センタレア直属魔法士団
センタレア
ハーモラルにおけるセンタレア大陸の最西端に位置する大陸最大級の大国。
人口、面積、技術、文化、どれもセンタレア大陸随一を誇りこの国で生まれてこの国で生を終える者も少なくはない。
そしてそのセンタレアには治安維持の他に国を外敵から護るため、国を主とする組織が存在する。
それがセンタレア直属魔法士団
この国のために命尽くさんとする選りすぐりの戦士が所属する組織だ。
その戦士の中でも上位8人の戦士は席と呼ばれ難易度が高い任務を与えられる。
特に現団長のフィナンシェ・モンブランは大陸中の国に広く顔とその圧倒的な実力を轟かせており歴代の団長の中でも最強との呼び声も高い。
そんなセンタレア直属魔法士団が今日は新入りと2人を除いた6人が同じ場所、センタレア城のある部屋に集っている。
「さて。今日はお集まり感謝するワ」
上座の椅子の腰掛けるは澄み渡る空色の髪の小さな女のフィナンシェ・モンブラン。
センタレア直属魔法師団の第一席。
とどのつまり団長だ。
「ほんとだぜぇ団長さんよ、デート断ってまで来たんだ。大したことじゃなかったら怒っちゃうぜぇ俺は」
右目に眼帯を掛けた茶色い長髪を後ろで束ねている男はグライエ・クォーツ。
女と酒が何よりも好物の浮ついた魔法士団の第四席だ。
「場の空気を読め馬鹿者が。貴様の恋愛事情などそこらの魔獣にでも食わせておけ」
薄目の黒髪の逆張ったヘアスタイルが特徴の厳しい言葉遣いのこの男。
唯一、異国の地で生まれた第五席のハンズ・ハトリ。
「それよりぃ、何人か居ないみたいだけどぉ?」
艶美な雰囲気を纏う淡い栗色でふんわりとした長髪の女性が不在の席を疑問に感じていた。
現代魔法研究の第一人者、第七席のエリーズ・ミザンガ。
『プポプパピパピ。ポポピッパポ』
解読不能な言語かどうかすら怪しい謎の音声を発するこの魔法人形。
第八席のパピンポ。
「ほっほ、パピンポや。お前さん相変わらず何言っとるか分からんわ」
ローブを纏い腰を深く曲げている老齢の男性。
魔法士団前団長、第三席のウェルテクト・シアッセ。
「パピンポはスノウがいないけどどこ行ったの?って聞いてるわ」
「おぉそうかい。すまんのエリちゃんや」
「スノウ…?あの新入りの嬢ちゃんか。そいや最近見ねえな」
「スノウは別命でしばらく帰ってこないワ。それにこれから話す事じゃあのコは着いてこれなイ」
「ふむ。その口振り、余程困難な事態が起こると見えるが…」
「そうネ、単刀直入に言うワ。アヴェダレオから遣いが来た」
フィナンシェが席を集めた要件を伝える。
それを聞くと席の全員の顔つきや目つきが険しいものに変わった。
アヴェダレオと言えば海を超えた先にある侵略国家だ。
今現在はこちらの大陸に目立つ被害はないが一部の人間はこの大陸で暗躍していることは把握している。
「へえ、あのアヴェダレオがねぇ。要件はなんだい?」
「要約すると近い内にアヴェダレオの鎖国を解くから貿易を申し出たって感じかしラ」
「嘘だな」
「信用ならん」
「嘘ね」
『プポ』
「嘘じゃろ」
「表向きはこういう名目。もっと詳しく言うと直接的な会話をしたいからアヴェダレオの王が直接こっちに来てうちの国王と会いたいらしイわ」
「ダメだ」
「有り得んだろう」
「ダメよ」
『パペ。ペッパピ』
「ダメじゃろそれ~」
「士団の意見は否定で出しとくワ」
『ペポ、ポポパパピパパプッペポポパ…?』
心配したパピンポは感じた不安をフィナンシェに尋ねた。
「パピンポの言う通りよ。うちの国王は応じるつもり」
「あちゃぁ…なんで応じちゃうかなぁうちの王サマは」
グライエは頭を掻いてこれから起こり得る自体に辟易するが脳内にはすでにあらゆる対処法を考えている。
「知ってるでしょぉ。うちの王様ほどお人好しな王様は他の国にいないわ」
「人が繋ぐ可能性を信じているのが我が国王だ。それに何か不測の事態があっても対処できると考えて承諾したのであろう?」
エリーズとハンズは仕えるべき主を深く理解している。
そのため我が王がそれをやりたいのならば我々はそれを支える心意気だ。
「そうじゃろうな。至急、対策と当日の護衛体制を練るとしようかの。二席と六席に声は掛けてあるのかぇ?」
「伝書鷹は飛ばしてあるワ。というかコレ強制、団長命令だかラ、断ってもムダ」
「スノウちゃんはどうするのぉ?呼び戻す?」
「経験積ませるっていう目的で呼び戻してもいいけド…事態が事態だから今回は見送りまショウ。当日の警備にはウチの席じゃない団員と信頼がある冒険者を雇うらしいから多少は戦力増えるワ」
「嬢ちゃんはどこまで行ったんだい。まさか…実は男と駆け落ち?」
「スノウに限ってそんな訳ないデショ。あのコの才能を育てないのはもったいなイから修行がてら異界管理局に貸し出してるだけヨ」
グライエは過去に異界管理局のケンゾー氏と顔を会わせて話をした記憶がよぎり苦虫を噛み潰したような顔を知る。
「異界管理局ねぇ。俺はどうもあそこの人が苦手でね、あの人といい夜明けの太陽にいた人といいチキュー人とは相性が悪いのかもな」
「何はともあれ私達は今に集中しまショウ。アヴェダレオが一体何を企んでいるのか…片手間で行える任務じゃないワ」
「りょーかいっと。デート断ってでも参加してよかったぜ」
「アナタはもう少し真面目になってほしいものネ…」
リントとスノウの知らぬ所で、ハーモラルの世界情勢が大きく変わろうとしている時が刻一刻と迫っていた。




