少年時代
青々とした夜をはだしで走っていた
会いたくて
探したくて
覚えたくて
身軽すぎる心で 終点まで走っていた
身につけるものはない
カギもかけなくていい
大切なものは みんなみんな
怒とうのようにやさしく後ろを付いてきている
さみしくない
まちがいはない
眠たくなれば
ぬれたての草原があふれるもの全てを受け止めてくれる
倒れるように寝られる
まばたきすれば
その分だけひそんだホタルの姿がわかる
いきがきれたら
鈴の音がどこからか勇気づけるようになりはじめる
どこまで行っても いつだって帰れる
そこに木があるから
はりめぐらされた木のつながりが
わたしをぜったいに迷子にさせないから…