第二章 人探し
ライトが冒険者になってから2週間経ち、この世界にも慣れてきた。ここでのんびり一生を終えるのもいいかな、と思い、シャンの作った料理を食べようとする。
(まだ復讐を果たしていないぞ…お前の目的は殺された両親の仇を取ることだ…)
脳内に知らない声が響き渡る。
「こいつ直接脳内に…!」
シャンが不思議そうに首を傾げる。ライトは一度冷静になり、頭の中で「お前は誰だ」と考えた。だが、返事は返ってこない。
だがライトは確かに復讐の事を完全に忘れていた。ライトはガバッと立つ。
「復讐しないと!」
シャンは混乱している。近くに座っていたレジガーは質問する。
「復讐とは…あいつのことかい?」
ライトは首を縦に振る。サトルは二人の話を聞くと「僕たちに手伝えることがあったら言ってね」と言った。
まず、復讐するためにイニティウムにどうやって行くのかを考える必要がある。ということ情報収集のためアレスに向かった。
シャンによると大体のことは図書館に行けば分かるらしい。
図書館に着くと四人は図書館の本を漁り始める。だが、何時間たっても見つからない。行き方どころかイニティウムについて書いてあるものが一つもなかった。とぼとぼ…と帰っていると裏路地に怪しいボロボロなローブを被った人がいた。ライトは関わらないように、と少し離れる。すると、ローブを被った人はこちらに走ってきた。そして向こうに通り過ぎて行った、と思ったら財布を盗まれていた。三人はそんなことに気づかず、そのまま進んでゆく。ライトはローブの人が入って行った裏路地へ向かう。少し進んだところでさっきのローブの人を見つけた。ローブの人は水色から紫色のグラデーションの瞳をこちらに向けた。周りから霧が立ち込め、霧が消えた頃にはローブの人はおらず、盗まれた財布と謎の資料が落ちていた。
ライトは二つを回収するとすぐに3人の元へ走って行った。
家の中でさっきあった事をシャンたちに話した。サトルによると長い間あの街で過ごしているが、そんな目の色の人は見たことも聞いたことがないという。そして謎の資料。これはこの「世界」の大まかな歴史が書いてあるものだった。
現在の世界の前の前に、創世期という時代があったと書いてある。そして紙の右下に走り書きがあった。
「君の星は創世期にあるよ」
と。そう、イニティウムは創世期にできたのだ。あの星に向かうには過去に行かなければならない。そこでライトは思い出した。レジガスを蹴ったあの人を。彼はここの世界で暮らしてるはずなのに過去に来ていた。つまり彼は過去に行くことができるということだ。
目的は決まった。あの人を見つけ出すことだ。荷物を持ち、聞き込みのためアレスに向かった。
とは言ったものの、さすがに名前も知らない人を見つけるのは難しい。だが、その人には大きな特徴がある。それは、髪の毛が緑ということだ。緑の髪の人なんてこの世界になかなかいない。と、頭の中で考えているとコヒーと会った。
「コヒー!久しぶり!ところで緑の髪が特徴な人知らない?」
コヒーは考えるような仕草をする。数秒後、コヒーはポンと手を叩く。
「名前までは知らねえがそいつならアフィリクス中央魔法学校の近くで見かけたぜ」
「あふぃりくす?魔法学校?」
ライトは不思議そうに首を傾げる。シャンが簡単に説明してくれた。
「この大陸の南西に位置する国が王都であるアフィリクスで、その国の一番の教育機関がアフィリクス中央魔法学校ってこと。ここからそう遠くないよ」
ライトはコヒーに感謝すると、その場を後にした。
そう遠くない、と聞いていたのだが、2時間近く休憩なしで歩いた。魔法学校の近くまで行くと、魔法学校の生徒らしき人がいた。早速聞き込みである。
「Q.魔法学校の魅力は?」
「A.ないんだな。それが」
シャンはライトの頭を叩く。ライトはちゃんと聞き直した。
「緑の髪が特徴な人知らないですか?」
生徒さんはうーんと思い出している。
「そういえば!魔法学校の卒業生に緑の髪の人がいた気がする!」
生徒は少し待っててといい、どこかへ行った。数分後、本を持って戻ってきた。
「これ、借りてきた卒業アルバムなんだけど…えーっと…この人だ!」
その顔は紛れもなくあのレジガスを蹴った人だった。ライトはその人の名前を聞く。
「えーと、桐乃瀬竜、って人だ。剣の才能も魔法の才能も一流って話だ。そういえばこの人は冒険者になったらしいな。だったら給料がいい騎士団とかがいいと思うんだけどな」
冒険者なら依頼受けてるうちに会うかもしれない。ライトはそう考え、ここに来る時にあった冒険者ギルドに向かった。流石に冒険者ギルドの中で二人に棒立ちで待ってもらうのはかわいそうなので、サトルとレジガーも冒険者登録することをおすすめした。
二人の登録が終わり、早速依頼の載っている掲示板へ向かった。だが掲示板には難易度の高いものしか残っていなかった。
「別にランクに合ってなくても依頼って受けていいんですよね」
レジガーが「結晶の洞窟調査」と書いてあるランクBの依頼の紙をシャンに渡して提案する。シャンは少し迷ったが、受付へその紙を持っていった。そして受付には見覚えのある顔があった。
「ライトちゃんシャンちゃん、こんちわ〜!」
シャンは困惑する。何故なら、こいつはアレスの受付嬢の筈だからだ。ライトはクローンでもいるんじゃないかと思った。
「二人が王都に行くって聞いて飛んできちゃった!で受ける依頼は?」
シャンがルルに紙を渡す。ルルは依頼内容を拝見し、依頼を受ける許可的なハンコを押した。
依頼者は洞窟の所有者。採掘場にするための安全確認兼危険生物の討伐ということで依頼を出したらしい。報酬も水晶をもらえるので悪くない。四人は洞窟へ向かった。洞窟の中は透き通るような水色の水晶で埋め尽くされており、まさに絶景だった。レジガーは全員に結界を張る。だが、洞窟にいるのは水色の水晶を吸収しているスライムだけだった。簡単に終わりそうだ。そう油断した時だった。天井に大きな穴が開いてるところに着いた。ここがどうやら終着点のようだ。モンスターも何もいない。四人は洞窟を出ようと反対を向く。すると、背中から強い風が吹いてきた。そこにはバサバサと音を立てて飛ぶ巨大なドラゴンがいた。ドラゴンはゆっくりと着地する。ライトがすぐに魔法を展開しようとするが、魔法は発動しなかった。竜はこちらを見下すように立っている。そこから、目にも留まらぬ速さのパンチがシャンに繰り出された。パンチは結界どころか剣すらも砕き、シャンを洞窟の壁まで吹っ飛ばした。シャンは血を吐く。
「この剣、意外に気に入ってたんだけどな…」
魔法は発動せずシャンも戦えるような状況ではない。まさに絶体絶命だ。その後も攻撃を避けて耐えてたが、流石にきつい。そんな状況の中、空から風を切るような音が鳴っていた。そこからはなぜかルルが降ってきた。ルルは「そぉい」というとドラゴンの頭に強烈なパンチを繰り出した。ドラゴンの頭は地面に叩き落ち地面に少し埋まった。そして目から光が消えた。ルルはゆっくりと動かなくなったドラゴンの上に着地した。
「だから自分のランクより高いやつは危険って説明してたのに!!」
ルルはプンスカ怒っている。そして異空間の裂け目のようなものにドラゴンをぶち込み、シャンの傷を完全に一瞬で治した。その後、依頼者のところに戻った。水晶も貰い、ギルドに戻り報酬金も貰った。ライトは疲れたようにとぼとぼ歩き出した。ライトは疲れすぎでふらつきながら男とぶつかった。
「あ、すみませ…」
ぶつかった人は緑の髪をしている人だった。つい、口から言葉がこぼれる。
「りゅ、竜いたー!!!!」
竜は不思議そうに首を傾げた。




