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22話 踊り狂う帰還命令 その1

見渡す限りの黒い土と、燃え上がり煙を噴き出す火山のような山々。


空には一面の分厚い雲が張り巡らされ、不思議なことに全然明るかった。雲が空を隠しているのに、雲が光っている訳でも無いのに十二分に明るい。いや眩しい。


そして今。俺達はある方向にかなりの速度で移動しているコアを追い掛けている。


何故コアがそんなことをしているのか分からないし、何故コアが俺達をこのエリアに飛ばしたのかすら分からない。それを知る為に追い掛けている訳だが……流石に疲れて来た。


「ねぇ!なんかガラクタが増えてない?!」

常盤の言葉にハッとして周囲を見渡すと、地面に様々な金属片があるのが見える。小さな手の平サイズの金属片から、高層ビルと見間違うくらい巨大な塊まで。


その形から僅かながら文明の跡を感じるが、あまりにもボロボロでどんな文明があったのか判別ができない。だが、1つ分かることがある。それは、コアが向かっている方向に行くほど、金属片の量が増えているということだ。


「デルメン……トルト……」

「本当か?!白銀!」

「うん、ほらあそこ!デルメントルトのロボットに似てない?」


白銀が指さす方向には、大部分が凹み変形した鉄塊のような塊。確かに形は凹んでいるが、デルメントルトにあったロボットと似ている。


……そう言えば、デルメントルトは空中都市だ。空中に浮遊し続け、雲より上の位置にあった。あそこでは雲の下は見えず、あの時の状況では雲の下を調べる時間が無かった。だが……


「なぁ、ここはデルメントルトがあったエリア674終末虚街の雲の下じゃないか?あの時デルメントルトは崩壊して下に落下したから、それの残骸が今ここに」

「確かに、充分あり得るかも」

「なら下手に触れないで。またデルメントルトのロボットが動き出したら目も当てられない!」


あのロボット達の脅威を知っている俺と常盤は、静かに頷いた。


『ピー、ピピ』


「「「あっ」」」

動いた。人型の3m前後の大きなロボットが。


「……に、逃げて!走って!多分壊れかけだから時間経過で勝手に壊れると思う!」

「動くものでも感知したか?!確実に俺達だろうな!」


不味い。俺ではなく白銀が。この中で一番体力が無いのは白銀だ。確実に最初にバテる。そんな状況の中、ロボットが追い掛けているという精神的な追い打ちに耐えられるのか?答えはノーだろう。俺でさえ少し疲れているんだ。


「……先行って!後で追いつくから!」


常盤が急停止し、ロボットに立ちはだかる。常盤なら問題ないだろう。パンチ一発でロボットを破壊でもしてすぐに追い付くだろう。


『ドッカーンッ!!』


背後から大爆発の音が聞こえた。やったのだろうな。そしてすぐに常盤が俺と白銀に追い付いた。あぁ、俺と白銀に合わせてくれているんだな。コアはまだ見えている。この速度を保てば大丈夫そうか。






白銀は程なく息切れし常盤に担がれ、そして今、山登りをしている。


先進的なビル群や機械群の塊が山となり、その頂上に向かってコアが直進している。もういい加減にして欲しいが、もうそんなことは言ってられないほどの事態に今直面している。


崩れているのだ。足場が。元々不安定なのだろう。そこに人間3人分の動く重量が微妙に保っていた均衡を崩し、今まさに俺達が危機している。崩壊速度は遅いが、山登りは流石にキツい。全身から体力がゴリゴリと削られる。


かつてボルダリングで日本大会銅メダルを獲得したが、キツいものはキツい。あと山登りとは微妙に競技が違うのも後追いしている。あぁ、腕がつってきた。






かなりの距離を走り体力の限界が近付いている頃、既に白銀は体力限界で常盤に背負われている頃、形が何とか残っているデルメントルトの中心部と思われる残骸の山に辿り着いた頃、コアはそこで停止し、俺達はようやく追い付いた。


「ふぅぅ……追い付いたぞ、コア!」

衝動のままにコアに近付く俺に、常盤が手を伸ばし待ったをかけた。


……流石に疲れで頭が動いていなかった。反省だ。一定の距離を保ち、ただコアの返答を待っていると、急な電子音がコアから鳴り響く。


「目的地到着。デルメントルト最高権力者のコピーデータの取得開始。完了。起動しますか?」


白銀が俺に目配せをした。どうするべきか迷っているんだろう。俺も迷っている。こんな世界、0.1歩間違えただけでも死に至る可能性があるのに、そんな可能性を助長させるのは何としても避けたい。


……どうするべきか。


俺と白銀が迷う姿を見かねたのか、常盤が数歩前に行った。最悪自身が壁になるという判断なのだろうが、自己犠牲をただ何もせず見ている訳には行かない。


常盤の意図を理解した白銀と共に武器を構え、何かあれば動ける態勢でそれを待つ。

「……起動して」

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