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新たな約束


じゃああんたがわたしに勝ったらなんでもしてあげるわ


そうよ、わたしつよいもの。ジュースもタルごとだろうがかってあげる。

あ、そうだ!あんたとケッコンしてあげてもいいわよ?

顔はちょっとかっこいいし、あんたも私に惚れたんでしょ?


へぇ・・・言うじゃない。ハッタリじゃないといいわね


これは(凜斗)と白の長髪美少女、スノウの出会いだ。

10年前、家族でハーモラルを旅していた頃の記憶。


あの時、夜明けの太陽のギルドで出会って一目惚れ。

そして力比べをして勝った俺はこうやって10年後の今に至るまで再開したスノウにしつこく求婚しているわけだ。


たまに振り返るが我ながらなかなかおかしい行動をしてしまった気がする。

惚れたのだからしょうがないだろ。


だが、問題が起こったのはその後だ。


その夜にとある魔獣が引き起こした()()()()と呼ばれる事象がギルドがあるセンタレアを襲った。

雨粒のように雷が降り注ぐこの異常気象を母の魔法で防ぎながら俺を異界管理局まで送り届けた。


「おやじっ!母さん!」

「心配すんな。お前の父ちゃんと母ちゃんはこの世界で最強なんだぜ?」

「他のみんなも助けてくるから!お爺ちゃん達と待っててね」


そこからはハクトさんと健三さんが俺を担いでゲートに投げ入れて、気がついたら地球にある裏山のゲートにいた。

子どもながらに、両親を助けようとするとそこのゲートは魔力を失っておりどこにも行くことは叶わず単身で家に戻った。


俺の話を聞いたじいちゃん達は慌てて他のゲートに向かうもどのゲートも効果を失っておりただのオブジェと化しており、両親が帰ってくることはなかった。




手が温かい

落ち着く柔らかい感覚

出来ることならこのまま触れ続けてほしい


「…んぁ?」


目が勝手に開いた。

目覚めたというよりかは身体が起きたような。


「起きた…?」


信じられない、と言った目で白の長髪美少女はこちらの顔を眺めていた。


「…スノウ…スノウ!?」


その顔を見れたのが心から嬉しくて、愛しくて、白の長髪美少女を抱きしめた。


「よかった…無事で良かった…」


本心8割、下心2割なので

『ええい!くっつくな!』

なーんて、いつもみたいに突き飛ばされるかなぁ


「あ、()()()こそ…ぶ、無事で…よか…った…」


あれ?

なんかいつもと反応が違うぞ


「俺の知ってるスノウじゃない…偽物?」


自然とスノウの体を離した。


「は、はぁ!?」

「スノウだったら俺を突き飛ばして氷魔法で攻撃してくるはず!お前は一体誰だ!」


指パッチンでリント(このバカ)の頭の上に氷を落としてやる。


「あぎゃん」

「珍しく私が()()()を労ってやってるのに…!」


頭の上で回っている天使たちが落ち着き、物事をしっかり判別できる状態になるとスノウに現在の状況を聞く。


「俺どんくらい寝てた?てかここどこ?」


「2日よ。ここはビョーインっていう所らしいわ」


「入院してたのかぁ。ってそんなことより!魔王は!?」


「おじいさまが追い返したわ。正直、魔王もおじいさまもあんなに強いだなんて…」


「そっか…みんな無事だった?」


「あんただけよ。おじいさまも大した傷は残ってないって」


「ふぃー。よかったぁ…にしても魔王強すぎてビビったぁ。マナ濃度の薄い地球であんな強力な魔法を使うんだからな」


「…そうね」


「もっと強くなんないとだめだなぁ。前だって森崩しの猪(フォレスタッド)にめっちゃ本気出しちゃったし。あいつって確かCランクだろ?」


「…いいえ、改定されて今はBランクよ」


「そっかぁ!どっちみちBもAも超えないといけないからな。ヴォルトアン・ヘアットはSだしあんなのに手こずってたら親父たちを見つけるなんて…」


「怖くないのっ?」


食い入るように会話に感情の籠った大声をスノウは出してしまった。


「私、怖かった…魔王じゃなくて…私のせいで誰かが死んじゃうことが…あんただって私を庇って…」


相当、自責の念に囚われているようだ。

逆の立場になれば俺のせいでスノウが危なかったというわけなのだから。


「スノウ、俺言ったじゃん」


お前は死なせねーよ。俺も死なないし二人でこれからハーモラル旅しようぜ


「…俺は()()破んないよ」


約束、という言葉に何かしがらみがあるのかその言葉を耳に入れてから崩れそうな顔をしている。


「嘘よ…だって…パパとママは…()()を…()()()()()()()()っ!」


私や受付嬢さん達を地下に逃してから絶対帰って来るって言ったパパとママは結局帰ってこなかった

あの時、私が飛び出してたらきっとこんな感情にはならなかったのかな


「スノウ」


震えて泣きそうなスノウの後頭部に手を回してそっと抱き寄せる。


「俺は死なない、お前も死なせない、そして親父達を見つけだす!新しい約束だ」


ばかみたいな笑顔を浮かべたリントにほんの少しだけ新たな光を見出した。


「…信用できない」


「信用も何も、この約束は()()二人で達成する約束だろ?やりきれるかどうか俺達次第!」


いいの?

私はこの(約束)に縋っても?


「なーんて…でもさ!俺達結構新しい事わかってるじゃん!ハーモラルの歴史とかアヴェダレオが関係してるとかさ!だからやれるよ!着実に前に進んでるんだ!だから、俺と一緒に来てくれよ」


こんなことは理想論だ

たまたまうまく行っているだけ

あともう少ししたら行き詰まるに決まってる

ここからきっともっと苦しくなるに違いない

達成できないに決まってる

だから言わなきゃ

そんなこと()()()()()()


「…うん、あんたのその約束…少しだけ()()()()()


「へへっ、これで決まり!」


少しでも希望や光があるのなら

それがどんなに可能性が低くても、()()()()()()()()()()()()()

もうあの時みたいに後悔はしない

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