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20話 宇宙をその身に宿す者 その2

頭上の上からのガラスを突き破る音と共に常盤が頭上に指を刺し、その方向に視線を移す。


上から……両目を閉じた……仏頂面でスーツを着た……少女?見間違いか?いや何度見ても少女にしか見えない。


スーツ姿の、黒髪短髪の少女がこの場に乱入した。小学生低学年ほどの身長で、何度見ても仏頂面。


見た目は人間だが……


あの高さの落下から、さも当然かのように着地を成功し、普通に立ち上がった。足の骨が折れてないのか……?


少女は両目を閉じたまま周囲を見回すように首を回し、こちらに顔を向けると手をポンっと叩いた。何をしているのか、全く分からない。


「神は我等を見ている」


おっと。完全に少女に気を取られて忘れていた。少し目を離していた隙に、弾痕の残る頭のまま教祖の頭上にエリア全体に降り注ぐ緋色の羽と大量の血で形成された鳥らしき物体がそこにいた。


そして啄んだ。教祖を。


「「あひゃひゃ!「「「「「「ははははは!?!」」」」」


狂乱した声が重なる度、周囲の緋色信仰の者達が血痕となって消えて行く。


可能性としてはまさかだが、この者達があれを育てる為の餌とでも……?


「……確定」

……?どうしたんだ?急にコアが確定と……


あぁもう!色々と重なり過ぎて意味が分からん!取り敢えず逃げ出すか?いや駄目だ。あの少女が何者なのか分からない上に、あの鳥らしき物体がとんなアクシュンを引き起こすかが全く持って不明。


防護服があるとは言え、背を向けた瞬間に攻撃されたら死ぬ自信がある。


『パン』

あの少女が手を叩いた。すると急に音が凪いて行き――――


……っ!衝撃波か?!しかし手を叩いただけで?そう言う異常か……!?


取り敢えず俺と常盤と白銀とコアと少女と鳥らしき物体以外の全てが吹き飛んで行った。咄嗟に床を殴り腕を埋まらせてその場に固定した常盤に感謝だ。常盤に掴まらなかったら俺も白銀もコアもエリアの彼方に吹き飛んでいただろう。


「直径20m。重力超過加速隕石」


今、隕石がなんとかと呟きが聞こえたが、明らかに俺の目に見えたのは隕石じゃ無い。ただの極太ビームにしか見えない。


あの仏頂面と閉じた両目のせいか、予想通りなのか予想外なのかをこの場から見た限りは全く分からない。表情が読めない。


さっきあれを俺の中では人間と断定していたが、前言撤回あれは人間じゃない、あれは怪物だ。


「……風速10000000000m。気体星掘削台風」


今度は風……?!風なのか?!風と呼べるのか分からない。全く分からない。俺の目にはただの極太の螺旋状のビームにしか見えない!


当然の如く、あの滅茶苦茶な現象と呼べるのかすら分からないそのビームはあの鳥らしき物体を抉り消滅させ、エリアの壁を貫通し、何か別世界か別エリアらしき光景がその先に見えた。


これは夢なのか?!さっきまでの緊迫した状況が目覚めた夢のように霧散した。それほどにそう思いたい!


「対象存在の出現を確認……︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を起動」


は?!い、いきなりコアが……何をするつもりだ?!


「ど、どうしたの?!」

吹き飛ばされないように腕を固定化している常盤が混乱混じりにそう言った。白銀も何か言いたげなぁ表情おおお…………!!


『……?』

次元間通信機器の向こう側で荒起博士が困惑する声と、何が起きているのかの会話が微かに聞こえる。俺はもうそっちに行ってこの地獄から今すぐ抜け出したい!


爆風か爆発かもう分からん衝撃が放たれている!もう訳が分からん!一旦落ち着かせてくれぇ!!


「指定エリアへのワープを開始」

「ちょ……待――――」



◆◇◆◇



「……」


緋色の空が照らす草原。


緋色の鳥が目を開けた。

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