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薬師 アレタ・ウリーの旅


こんな冴えない僕のために時間を割いてくれてありがとう


僕の名前はアレタ・ウリー

薬師をしながら旅をしているただの青年だ


薬師といっても名を馳せていたりどんな病気も治せるというわけじゃない

正確には一流の薬師を目指しているといっていいかも


今は訳あってシンヘルキという国に向かっている最中でね

もちろん僕個人の理由もあるけど今は二度も僕を助けてくれた年下の冒険者くんに恩を返したいという理由が近いかな


火吹きの偽竜(ファイア・レプタイル)森崩しの猪(フォレスタッド)、どれも僕の手に余る強力な魔獣だけど()()臆せずに立ち向かった


僕なんていつも逃げ回ってばかりなのに、同じ男として情けないなぁ


そもそも、僕が欲しい花やキノコは大体危険な魔獣の棲家だったり縄張りだったり運が悪い


昔は頼れる仲間がいたけど…()()()()()


かといって護衛を雇うお金もないし欲しい素材は高いしで結局自力で取りに行かないと採算が取れない


それでも僕の治療や作った薬で身体を治してくれるとやっぱり嬉しい


今回はたまたま僕が助けられたけど普段は逆だってあるんだ


怪我をして動けなかったり毒が体内に入ってしまった冒険者や衛兵さんに薬を飲ませたり治療魔法を使って治してあげると「ありがとう、助かった」って感謝の言葉を貰える


そうやって人を助けれると僕の学んできたことが無駄じゃなかったって実感するから薬師をやっている面もある


偽善だと言われてもいいさ、僕はやりたい事をやっているからね


とはいえ人の命に関わるのなら無責任にはなれない


人の命に少しでも関わったからには、人々を心配させない事

救いに来た者が誰よりも怯えた顔をしてはならない

これは薬師としてではなく、何事にも通ずる


これは師匠が常々、口にしていた言葉だ


僕も、病は気からではないが人の生命の根源には間違いなく()()()があると思っている

生きようとする気持ちが、ね


それに一人で旅をしているのも悪くない

誰にも縛られず、咎められず、己のやりたい事だけをやる


たまには騒がしさが欲しくなるけどそしたら酒場に行けばいい

酒は飲めないけど人が楽しそうにしているのは好きだ


しかしふと過去の失敗を思い出して嫌な気持ちになることだってある

薬師の失敗は=で人の命だ


僕たちに失敗は許されないのに、僕は一度だけ失敗をしてしまった…この話はよそう


「さてと、そろそろあの子達が言った時間だけど…これでいいのかな」


白い長髪の子から渡されたこのよく分からない形をした模型を地面に刺し込む。


特に何も変化は起こらない。


「不用意に動き回ってもまた魔獣に襲われそうだからなぁ…この5日間はたまたま遭遇してないからよかったもの…のぉぁ!」


デジャヴを覚えるほどの音を立てると模型を立てた場所に車輪の付いた鉄の箱が落ちてきた。


「びっくりしたぁ…」


扉らしき物が開くと青ざめた顔の少年と少女が手すりに捕まりながら降り、地面に立つと膝をついて手を土に付けた。


「ほんっとうに…慣れないわ…」

「これが一番嫌だ…」


少年少女が離れたのを確認したのか、その鉄の箱は車輪を回転させどこかへと走り去ってしまった。


「や、やっほー…アレタ…久しぶ…うぇ…」

「一旦落ち着いて?深呼吸しよう」


数分後、乗り物酔いを落ち着かせたのでこの5日間の出来事を伝えながらシンヘルキに向けて歩く。


「あと半日くらい歩けばシンヘルキが見えてくるよ」

「まじ!じゃあ今日中には着くな!」

「私達がいない間、魔獣に襲われなかった?」

「なんとかね。危なかった事もなくはないけど無事に会えたね」

「すんすん……潮の匂いがする」


草木の匂いから僅かに潮風をリントの鼻は感じ取る。


「この森林を抜けたら海沿いに出るんだ。元々、シンヘルキは造船産業で成り上がった国だからね。冒険者御用達の荷車とそれを引く魔獣の牧場だって造船産業に付随して発達した文化だ」

「へぇ。俺達もこれからの旅に備えて荷車と魔獣買わないとな」


買う、と言う単語が出た時にアレタはリントとスノウの身なりを見た。

スノウはなかなか上質な素材で織られた衣服を身に纏っており育ちや家庭環境を伺える。

おまけに襟元にはセンタレア直属の魔法士団の証も付いておりある程度の収入はありそうなものの…


「リントくん…お金あるの?」


この少年は身にしている服装もハーモラルで広く流通している冒険者に好まれる軽くて丈夫な物。

しかしそれは色褪せており使い古されていることは容易に察せる。

冒険者の象徴とも言える腰に下げている剣もやや錆びている。


「マナストーンをちびちび売ってたり後は旅立ちの時に貰ったりで…42万円…じゃなかった42万エルあるよ」

「42万エル…それだったら荷車かそれを引く魔獣のどっちかしか買えないね」

「ええ!?そんなに高いの!?」

「去年くらいから値段が上がってるらしいんだ。又聞きだから正確性はないけど…」

「地球にまだ残してるマナストーン全部あれば60万届くか…?」


家に置いてあるマナストーンを売り払った場合の計算を少ない脳みそでしているとここでアレタが一つの提案をした。


「冒険者ならしばらくシンヘルキに滞在して紹介場から依頼を受けてお金を稼ぐのはどう?」


すっかり忘れてた

俺はもう冒険者なんだからこうやってお金を稼ぐことができるんだった


「それだぁぁぁぁぁぁ!!」



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