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第五話

おはようございます。第五話のお届けです。肉薄する暗黒連合兵!アパムと半田は闘う!


 「ファンタジー系5」

       (第五話)



         堀川士朗



ジョーたち四人が一人当たり最大300の暗黒連合兵を倒せると考えても、残り1800の残兵に駆逐されてしまう可能性は大だった。

また最初から暗黒連合大隊のトップたちはそういう腹積もりで兵たちを死地に追いやっていた……。



アパムはタム屋の屋根の上で、さっきヤスディングに「……あるんですけど」と淹れてもらった無糖のアイスコーヒーをガブ飲みしている。

アイスコーヒーは魔法瓶にたっぷりと入っている。


「ふい~。のど乾くぜ」

「アパム。そんなに飲んだら小便行きたくなって仕方ないじゃろが。頻尿ォ~え~頻尿ォ~になるぞ」

「大丈夫だ。頻尿ォ~え~頻尿ォ~にはならない。俺の膀胱は人工タンクになってる。25リットルまで貯められるんだ」

「バッチいとこだけ最先端だのう」

「HA!良いじゃねえかじいさん。ほら今度は5時の方角だ。中隊長だぜ」

「お前さんも弾丸を撒きな」

「あいよっ!」


アパムは9000発の重々しい弾帯をガトリングのチャンバーにガチャリ!と叩き込んだ。

KATO弾がガトリングの口径に合わせて自動圧縮する!

接近してきている敵兵に向けてアパムは、右手に組み込まれたガトリング砲を発射する!

毎分3000発の高速弾が不用意に近づく暗黒連合の兵隊どもを地獄へと送っていく。

大量の銅色の薬莢がカラカラと音を立ててタム屋の屋根の上にばら撒かれ弾け飛ぶ。

暗黒兵の反撃!

アパムも五六発被弾するが、硬い硬いタンジムン鋼のボディアーマーがそれら全てを跳ね返す!


「今日は良い日だ。蜃気楼まで見えらあっ」

「あれは蜃気楼じゃないぞ。次々と敵の部隊が増援しとるんじゃ」

「そいつぁおっかねえ!そらよっ!」


またガトリング砲を発射する。

一斉射で20人の塊がまとめてあの世へ逝く。

だが、キリがない。

次々と毒蟻の大群のように湧いてくる……!

機関銃の砲火がタム屋を襲う。

音が激しい。

暗黒兵たちは殺しても殺しても進軍をやめなかった。

彼らの頭には退却の二文字はなかった。

勇ましいというよりかは、命令されて意志のないまま自動的に動く昆虫のようで等しく気味悪さを湛えていた。



ソーラー発電所には暗黒連合の部隊が、ボッケハラの大部隊とともにいくつも展開していた。

ダイナー『ヤスディング』を襲っている大隊も、その部隊からなる一部であった。

つまり、呼ぼうと思えば南方暗黒連合はいくらでもダイナーに兵を送る事が出来た。


また、北の国末端の兵士たちは知るよしもなかったが、南方暗黒連合には世界有数の日本のコングロマリット企業オクナカコーポレーションの社長、億中要蔵が多額の支援金を援助していた。

連合やボッケハラの兵士の育成訓練にも、要蔵の私兵オクナカコーポレーションアーミーが一枚絡んでいた。

直接手は下さずとも、北の国と億中要蔵とはバチバチの関係だったのである。

全てはアリエ共和国政府との癒着と、何にせよこれは億中のソーラー発電所事業の利権追求案件だったのである。

その、たった一人の私利私欲にまみれた利権追求のために、当たり前のように若い兵が次々と命を散らす……。

つまり痛くも痒くもないのだ、億中にとっては。

自分ではないから。

暗黒連合の兵たちは生まれながらにして名前を持たず番号で呼ばれ教育に一切触れず心を持たず、軍隊蟻と同じように機械的に命令に従って命を落とす。


「なあアパムよ」

「何だいじいさん」

「こんなとこで人生サ終したくねえなあ」

「その話は列車の中で何度も聞いたぜ、じいさん」

「大事な話だから何度も言うとるんじゃ。戦場は臆病者が勝つ」


肩車で二人一組になった暗黒兵たち。

何かを持っている。

半田が双眼鏡でその様子をのぞいて言った。


「何じゃあれは?意味があるのか?」

「分からねえ。暗黒兵の考えている事は俺には何ひとつ分からねえ。あいつらは人間の皮を被った機械だからな」



           続く



ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。

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