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 曇天の放課後、人気の無くなった昇降口の一角で、一人の女子生徒が両手で顔を覆いながら涙を流している。

「どうして彼と付き合ってるの?私が彼のこと好きだって知ってたよね?」

 その様子に、彼女の取り巻きたちは(はる)を責めるように鋭い視線を向けた。

 彼女は今にも崩れ落ちそうに肩を震わせている。

「どうしてって、私も彼のことが好きだから、付き合うことにしたのよ」

 陽は冷たい視線をものともせずに言い放った。

 彼女は信じられないという風に顔を上げて何かを叫んだ。怒りで頬が紅潮している。

 彼女が何を叫んだのか分からないまま、陽の意識は覚醒へと向かった。

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