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アビスシステム  崩れゆく常識、積み重なる異常  作者: 鷹鴉
三章 欲望と渇望の塊

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16話 知も常から堕ちる その2

「うぐ……狭い……」


「……定員1人が3人になっているからこれほどまでに狭いんだろうな…………不味い、流石に圧迫感が……」


「検索中…………ヒット。エリア77閉暗恐症。高さ1m60cm。横40cm40cmの長方体のエリアです。観測されたエリアの中で最も狭く小さいエリアです」


「帰りたい……ねぇ、ここでヘヴンシステムを出したらどうなるの?」


「ここで出した場合、ヘヴンシステムが狭さ故にスクラップとなり、皆様は圧死します」


『流石の儂でもそんな想定はしておらぬぞ……』


こうなってしまったのには、数時間前に遡る。



◆◇◆◇



アビスシステム実験開始日。


4回目ともなれば調査時間が変わるもので、1回目は約10分程度だったのに対し、今度は完全な安全地帯を見つけるまでエンドレス。俺でも流石に調査に慣れて来たとは言え、これには異議を唱えた。だがすぐに叩き落とされたが……


そもそもここにいる時点で逃げ場は無いのだろう。そう考えつつ防護服を装着する。


前回の実験の時、対支配人ジョキュへの切り札として大活躍した小型ミニ電磁砲銃レールガンは、まだ調整が必要ということで今回は無い。


そして今回の実験の肝はコア。必要全ての資源を持っている為、行方不明になった場合特殊部隊の命運が決まる。


いつも通りアビスシステムを抜けて異常界に到達した。


周囲には超巨大な木々が生い茂るエリア24果実楽園。そしてアビスシステムと繋がるヘブンシステムの目の前には腐れ林檎姫の家。


俺達が異常界に来た瞬間、扉を開けて歓迎した。腐れ林檎姫の対応は白銀に任せ、俺と常盤は周囲の確認をし、コアはヘブンシステムを亜空間格納庫に入れる。


これ等の作業が終わると、腐れ林檎姫が俺達に向けて手を振った。あの時と同じように。


「えーっと。林檎さんの家からは…………こっち」


白銀の提示した方向を進み、エリア24から別エリアへの道を探す。


「確かここら辺」


ある程度進むと白銀がそう言った。周囲を見渡すが、目立つ物は無し。流石にレンガのような異物は見当たらない。見当たればある程度楽だが……






「あっ」

「…………!白銀ちゃん大丈夫?!」


今立っている枝の端を探索していた白銀が足を滑らし、近くにいた常盤が滑って落ちた白銀の腕を掴んだ。見た限りはギリギリだった。


「あっ」

「おい!常盤も滑らすな!」


白銀を引き上げる為に俺が加勢に行くと、丁度常盤が足を滑らした。何とか常盤の腕を掴めたが、この状況は非常に不味い。落下しかけの白銀の腕を掴んでいる常盤の落下しかけの腕を掴んだ俺という構図になった。つまり俺が足を滑らせた場合、特殊部隊が一斉に落下してしまう。


「ご主人様!」

コアが反重力機構を使い人間2人分の重量が少しマシになった。このまま引き上げれば――――


「あっ」

「ちょっとー!」



◆◇◆◇



俺が落下した後、落下地点である数百m下の枝に向けて落下し、コアが反重力機構で頑張るが変わらず、そのまま数百m下の枝に落下…………したかに見えた。まさかのその枝が別エリアへの入り口であり、枝に激突する寸前に枝をすり抜け、結果こんな事態になってしまった。


約20分間。ずっとこの状態である。


流石に今すぐ抜け出したいが、解決方法は見つからず、今はコアの検索待ちになっている。


カラット情報道社の情報は確実では無い。


この前の人形侵攻があり、コアは様々な情報発信企業の情報を入念に調べるようになった。確実になった分時間は掛かる。だがコアはこのエリアの脱出方法について苦戦しているようだ。エリア情報が出ても、まだ脱出方法が分からないらしい。






「脱出方法が判明しました」


このエリアに閉じ込められてから約1時間。流石に体が痺れて来たから脱出方法が分かったのは行幸だ。それでどうすれば脱出できるんだ……?


「まず、重力方向の4つ角にはそれぞれ4種類の記号があります」

「あった!」

一番下にいる常盤がそう声を張り上げた。


「Kに類似した記号を上から押して下さい。Kを中心とした丸が約0.5cm沈みます」

「押して沈んだ!次は?」


「Kの反対側に二重丸が現れたはずです。その二重丸を軽く5回叩いて下さい」


重力方向の反対側…………俺か。えーっと。あった。これを5回叩けばいいのか。


「二重丸を5回。叩いた。次はどうすれば良い?」


「二重丸を5回叩いたら、次はKの対角線上にある♪のマークをK同様に押してください」

「押した!」


「次に――――」






それから複雑な工程を延々と続け、エリア77閉暗恐症に閉じ込められてから約2時間が経過しようやく……


「最後に、白銀様の前方にある壁を押して下さい。かなり重いので全力で」


「最後……?本当に最後なの?!」

「はい、最後です」


やっとだ。やっと終わりが見えた。初っ端からこれでは先が重い。


俺と常盤と白銀の体勢的に、俺と常盤は手を貸せない。狭くてギチギチで動けない。だからこそ白銀に任せるしか無い。






エリア77閉暗恐症に閉じ込められてから約2時間30分。ようやく……


「あ、ああ……開いたー!」

白銀がそう叫んだ。僅かだが暗かったこの空間が明るくなった。脱出できると考えて良いだろう。


「そろそろこの体勢がキツくなって来たから、出れるなら出てくれ……」

体勢的に、まず白銀からでないと出られない。だから早くして欲しい。


「わ、分かった」

白銀がそう言うと、圧迫感が無くなり何も無い空間ができた。


体勢的に次は俺か……


痺れる体を動かして、この空間外に出る。


しゅういは石や岩でできた洞窟。暗いがこの場所は外からほど近いらしい。洞窟の出入り口からの光がここまで伸びている。


体を軽く伸ばし、それからまだエリア77にいる常盤を引っ張り出す。


「ぷはー……やっと出られたー……」

常盤が全力で体を伸ばした。


エリア77閉暗恐症……かなり恐ろしいエリアだった。情報無しでは出られず餓死して詰む。


『やっと進展するか……』

かなり疲れた声色の荒起博士がそう言った。実際映像無し音声のみではこちら側が分からず、分からないことへの心労は計り知れない。


「新條君。取り敢えず光の方に行ってみよ」

「待ってくれ、もう少し休みたい……」


想像以上の体力消耗……やはり油断ならないな……異常界は……



◆◇◆◇



「貴様が魔王か!」


「第一評議長様……誰です?コイツら」

「我がこの前言った剣と魔法の世界の人間」

「そんなことを言ってましたっけ?」


「……まぁいい、しかも、勇者。莫大な力と自称高位存在と名乗る女神の加護を持った人間。そやつらが壁抜けバグで我の支配エリアに来てしまった。しかも人間と魔族の雌雄を決するという時にバグに巻き込まれた。結果、我を魔王と思っているらしい」


「本の化け物め!これでも喰ら――――」


「思考能力を一時的に消失させての無力化に成功……やはり女神の加護とやらも異常への耐性は皆無か」

「どうします?この人間」


「ふむ。通常なら放置だが……過去を知る限り元の世界に与える影響は莫大か……異常の流出を防ぐ為、即刻第二評議長に引き渡し、元の世界、元の時間軸への返還を頼もう」


「了解致しました」

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