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「どうして彼と付き合ってるの?私が彼のこと好きだって知ってたよね?」
「どうしてって、私も彼のことが好きだから、付き合うことにしたのよ」
陽は冷たい視線をものともせずに言い放った。
取り巻きの一人が負けじと応戦する。
「いや、なんのために彼が好きだって、あんたに伝えたと思ってんの?」
「そんなの私には関係ないじゃない」
陽もすかさず言い返した。
「……それに、告白されたのは私だし」
陽の言葉に信じられないと言う顔をして、取り巻きの中心で泣いていた女子生徒は顔を上げた。
「今なんて言った?」
「告白されたのは私って言ったの。なのに私、自分の気持ちに嘘なんてつけない」
「ふざけんなよ!」
女子生徒は陽の頬を力任せに引っ叩いた。
キーンと耳鳴りがして視界が波打つ。
涙で視界がぼやけて消えた。




