでいる。
ゆっくりと外郭が溶けていくように衰退していっているところだ。
敵の襲撃を退けた俺達は一言も喋らずに寂れた住宅街の中を歩いていた。
駒墨は黙って前を歩き、俺はまるで幼児のように後ろをだるそうに着いていた。
なんでこんなことをしなければならないのだろうか?
早く帰って血液臭に包まれた家の掃除をしなければならないのに……というか、あいつの能力を見れば俺の護衛なんか必要ないんじゃないか?
「……ところで」
急に駒墨が立ち止まる。
俺は家についたのだろうかと周囲を見渡したが、辺りには子汚い家ばかりで、しかもその見える範囲の家の玄関は閉ざされて空き家の看板が門番のように玄関口につけられている。
「……どうかしたんですか?」
「ずいぶんとこの辺は空き家が多いのだが?ぱっと見た感じではそんなに条件が悪いとは思えないのだが……何故だ?」
振向く駒墨の目には純粋な疑問が浮かんでいる。
さきほどのあのゾッとするような黒水を使っていたようなものには見えないほどに、彼女はまぶしくなるほど無垢に見えた。
「ああ……この辺は景気が良かったころに無理して家を買った奴が多かったんでしょうね、景気が悪くなって借金のかたに売り払ったんですよ」
「……金が無いと家を売るのか?」
「え、ええ……当然でしょう。金が払えないから家を売るわけですから」
「それじゃどうやって暮らすんだ?」
「そりゃ、安アパートに住むか……命削るほど働くかするんじゃないですか?」




