19話 決壊する想像 その2
「……想像するだけでこんな天変地異を引き起こせれるなんて…………」
今現在、俺達は想像で海水全てが上空に上昇し、そのまま上空に停滞する。と言う想像で海水の無い海底を探索している。
海水と共にあの魚が上空にいるお陰でかなり安全に探索できている。
だとしても、かなり止まり。確実な安全は程遠い。
例えば、今地中から現れた……
「きょ……巨大カニ……」
上空の海水に巻き込まれなかった水生生物が、まだまだこの海底にいる。
目の前に突然現れた巨大ガニもその部類に入る。
下手におかしなことを想像して取り返しのつかない事態になったら大変だ。だから巨大カニ等の生物は順次武力行使で制圧している。
「せい!」
……主に常盤がパンチを放つだけで終わるが。
「前方500m地点に人型の有機生命体の反応を検知。恐らく人間です」
海水の無い海底を進んでいると、コアが突然そう言った。
「その映像を出せるか?」
「少々お待ちください」
数秒経って、コアから映像が出された……が、赤っぽい色の服を着用した2人の人影……ん?何か長物を取り出して……こちらに長物を向けて……ってまさか!
「全員伏せろ!」
『ドゥン!!』
独特な音と共に何かが頭上を通り抜けて行った。幸い俺の声で常盤と白銀とコアは地面に伏せたことで当たることは無かった。
しかし、何故いきなり何かを放って来たのか……それが分からない。まぁ意思無き怪物のように目につく者全てを攻撃するバーサーカーなら別だが。
「……思い出した……思い出した!」
現状どうすれば良いか分からず伏せていると、急に白銀が声を張り上げた。
「あの姿……あの服……緋色信仰の服だ!」
マジか、こんな場所で鉢合うのは些か予想外だな……
……待て!こんな場所……このエリアに俺達以外の部外者がいるのは危険過ぎる!
もし仮に想像が引き起こす事象を知られたら、勝てるかどうか怪しい!
『ガチャ』
「!」
「?!」
「……!」
「動くな」
いつの間に背後に……?!いや、最初から3人いて、前方の2人の攻撃で気を逸らされた隙にここまで来たのか。
音と声の発生源から、銃口は俺の後頭部に置かれているだろう。防護服があるとは言え、何かしらの異常があった場合は危険だ。どうにかしなければ……
完全なる敵意……緋色信仰の前情報から、敵と断定して良いだろう。
先手必勝、上空の海をこいつ等にぶつける!そして逃げる。
「……!ぽが、ががぼぼぼぼ…………」
よし直撃。念の為海水だけを持ってきたから死ぬことはないだろう。
「今の内に逃げるぞ!」
俺の声で2人が俺と一緒に走り出す。
敵対的な行動を取る相手をするのはもう疲れた!だからこそ戦闘を回避する方法があるなら喜んで使わせてもらう。
そして想像の射程距離は既に検証済み。
「コア!あそこの奴らは今どうなってる?!」
「現在は上空からの海水の濁流により武器から手を放し軽く溺れています」
よし、これなら逃げ切れる。あとは別エリアに行ければ上々だが……
「新條君!」
常盤からの声……?声色的に危険の知らせ……まさか!
「ぬおっ!」
白銀に引っ張られ、後ろに軽く吹っ飛んだ。そして俺がいた地点には、溺れているはずの、前方にいた緋色信仰の奴の1人がカッターを手に突きをして空ぶっていた。
溺れているはずだが、早い……しかもあの距離をこの一瞬で……移動速度がかなり早いか瞬間移動の類か。
そして手に持っているカッターは絶対異常を持っている。
「……」
こいつ……無言でカッターをぶん回して何も喋らない上に目から生気を感じない。
今持っている銃で致命傷足り得ない箇所に当ててみる。
『バンッ!』
よし、カッターを持っている腕の上腕の静脈動脈が無い箇所に銃弾を掠らせ小さな切り傷と同等の傷を生み出すことができた。
だが無反応。人間だからとできるだけ手加減しているが……これは……人間とカウントしない方が良いかも知れない。これ以上は下手すると俺達が死ぬ。
肘と膝の四肢に銃弾を撃ち込み行動不能にする。念の為カッターは銃弾を直撃させて遠くに弾き飛ばす。
一応これで一安心……
ん?……行動不能にした奴の懐から赤い……いや、緋色の羽が出ていた。さっきまでは見えていなかったが、どうして……
『私は君達を歓迎しよう』
「誰?!」
出所の分からない男の声。そして緋色の羽が飛び出し、複数……数十……数百……数え切れないほどの羽が分裂し増殖し、俺達を左右前後上を完全に囲った。
あのノート読んでいるからこそ、緋色の羽に触れるのは不味いと分かる。だがこの囲いから脱しなければ何かが起こると俺の直感が言っている!
どうすれば良い?!どうすれば…………眩しい?!
突然光が放たれ、俺達を包み込んだ。しまった……判断が遅すぎた!
瞼の下の目に届く光が弱まり、完全に先程の光力が無くなった。目を開いてみる。
「ようこそ、カニバリカルトを屠った者達」
……一難去ってまた一難か。




