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"自サバ女"と呼ばれた私が、自サバ女と対立した話し

作者: みみんがミ
掲載日:2026/10/01

自サバ女の話しを書いてみたくて挑戦してみました。

笑ってくれたら嬉しいです(^^)



"自サバ女"ーーそう呼ばれていた時代が私にもありました。



男兄弟の紅一点として育った私ーシェリー・クロイツーは、子爵家の末っ子で両親からも兄弟からも、それは大層可愛がられた。


何をするにも過保護な兄弟達が近くにいたせいか、言葉遣いやら、仕草やら、行動やら、兎に角全く令嬢らしさは皆無で育った。

兄弟達と接する延長で男女関係なく距離感が近く、特に周りの令嬢たちからは異性に対しての態度が過度に思えたのかもしれない。


距離感の無さから女友達は皆無で、よく男子生徒とつるんでいたのも原因だったのかもしれない。

私自身は過度に接しているとか距離感が近いとか一切思った事がなかったため、何故自分が同性に嫌われているのかとか当時は全く気づいてなかった。今になって客観的に周りを見れるようになり、当時を思い返すと完全に痛い奴だったと思う。


自分の事をサバサバしてるとかは思った事も無いし、言った事もない・・・はず・・・多分・・・いや、きっとない。


だけど、当時在籍していた騎士科の男友達に付き添いと称して連れて行かれた場所が婚約者とのデートだったため、そりゃぁもう修羅場になった。


私としては、婚約者のいる男を横から取るような無粋な真似はしたく無いし、そもそもの話し、友達として接しても、婚約者がいる男になんて興味がないのだ。

だが、相手の令嬢は違う。私の普段の態度や行動、言葉遣いなど挙げられ、最終的に寝とっただの婚約者がいる男ばかりと馴れ馴れしいと盛りに盛った話しになり、居づらくなったため隣国の騎士科のある学園に編入してきたのである。

隣国は母国に比べ私の性格は受け入れてもらいやすかったようで、同じ騎士科では無いが、寮が同室で共に過ごす中で意気投合し、今では親友と呼べる友達もできて日々を楽しく過ごしている。



そして今私は自サバ女と対峙しているーー



「何でぇ〜?私サバサバしてるからいちいちそんな事気にしなくていいよぉ?」


目の前で親友の婚約者の男ールシアン・ヴァルモント子爵令息ーの腕に自身の腕を絡ませ胸を押し付けている女ールアーナ・カインズ子爵令嬢ーの言動に珍獣と遭遇した気分になっている。

っていうか普通にドン引きしてる・・・。

語尾を伸ばした喋り方もいちいち腹立つし、よくもまあそんなに女を全開に出しといてサバサバしてるとか言えるものだ。私は胸なんて出した事ねぇぞ・・・


隣にいる親友ーソフィア・グランディス伯爵令嬢ーは婚約者とルアーナに対して表情筋どこいった?っていうぐらい感情の無い顔をしている。真顔を通り越して"無"である。


ルシアンとルアーナは私と同じ騎士科に在籍しているが、学年が違うためルアーナの噂は知っていても合同授業で見かけるぐらいで実際はよく知らなかった。合同授業といっても班が違えば話す機会もなく、私も距離感が近い方なので今まで気にも止めていなかったのだ。


ソフィアから婚約者とルアーナの話しを聞いて、当初は考えすぎたろと思っていたものの・・・いざ目の当たりにするとこれはないわ・・・


ことの発端は、学園の食堂でソフィアと昼食を取っていた時だ。騎士科とソフィアの一般科では授業のカリキュラムが違うため、普段はなかなか昼休みが合わないのだが、今日はたまたま予定が合いそうだったので一緒に昼食を取る約束をしていた。

そこに、ソフィアの婚約者が現れせっかくだからとソフィアの横に座ろうとしていた所にルアーナがきたのだ。

何の断りもなし着席しようとし、しかも私に後輩だから向こうへ行けと、ソフィアの横に座るように指示され、自分はルシアンの横に座り、無駄に腕を絡ませながらのこのセリフである。


ルシアンはというと、「離れろ!っていうかどっか行け!」とめっちゃ嫌そうな顔をしている。ルシアンはソフィアにベタ惚れなので、距離が近いルアーナとは必要以上に関わらないようにしている事は知っていた。だが、顔がイケメンで成績優秀なルシアンに対してルアーナは必要以上に絡み本人が拒否しようとも関係なく接してくるとの事だ。


「婚約者ちゃんってソフィアちゃんだっけ??私ルアーナ!よろしくね!」


空気も読まず、自分より爵位の上の令嬢に対しての"ちゃん"付け・・・ないわぁ〜・・・

母国にいた頃の私でさえ、ちゃん付けとかなかったし流石にその辺は弁えてたよ?


胸は出して無いし、語尾も伸ばす喋り方はしないし、令嬢の許可なく馴れ馴れしく呼ぶ事もした事なかったが、側から見たら自分もこんな風に見られていたのかと思うと本気で頭を抱えたくなった。イタイ・・・イタすぎる・・・穴があったら埋まりたい・・・


「カインズ子爵令嬢ですね?初めまして。所で、何故貴女は私の婚約者の隣に座り、胸を押し付けるように腕を絡ませているのですか?ルシアン様も嫌がってるではありませんか。そもそも、貴女には同席する許可も出しておりません。」


ソフィアは毅然とした態度でありながら全く感情の籠もっていない声で現状の疑問を投げかける。


「え?これが騎士科では普段だよぉ〜?ってか、細かい事気にしすぎぃ〜。ほら、私って男みたいなもんだからさっ!」


「同じ騎士科ならわかるよねぇ〜?」っとルアーナから話しを振られた私はドン引きしていたせいで一瞬何の事かわからなかった。


「・・・え?私に言ってんの?」

「そうだよぉ〜!話聞いてる??」


いちいち言い方腹立つ!!お前の話しなんて興味無いし、せっかく楽しくご飯食べようとしてたのにお前のせいで台無しだわ!って言うか、自分の事可愛いとか思ってんの??ただ乳がデカいだけで全然可愛くないんだわ!!ヘラヘラしてる男はみんなお前の乳目当てな!!って言うか、騎士科のくせに乳見せる必要全く無いし!!一緒にすんなバカ女!!マジで気持ち悪い!私も同じ人種扱いされてたとかマジ最悪!!ーーと、瞬時に脳内で罵倒し私はニッコリ微笑んだ。


「確かに、騎士科の女子生徒は一般科に比べて距離感は近いし馴れ馴れしい子は多いと思う」

「でしょぉ〜?この子もそう言ってるんだし、ソフィアちゃん気にしすぎぃー!」


「だけど、あんたみたいに胸押し付けて密着するような人はいないよ?」


馬鹿みたいに笑っていたルアーナの顔が、一瞬にして凍りつく。


「はぁ?」


お前、声まで作ってたのか!と思うほど低い声で睨んでくるルアーナに私はお構いなしに言葉を続ける。


「えぇ〜?!あんた周り見た事ないのぉ〜?!うけるぅ〜!!騎士科の女子生徒に乳出してるやつなんてあんたしかいないじゃん??それにぃ〜、いくら距離感が近いからって婚約者のいる相手にはきちんと距離取ってるし、誰が見ても友達として接してるってわかるからあんたみたいに女出してるやつなんていないよぉ〜?」


私の喋り方に、察したソフィアとルシアンは肩を震わせて笑い、話が聞こえたのか周りにいた生徒からもクスクスと笑い声が漏れる。


「仮にも先輩に対して何なのその喋り方?!失礼にもほどがあるわ!!」


周りの状況などお構いなしに騒ぎ立てるルアーナーじゃなかった、バカ女に対してさらに畳み掛ける。


「えぇ〜?!先輩が失礼と言っちゃうの?!先輩と同じ話し方してるだけなのにぃ?!騎士科の女子は距離感が近いってのも先輩が言ってた事なのに怒るとかウケるぅ〜!私も距離感近いから先輩と同じように接してるだけだしぃ〜?っていうか、自分でサバサバしてるとか言ってるのイタすぎぃ!サバサバどころか女出しまくりでどっちかって言えばベタベタしてるじゃん?サバサバしてるじゃなくてベタベタしてるに変えた方がいいんじゃない??声も男の前で変えてる自覚あるぅ〜?可愛いとか思ってるならやめた方がいいよ?全然可愛くないから!」


ニコニコしながら話す私に対して、立ち上がり顔を真っ赤にさせ般若のような顔になったルアーナは腕を振りかぶり殴りかかってきた。


だが、残念!テーブルを挟んでいる上に腕の長さが足りなかったので私には全く届かない!くそダサいしウケる(笑)


ニヤニヤしてる私に「お前いい加減にしろよ!」などど喚いているが全く怖くもないし、むしろ滑稽だ。


「お前がいい加減にしろよ。お前の行動や言動で、騎士科の女子生徒が全員同じように見られたらこっちが困るんだわ。騎士科なんだから乳出す必要ないし見せられる周りは迷惑でしかない事知ってる?お前に対してヘラヘラしてる男なんて乳目当てばっかなのいい加減に気づけよ。あ、阿婆擦れだから気づかないのか!ごめんね!せんぱぁ〜い!それともうちょっと周り見た方がいいよ?」



私の発言で周りの笑い声も大きくなり、居座り辛くなったのかルアーナは顔を真っ赤にして食堂を出て行った。


ルアーナが走って逃げ去ったあとの食堂には、どこかスッキリした空気が漂っていた。周りの生徒たちからも「あの自称サバサバ女、やっと痛い目見たな」「シェリー、よく言った!」といったひそやかな賛同の声が聞こえてくる。

ルアーナの遠ざかる背中を眺めつつ、言いたい事を言ってスッキリしている私の横でソフィアが爆笑しているのがわかる。

前に座ってるルシアンなんて腹抱えて笑ってるよ・・・


「あんた、なかなか言うわね!・・・あの人の顔・・・ブハッ!・・・あー可笑しい!!色々と頭にきてたけど、シェリーが私の言いたいことを言ってくれたおかげでスッキリしたわ!ありがとう!」

「え?いや、多少は煽ってはいたけど、私思った事言っただけだし?お礼を言われるほどでもないよ?」


「私が言いたいからいいの!」と笑顔を向けてくるソフィアは本当に可愛い。


「俺からもお礼を言わせてくれ、クロイツ。本当に助かった」


前で腹を抱えていたルシアンも、ようやく呼吸を整えて顔を上げた。


「何度拒絶しても『照れちゃってぇ〜』とか言って話を聞いてくれなくて、本気で困り果てていたんだ。ソフィアに嫌な思いをさせているのが一番辛かったから……」


そう言ってソフィアの手を愛おしそうに包み込むルシアンの姿に、私は思わず苦笑する。この二人の間に入り込む隙なんて最初から一ミリもないのだ。


「本当、お礼を言われる事なんてしてないよ!私も母国にいた頃、無自覚に距離感を間違えて周りに迷惑をかけてた側の人間だからさ。過去の自分を見てるみたいで、色々思うところがあったし・・・」



そう、私は身をもって知っているのだ。「無自覚な痛さ」も惨めだが、ルアーナのように「サバサバ」を都合のいい免罪符にして他人を害する「自称・サバサバ女」はもっとタチが悪いということを。


「でもまあ、今回の件で騎士科の女子生徒全員を敵に回したし、あの“ベタベタ女”の面の皮も剥がれたから、学園内で同じ手はもう通用しないでしょ」


私の予想通り、その日を境にルアーナの噂は学園中に広まった。



彼女が「私サバサバしてるからぁ」と甘たれた声を出すたびに、周囲から「あ、出た。自称サバサバのベタベタ女」とクスクス笑われるようになり、食堂での一件以降、彼女はすっかり大人しくなったという。

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