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幻惑世界  作者: KOM
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第4話『動きだす』

【???】


カチャ‥‥‥

テープレコーダーの録音ボタンを押す。


「今日は‥‥8月30日、午後1時。コード:TGV、感細データ名‘QUEEN’27日実験開始。すでに半数が感染したと思われるが、発症は確認されず。引続き調査を続ける」


カチ‥‥‥



テープに録音し終え、その音声データをコンピュータで転送する。


「ふふふ‥わたしのかわいい坊や‥‥」


不気味な笑顔を浮かべる。


バタン!

ドアが突然開いた。




「博士、そろそろ‥」


「ええ、そうね」

博士と呼ばれるその人は懐から銃を取りだした。


「なっ‥‥!」


ドンッ!!!




「誰にも渡さないわ。ふふふ‥‥ははははは‥‥!!」



【龍】


うおぉぉ‥‥!



もうここで終わりかと思った。ここで‥‥。



バン‥バン!!



前から轟音がなり響いた。それはテレビで聞いたことのあるような、ピストル?のような音がした。


ババババッッ!!


俺はその音に驚き我に戻った。目の前には軍服姿の兵士らしき人がマシンガンを撃っていた。

兵士

「物陰に逃げるんだ!」


俺はすぐに貨物の脇に逃げた。そしてさっきまで俺の後ろにいた‘ソレ’。

「なんだ、これは‥‥」

それは緑色の軽く2mはある怪物だった。薄暗くよくは見えなかった。そして兵士に撃たれて周りにはたくさんの血が散っていた。



「大丈夫か?」



「あっあぁ‥‥大丈夫です‥」



「ここは私達にまかせてくれ。君は車の中に逃げるんだ」


俺は軍用車に乗って外の様子を見た。

兵士たちが‘ソレ’に弾丸を撃ちこんでいる。

こちらは10人くらい、しかし相手は倒れることはなく、1人を襲いだした。

するとその兵士の体はあっという間に取り込まれてしまった。正確には食われるのだが、飲み込むまでのスピードが早い。しかも口は人間をすっぽり飲み込めるほど大きいのだ。残ったのは銃だけ。その銃をけっ飛ばし、次の目標に定めたのか別の兵士を狙う。俺の隣にいる1人の男が無線機で応答を求めていた。


「本部応答を!!」


「こちら本部。伝えよ」


「情報より約40分早い。その情報は確かなのか?」


「間違いない。転送されたデータを横流ししたものだ」

「だが情報とはバケモノの体型も違う!より狂暴だ‥既に死者4名!」


「それはありえない‥ではさんじ‥‥‥ザザッ」


「本部?応答せよ!‥くそっ!!」


その兵士は無線機を手放すと車外に出ていった。その間に外で戦っていたものは1人になっていた。


「戻ってこい!逃げるぞ!!」


戦っていた兵士を呼び戻し、車を発進させた。バケモノは遠ざかっていく。


士が口を開いた。


「危なかったな」

「あぁ‥まさかあんなものだとは思わなかった」


俺はどうしたらいいかわからなく、黙ったままでいた。



「ぼうず、名前は?」

その男は外見30過ぎで、かなりの修羅場をくぐりぬけてきたように見える。


「神乃木 龍と言います‥。」


「りゅう‥か。俺は陸上自衛軍、工藤 (あたる)軍曹。運転しているのが同じく陸上自衛軍の水谷 幸助一等兵士だ。」


「はぁ‥。」あの出来事のあとだ。俺は少し呆然としていた。


「しかし、よく生き残っていたな。」


「ほんとだ。もう感染者は100%に達していると思ってたが」


「いったい‥なにがあったんですか?」


「悪いな、機密事項とやらで口外するなってお偉方のお達しでな。」


「そう‥ですか。」


車を走らせて10分。もう1時になるが、普段は出荷のためのトラックが走っているはずだけどなにも走っていない。人すらいないのだ。


「涼は大丈夫かな‥‥」


【涼】

誰かぁ!!

そう叫んでスグの出来事だった。どこからか現れたヘリ。よくわからないがこっちに手をふっている。するとハシゴがそばに落ちてきた。


「のぼってこい!!」

俺が手を伸ばしたときだった。


ぎゃおぉぉぉ‥!!!


振り返るとそこには人間の顔‥しかし首から下は熊のような体で爪をとがらせた怪物がいた。

「なんだ、こいつ‥‥」俺は足がすくんでしまい、座りこんでしまった。怪物は一歩々々近づいてくる。殺される‥と思ったときヘリから1人の男が降りてきてショットガンをぶっぱなしていた。それは怪物に当たるが怯む様子もなく近づく。


「はやくヘリに乗るんだ!!」

俺は言われるがままハシゴを登りヘリに乗り込んだ。


カチッカチッ‥‥



「ちっ弾切れか」

そういうと怪物から逃げてハシゴに捕まった。

「昇れ昇れ!!!!」ヘリはうまく上昇‥難を逃れた。


武器を持って男が戻ってきた。


「あぶなかったな、データ以上だぜ‥」


「助けてくれてありがとうございます‥!」

お礼を言うことしかできなかった。きっとあの時来てくれなかったら死んでいただろう。


「なぁに、いいってことよ‥それに俺はお前に用があってな」


どういうことだ?



「ちょいと指紋をとらせてくれ」

俺はまたもや言われるがまま指紋をとられた。男はコンピュータに指紋のデータをとり、なにかを入力している。


「よし、一致したな」


「あの‥あなたは?」


「俺か?名前は‥忘れたな。代わりに、コードネームはスーだ」


「スーさん、俺はこれから‥」


「その呼び方はやめてくれ、釣り映画の出演者じゃないんだ。これからお前は俺たちと一緒に行動してもらう。まずはこの街の脱出‥とは言ってもヘリだからあと2分で出れる。忘れ物はないだろうな?」


「俺の友達が‥‥」


「友達‥か。生存者がいれば俺の仲間が拾ってくれるはずだから安心しな」

その言葉を聞いて少し安心した。周りには‥ヘリの中にはスーの他に操縦者が1人、サングラスをかけている女の人がいた。


「あいつはレンカっていうんだ。俺の相棒だ。」


「あたしだけ本名ってどういうコト?」


「悪いな」

少し笑いながら言う。


「さっ、もう街の外よ」しかに町の外のようだ。龍は大丈夫なのかな‥‥。


‥‥どん!


安心したのもつかの間、突然の物音と同時にヘリの高度が下がっていく。


「どうした!?」


「わからない‥!高度が低下‥緊急着陸!!!!」


ヘリは大きく揺れ、なんとか着陸はできた。が、街の外にでることは出来なかった。


「誰かに撃たれたみたいだな」


「狙われた‥!?」


「その可能性も‥あるな‥」

レンカが中から物資を持って出てきた。レンカ

「G7がもう動いてるのかしら」


「さっき軍用車が走っているのと‥兵士の死体が見えたな」


「‥!なんで先に言わないのよ」


「おまえが余計な心配をすると思ってよ、悪かったな」


「あの、G7って?」


「G7ってのは‥‥‥」

突然黙りこんで耳をすませている。


「どうしたんですか?」


「どうやらもう1つ別の部隊がいるようだな。行くぞ!!」

俺たちは走りだし、近くに止めてあった車に乗った。

「忘れもんはねぇな」車は急発進、その場をあとにした。


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