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第三話

おはようございます。第三話のお届けです。ダイナーで食事をする一行。ここには何でもある!お楽しみに。


 「ファンタジー系5」

       (第三話)



         堀川士朗



一階のダイナー『ヤスディング』に行くと、店主のヤスディング・ドルバッキはグラスを丹念に拭いていた。

紫色のピチピチとしたセクシャルなTシャツを彼は着ている。

アパムが言った。


「マスター。俺は赤ジンジャービールとヤクーのステーキ!あるか?」

「……あるんですけど」


皿の上に肉厚のヤクーのステーキが供された。

ステーキの焼き方はアパムの好みのミディアムレアだった。

アパム・ベラジオはそれにがっついている。

美味そうに赤ジンジャービールを一口飲んでヤクーの肉を流し込んだ。

続いてジョーが言った。


「あたしイスタンタンタンタンメン。ある?」

「……あるんですけど」


ドカッと置かれた丼の中には、ハンムラ法国のスパイシーでエキゾチックな激辛麺料理が。

麺もちゃんとしたミャンミャン麺だった。


「うん。香ばしくて美味しい。煮込まれたこの麺が」


ジョーが美味しそうにすすり上げる。

ジョーは椅子のところにチョコンと座っている妖精ホヰップに、デザートのさくらんぼゼリーを与えている。

妖精ホヰップは基本、水さえ与えておけば何も食べずに済むが、糖分補給のため甘いものなら食べる。


「八桂山とあたりめあるかい?冷やでいきたい」

「……あるんですけど」

「オホッ。七味マヨネーズまでついとる。ありがとうよ」


半田猟兵は久しぶりの故郷の味にありついて嬉しそうにあたりめをマヨネーズに付けて、噛んで味わっている。

95歳を過ぎてなお半田の歯は20本以上ある。

壮健なご老体だ。


「俺も赤ジンジャービールをもらおう。あとフカザー牛のローストビーフはあるか?」

「……あるんですけど」


エドゥの希望に答え、業務用の巨大な冷蔵庫から出されたそれはまごう事なきローストビーフ。

肉厚だ!

エドゥはそれを嬉しそうでもなく、楽しそうでもなくモッチャクッチャと無表情に喰らう。


みな、食事を堪能した。

アパムが言った。


「腹も満ちたし眠くなってきたな。なあマスター、まさか清潔なフカフカのベッドまであるんじゃないだろうな?」

「……あるんですけど」


部屋の隅に備え付けられた簡易折り畳み仕様のベッドで長旅の疲れを癒す一行。

そのまま泥のように、泣き疲れた赤子のようにすやすやと眠る。


気配が。

気配がゆっくりと南から近づいて来る……。



           続く



ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。

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