第6話『BIM』
【涼】
いつまでもつかわからないガソリンの残量を気にしつつ、街の外に脱出にとりかかる俺たち。いつのまにかそれは最悪のドライブと化していた。
「早く出ないとまずいな‥」
「自衛隊も来てるのかしら?」
「自衛隊が?」
「いまはもう自衛軍だ。やつらはただの軍人になっちまったのさ」
涼はこの時間を使っていろんなことを聞こうと思った。
「そういえば、あなたたちは一体‥?軍隊ですか?」
「レンカ、言っても大丈夫か?」
「‥許容範囲で」
「BIM‥バイオ・インターナショナル・マネジメントってゆう国際組織だ。この組織はもともと国連管轄の感染症監視機関だった。WHOがもともと請け負っていた仕事だったが、25年前に起きた'アレ'で専門機関を置くことを国連が決定したんだ。」
「アレって?」
「2081年‥極東アジアウイルスエマージング。いに東アジアの一部で紛争が起き始めた。最初は中国北部、南部、朝鮮半島‥ついには日本まで。だが、紛争が起きたキッカケ、発起人‥全てわからない。ただの暴動で目的もわからん。その時だった、突如いままでにはなかった原因不明の感染症が流行した。どういうことかわかるか?」
「‥?」
「そのなんも目的のない紛争はそのウイルスによって起こされたんだ。」
「えっ?どういうこと‥?」
「つまり、そのウイルスに人が感染し、それによって脳が汚染‥本能で暴力行為を引き起こすって感じかしら。自分の意思関係なく」
「そのとおり。そしてそのウイルスの原因・精製場所を探るために俺たち精鋭部隊が作られた。‥全員で十数人だけどな」
「じゃあ‥スーたちがここにいるのは‥?!」
「察しの通り、ここにそれの用があったのさ。」
「‥‥‥。」
信じられない。こんな平凡なまちで大規模な影響を与えたものが関係してたなんて‥。
「さっきお前が見たもの‥‥あれは調査によるとウイルスが改変されてバケモノになるようになったんだろうな」
「さっき初めて見たけど、恐ろしかったわね‥」
しばしの沈黙の後
「でも、よくここで何かが起こるってわかりましたね?」
「そりゃあ綿密な調査をしてりゃあな。それにな、偶然このウイルスを作ったと思われる野郎の故郷でよ」
「‥!!ほんとですか!??それって‥」レンカ
「はいストップ」
すかさずレンカが口を開く。
「いくらなんでも喋りすぎよ?」
「悪かったな」
2人が少しだけ笑う。
「さぁ、ガソリンが切れるわ。準備して」
そういうとスーは自前のマシンガンを取り出し、安全装置を外した。
「お前も武器持つか?」
懐から短銃を差し出した。
「いや‥俺撃てないし‥」
「ここはもう無法地帯だからバンバン撃てるぜ?護身用に持っとけ」別にそういう意味じゃないんだけど‥と言う前に短銃を受け取ってしまった。
「撃つときはそこの安全装置を外して狙いを定めてトリガーを引く‥それだけだ」
スーがにこやかに言う。と同時に車が止まった。
「ガス欠よ」
「うっし、じゃあ行くか」
車を降りた俺たちはその場をあとにして、街の脱出に向かった。