第5話『自衛軍』
【柏木】
訓練終了!!
その掛け声と同時に俺たちは整列した。
「今日の訓練はここまでとする。いよいよ明日は専攻課目訓練最終日となっている。心がけて明日は挑むように!」
今日は一段とハードな訓練だった。最近この忙しい毎日を日記に残している。初日のページには自己紹介文。
柏木祐介・21才
陸上自衛軍兵士
専攻課目は航空スクランブル戦闘‥‥
2年前に陸上自衛軍に入ってそれからは毎日が訓練だ。明日は専課訓練最終日‥‥そうすればもう立派な自衛軍兵士となる。とは言ってもどうせしたっぱだけど。
最終日を明日に控え、今日はゆっくり寝ようと思い消灯前にベッドに入った。
「そういえばもう8月も終わりだなぁ‥」
カレンダーを片手にふと思った。
「なぁに思い更けちゃってんの?祐ちゃん」
二段ベッドの上から頭だけ下ろして除きこんでくる。彼は東郷一則一等兵で同期、相部屋なのでいつも仲良くしている。
「今日が8月29日だろ?あと2日しかないもんなぁ」
「こういう時期ってよ、小学生のころ宿題に追われてたな」
「だからちょっとした名残でうつになっちまうよ」
少しの笑い話あと‥
「明日終われば、外出もできて少しだけ自由だ」
「そしたら飲みに行こうぜ、2人でよ!」
「おめぇ俺たちいつも2人じゃねぇか!!」
「まぁな‥‥じゃあ俺の故郷にも連れていってやるよ」
「ほぉ!どこだ?」
「たぶん知らねぇだろうな‥D県の‥‥」
っとこんな感じでいつも話が弾んでいた。でもそのとき普段聞くことがない音が流れた。
ジリリリリリ!!!
『警報!D県にて暴動発生。防衛省が自衛軍の派遣を決定した。隔離対策のため第一・第二師団及び課目航空スクランブルを専攻している訓練生は直ちに第5滑走路に集合せよ』
放送が流れた途端廊下からは慌ただしい音が聞こえる。
「なんだなんだ?!」
「D県って‥‥」
俺と東郷は同じものを専攻しているため第5滑走路に急行した。
着くやいなやすぐに兵装した。
「これから、内閣総理大臣直下命令によりD県に向かう。作戦内容は現地に向かう途中でおって説明、第一師団、専攻は特殊兵装済F-15戦闘機で、第二師団は‥‥‥‥‥」
「おい、顔色悪いぞ?」
「D県に俺の故郷があるんだ‥‥」
「なっ‥」俺は信じられなかった。D県なんておっきい都市なんてないし、全体的にあまり取り柄のない場所だ。
「でもお前の故郷の町かどうかはわかんないだろ?」
「ま‥まぁ確かに」
「名前は?」
この町の名前を言うのは何年ぶりになるだろうか?言ったってだれも知らないんだ‥。
「‥‥鳥見町。」