全ての始まり
______クーパー、君は本当に良くやったよ。
*
俺____ガルム・クーパーは、
ある施設の寮の一室で目を覚ました。
ここはコスモ社第四惑星「コーデイル」の
にある、新兵用の寮の一室だ。
この惑星は昔、世界を
このように発展させ、戦争を起こした張本社、
「コスモ社」によって人が住むために作られた
人口惑星なのだが、今では我ら「ノア」
という勢力のものになっており、
土地はそのまま、基地などで物騒な惑星に
なってしまっている。
ガルムはそんな惑星を窓から見ながら、
ベットから体を起こした。
ふと目覚まし時計を見ると、
『5時44分』
「っ…くそ…まだ寝れたじゃねぇか…」
ガルムは少し考えてから、ベットから
離れ、洗面所に向かい、顔を洗う。
そして次に冷蔵庫に向かった。
「…確か今日はタイタン訓練だったよな。
まあまだ俺は乗れないんだろうけどな…
願うしかねぇな…」
タイタン____この世界の最強兵器。
見た目はまさに子供のロマンが詰まった
最強ロボットなのだが、彼らはただの
ロボットではなく、「意志を持つ」。
例えば、あるタイタンに
「敵兵を遠くで見つけた。」
と言ってみるとしよう。するとタイタンは
「敵兵、認識。即座に対処することを提案します。」などと返してくれるのだ。
しかし、そのように会話できるのは
そのタイタンに認められた「パイロット」だけ。
ガルムはまだたった24日目の新兵。
タイタンと協力して認めてもらう機会すら
もらえないのだ。
しかし、今日はそんなタイタンパイロットを
訓練する日。可能性は無きにしも非ず。
期待を背負って訓練をする方が損をしないだろう。
___ガルムは冷蔵庫から紙パックの
飲み物を取り出す。
『アーモンドミルク』
ガルムの世界で一番好きな飲み物第2位の
アーモンドミルクだ。
かなり大きめな紙パックだが、
コップに入れることなくそのまま直で
がぶ飲みをする。
「…ぷはっ…久々に早めに行って新型の
REでも試すか…」
ガルムはがぶ飲みしたアーモンドミルクを
冷蔵庫に戻し、戸を閉める。
そして俺はある場所に行くために
身支度を始めた。
ちょっとした迷彩柄の装備と、
腰には昨日配布されたREの新型、「クライムRE」
を掛け、反対側にはナイフ。
7キロ前後ある防弾チョッキとジェットスイングを
背負い、重たい無線付きのヘルメットをつける。
「…にしてもこれ重すぎだよな…
まあ…敵タイタンに少しでも対抗するには
こんぐらいしないといけないらしいしな…」
ガルムは鏡に向かって拳を突き出し、
親指を立て、そのまま寮を出た。
「…相変わらずここは綺麗なもんだ。」
ガルムは空を見上げながら呟く。
空には六角形の形をした透明な天井が幾つも
連なり、この惑星を覆っている。
この天井のおかげで、息もできるし
他の勢力の攻撃もある程度防げる。
こいつがなかったら、この前の攻撃でこの惑星は
滅んでいた。命の恩人だ。我々からしたら
美しいものだと思うに違いない。
ガルムはあるところに向かうべく、
足を前に進める。
道はかなり整備されており、
まだ空は暗いが、街灯が足元を照らしてくれている。
しかし、周りには使い古した旧型の拳銃などが
転がっていたりもする。
「…そういえば、太陽の状況は…って、
まだ見えないか…」
そしてガルムはある場所についた。
『対タイタン射撃訓練場』
ガルムは鉄の塊で作られた自動ドアに導かれ、
中に入って行く。
ここはタイタンに乗れない者が、
敵のタイタンと少しでもやりあえるように
するべく作られた訓練施設。
ここには訓練用タイタンや、それらを
模倣した的、そして実際に使われる武器の数々が
置かれている。
「流石にこんな朝に訓練場くるやついないだろうな…」
ガルムは施設に入って正面にある
少し大きなエレベーターに乗り込み、
地下へと向かう。
この施設は地上2階、地下2階の施設だ。
地上一階は簡易的なオフィスや、カフェテリア
などがあり、地上2階にはこの惑星に関することや、武器についてなどのことについて書かれた
本がたくさんおいてある。
新人兵士は初めの頃は大体ここにきて、
武器の扱い方や勢力についてなどを
勉強する。ガルムもつい1週間前までは
これらをよくしていた。
そしてエレベーターは地下1階へと止まる。
扉が開くとそこには四方八方に
武器、武器、武器。
地下1階はたくさんの武器が置かれてあり、
全て本物、使うことも可能だ。
そしてたくさんの武器が置かれた部屋の真ん中に、
一際目を引く武器がある。
『S6666_ロックブラスター』
と書かれたケース、ガラス張りだが、
そのガラスの厚さは約4cm、かなり厳重だ。
と、名前の下に詳細が。
「対タイタン用兵器…使う人によって
威力が異なり、人によっては星をも破壊する…」
今はもう使われていない古の武器。
かつて、これを使って敵を圧倒していた
勢力があったが、ある人物が間違えて打ってしまい、星は跡形もなく消え去った。
今ではもう使われておらず、我々「ノア」が管理をしている。
そしてガルムは武器倉庫をそのまま抜け、
正面にある階段を降りた。
『地下2階 射撃訓練場』
ここはその名の通り、銃を使った
射撃訓練をする場所だ。
ここで、さっき言った訓練用タイタンを模倣した的
などを撃ち抜く練習をしている。
しかし今は早朝、こんな朝っぱらから
射撃訓練場にくるやつなんか、そういないはず。
…と思っていたのだが、
「…っ!」
「お、クーパーじゃないか。」
「大佐か…」
そこにはR-97を試し打ちしている
「フローバル大佐」がいた。
フローバル大佐は、今ガルムが所属している部隊、
「ノア 第2部隊」の隊長だ。
「大佐、それもう流行ってないですよ。」
「わかっとる。だが、この武器は反動が少ない。
私みたいなオンボロなおじいさんは、この
ぐらいが丁度いいんだ、見とけ。」
すると大佐は銃を的へと向ける。
そして大佐は引き金を引き、計二十四発の玉を
的へとぶち込んだ。
「…!」
全弾頭に命中。しかもほぼ一点だ。ブレがない…
「みたか?こんな肩の弱い私でも
少しコツをつかめば正確に当てることができる。
この武器の強みだ。」
*
「今からタイタン訓練を行う!
名を呼ばれたものは即座にタイタンに乗る準備をしろ!
では、スターク!コープ!…………」
ガルムの目の前で叫んでいるのは…
わからない…見たことがない人だ。
「クリス!ゴーラル!………」
次々に名前が呼ばれるが、ガルムの名前はない。
「フローバル!以上だ!残りはいつも通り、
対タイタン用装備を着用し、直ちにタイタン訓練場Bに向かえ!」
「了解!」
「…またなかったな…」
ガルムは呟きながら、朝着た装備と同じ装備を
着用し、走って訓練場Bに向かう。
ガルムが走っていると、横をタイタンが通る。
「…………」
ガルムは少しタイタンを見上げる。
タイタンは、見た目はまさにガンダムという
やつに似ている。手足があり2足歩行、
銃や刀を持ったタイタンもいるが、それは
人それぞれで、ガルムが見上げている
タイタンの右手には巨大な銃が添えられている。
するとそのタイタンのコックピットの扉が
開いた。
「クーパー、また残念だったな。」
「大佐だったんですね」
なんとそこにはヘルメットやら迷彩装備やらで
ガチガチに武装されたフローバル大佐が乗っていた。
「…まあ期待通りって感じです。」
「タイタンに乗れないことに期待してたのか?
へっ、相当な度胸だな。まあ、乗りたいなら
これから頑張ればいい話さ、じゃあまた後でな。」
「……」
そう言い残すと、フローバル大佐は
コックピットの扉を閉め、タイタンを操縦し、
ガルムの横を進んで行った。
*
『今から対タイタン訓練を始める。』
女性の声のアナウンスが流れる。
確か、この声はバイロン総隊長か?
ガルムは訓練場Bに集まっている同志に
紛れ、隅の方で銃を抱えて座っている。
『では、よーい…始め!』
訓練場Bはかなり広い場所だ。
荒廃した建物やら車などが配置してあり、
かなりタイタンに乗っていない側が隠れやすくて
有利な気もする。
だが、タイタンはそんな隠れ場所を
「ぶっ壊す」ぐらいやばい能力を持った個体もいる。
すると、訓練場の奥の方の扉が開き、
タイタンがぞろぞろと出てきた。
「スターク、お前は体当たりで
建物を破壊しろ。ここはいくらでも修復できる、
思い存分やれ。」
「…! あの声、フローバル大佐だ。」
なんと、フローバル大佐がタイタン側の指揮をとっている。
いつもは「第1部隊隊長」が仕切ってるのに。
その時、同志の中から誰かが立ち上がり、
我々に指揮を出し始めた。
「ここは建物にあまり隠れず、そのまま左右から
挟み撃ちにしろ。それぞれ直進し、
タイタンを見つけ次第、反対側にいる同志と
協力し、挟み撃ち状態を作れ。」
急にざわざわし始めた。まあそりゃそうだろう。
だって、いつもタイタン側にいる第一部隊隊長が
生身側にいるのだから。
「なにぼーっとしている!いいから行け!」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」」
*
「おい、ちゃんとその情報あってるんだろうな?」
「間違いねぇさ。訓練場の場所は全て把握済み。
さらに、
元第一部隊のクソ隊長が生身で訓練しているのもな。」
*
現在、訓練開始から17分ほどが経っている。
建物はかなりタイタンによって破壊されているが、
まだ隠れ場所はあるような感じだ。
ガルムは訓練場の右側を進んでおり、
左側にいる同志と、真ん中にいるタイタンを
挟み撃ちにする作戦にしているのだが…
「タイタンだ!前方!挟み撃ちができない!
皆、一時撤退!!」
なかなかタイタンが真ん中に来ず、
挟み撃ちができない…
と悩んでいる時、急に訓練場全体に
ドンっと大きな揺れが起きた。
「…? おいバイロン、何かあったか?」
「いえ…特に無いのだが、それだと逆に
怪しいな…」
フローバル大佐がバイロン総隊長と無線で話している声がする。と、後ろを振り向くと、すぐそこにタイタンが。ヒヤヒヤする…
そしてその時、
ガシャァァァン
「オーバースターズ様のお通りだぜぇぇ!!」
なんと、天井にあった照明を突き破り、
巨大なタイタンがガルムの目の前に落ちてきた。
「バイロン!襲撃だ!アナウンスかけろ!」
『敵襲、敵襲、ただちに訓練をやめ、
戦闘に応戦してください。』
どうやら、逃げるという選択肢はないらしい。
そのタイタン以外にも続々と照明を壊して
たくさんのタイタンが降ってくる。
しかし、目の前の落ちてきたタイタン、
我ら「ノア」のタイタンの二倍ぐらい
体長が大きい。
すると、完璧に隠れていたはずのガルムに
そのタイタンは手に持っていた銃を向けた。
「っ…!これやっ…」
「クーパー!!!!」
その時、フローバル大佐の乗っているタイタンが
二倍ぐらいの体長のある敵タイタンに突進し、
ギリギリで、玉の軌道を変えることができた。
そしてフローバル大佐のタイタンと
敵タイタンが、取っ組み合いになっている。
「おっ!?お前確かこの前やり逃した
第2部隊のやつじゃねぇか?」
「オーバースターズ…!何故ここにきた!」
「あのクソバイロンだよ…!!今は総隊長
やってるんだってな?あいつを殺しにきたんだ。」
「バイロン…!?くっ…クーパー!
バイロンのところにすぐ行け!走れ!
サイファ!どこにいる!」
フローバル大佐は「サイファ」、
「ノア 第1部隊隊長」を呼んでいる。
だが、何が何だかわからない。
とりあえずバイロン総隊長が危ないことを伝えにいかないと
いけない。
ガルムはどこにいるかもわかないバイロン総隊長を
探しに走り始めた。
「あいつの名前はクーパーというのか…
生身部隊で可哀想だなぁ…」
「私の部下を侮辱するな…!!!」
*
「っ!いた!バイロン総隊長!」
探し始めてからあまり経っていない。
バイロン総隊長は黒髪のロングで、必ず前髪を白色のピンで止めている。その特徴のおかげで早く見つけることができた。
バイロン総隊長は訓練場の入り口の方にいて、
貧乏ゆすりのようなことをしている。
何やら焦っているようだ。
「クーパーか、フローバル大佐は?」
「それより!あのオーバースターズとか
いうやつ、バイロン総隊長を狙ってますよ…!」
「私をか…?」
バイロン総隊長は、10秒ぐらい悩んだ末、
「私は死んでもいい。から、今からクーパーは
援軍を呼びに行ってほしい。何日でもかかっていい。
だから必ず帰ってきてほしい…
私たちを探しに。
緊急で私のタイタンを…クーパー、お前にくれてやる。」
「バイロン総隊長は…!?」
「私はいい。とりあえず早くいけ、鍵はこれだ!」
銀色の小さな鍵を投げつけたあと、
バイロン総隊長は戦場の方へと走り出した。
フローバル大佐のところへと向かって行ったのだと思う。
ガルムはバイロン総隊長のタイタンが
おいてある場所に走り出す。
タイタンとタイタン、またはタイタンと人。
それぞれがぶつかり合う戦場の中を駆け抜ける
その様は、まさに映画のようだ。
「あった…!!」
ガルムはさっきいた場所の反対側の「タイタン倉庫」で
バイロン総隊長のタイタンを見つけた。
全身白色のそのタイタンの手にはものすごい大きな
機関銃が備えられている。
コックピットの扉が空いている。
ガルムは急いでコックピットに乗り込む。
乗り込んだ瞬間、自動で扉が閉まり、
その扉がモニターになり、外の景色が見えるようになった。
すると、ヘルメットの無線から音声が。
『緊急パイロット、ガルム・クーパー。
リンク、100%、本人であることを確認。
シンクロ率、約24%。
今から緊急任務を遂行する。』
「…タイタン、お前のことなんて呼べばいい?」
『私の名前はC.T.』
「じゃあC.T.でいいな。増援を
呼べと言われたが、どこに行けばいい?」
『現在、この惑星の軍事力は訓練場Bに
集中しています。そのため、惑星内で
強力な増援を呼ぶことはできないことを推測。
ただちに隣の惑星、「カーベクス」に
向かうことを推奨します。』
「Ok,C.T.」
ガルムは操縦桿を強く握りしめる。
そしてガルムは増援を呼ぶために、
緊急で貸し出されたバイロン総隊長のタイタン、
C.Tと共に、惑星を跨ぐ旅に出るのだった。
つづく_____
こんにちわ。葉月ネルです。
今までの3ヶ月間でファンタジー、日常、エッセイと来て、
今回はなんと宇宙SFでございます。
私、あまりロボットモノを見たことはなくてですね…
強いていえばガンダムシリーズの
ジークアクスと水星の魔女ぐらいでしょうか?
そのぐらいしか見たことがないのであまり宇宙要素が
入れられないので…暖かい目で見てくださるとうれしいです…
少しだけ登場人物(名前が出ている人)整理のお時間。
主人公:ガルム・クーパー
第2部隊隊長:フローバル大佐
第1部隊隊長:サイファ大佐
元第一部隊隊長・現総隊長:バイロン総隊長
バイロン総隊長のタイタン:C.T.
その他タイタンパイロット兵ら
です!
毎話、登場人物整理をしようと思ってますが、
毎回こんなのは書いてられないので、新キャラなどだけを
書いて行きます。
最後に、
今回、「伏線回収」とやらを目標(?)においてみようかと
思っています。なので、「ここ文変じゃね?」
って思ったら、もしかしたら…それ、伏線かも…?
(誤字を除く)




