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アビスシステム  崩れゆく常識、積み重なる異常  作者: 鷹鴉
二章 法則を超越した怪物達
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12話 静寂に染まる嵐

「すまない。俺の勝手な判断で皆を危険に晒してしまった」


この場の全員に、俺は土下座で誠心誠意に謝る。想像以上に第二評議長が理性的だったのと、会話を聞かれている可能性を意識し過ぎによる俺の伝達不足で判断を間違えてしまった。


「ちょ、ちょっと!そんなに謝らなくても大丈夫だから!新條君の責任は私達の責任でもあるんだから!」

常盤は俺の土下座を解こうと体を引っ張る。結構な力で引っ張られて正直痛い。


「不安要素を排除すると言う意味では正解の行動だと思う」

白銀は俺を擁護してくれた。


「ボクも白銀様に同意します。何が起きてもおかしく無い異常界で、その判断を下すのは間違っていません」


許されないほどの失態だと言うのに、全員に肯定的に許された。






「そう言えばだけどさ、異常評議会って何?」


気を取り直し、再び暗闇に包まれたレンガの通路を進む中、常盤がコアに視線を向けてそう聞いた。実際俺も気になっていた。現状、俺達が知っている異常評議会の情報はかなり薄い。第二評議長の口からしか語られていないのも大きい。


「異常評議会とは、大小様々な組織が集まり形成された連合組織です。連合のトップとして評議長が存在しており、現時点で第一から第四まで、エリアを片手間に消滅させるほどの脅威的な異常と対話可能な理性的で高い知能を持つ異常生命体が評議長となり、異常評議会を統制しています」


かなり大きな組織みたいだが、白銀が今まで知らなかったのを考慮すると、そこまで影響力は無いのか、もしくはただ知らなかっただけなのか。第二評議長の存在を見る限り、白銀が単純に知らなかった可能性が高そうだな…………






明らかに重力の方向がおかしい水流を何度も見かけながら、コアが指し示す道筋に沿って進んで行くと。レンガの通路の途中に、錆びついた金属製の扉があった。


「扉を開かずに少々お待ち下さい。先程検索して分かったことは、この扉が別のエリアに繋がっていると言うだけですので、詳しく検索します」


コアに言われるままその場で待ち、疲れた白銀はその場に座り込んだ。


「検索対象をヴェルデント商会からカラット情報道社に変更。検索中…………ヒット。この扉の先、エリア50 ドール・ザ・ファクトリー。安全」


……たった一言だけ?


前々から思っていることがあるが、カラット情報道社の情報は情報が厚い時と薄い時の差が激しい。腐れ林檎姫の時は最低限の情報はあったが、今回に至ってはたった一言。薄過ぎてどのように安全なのかが全く分からない。


「開けても良いのかな……?」

俺と同様情報の薄さに疑問を持った常盤が扉の取手に手を置き、開けるかどうかの意見を求めた。


まぁ、安全と言うのなら何かしら安全なのだろう。白銀に視線を向けると、白銀も俺に視線を向けていた。どうやら同意見らしい。


「開けてみてくれ」

俺がそう言うと、常盤が取手に力を込める。


「それじゃあ、行くよ!」

そう言って常盤が扉を開こうとしたが、全く動かず扉は開かなかった。


常盤は一度扉から離れ、扉に向かって突撃を決行した。だがその突撃は軋む音が鳴るだけで終わった。


錆びているからなのか、それとも何かしらの異常が扉に働いているからなのか、扉はうんともすんともしなかった。


今の結果に、常盤は抽出黒錠剤を取り出して一粒齧り、再度扉に突撃する。


鈍い破壊音と何かが弾ける音がこの場に響き、錆びついた金属製の扉が開かれた。


扉の向こうには、今までのエリアと比べるとかなり狭く、地球の工場と比べるとかなり広い空間が広がっていた。


道は開けた。取り敢えず、全員で目の前のエリアに進み――――


『―!!!!』


「うるさっ!」

帳尻合わせの圧縮音声に、この場の全員が苦しんだ。


何とか鼓膜を死守し、圧縮音声が収まるとコアを除いた全員がその場にへたり込む。耳が痛い……






耳の痛みが引き、一度立ち上がり周囲を見渡してみる。


扉から少し離れた場所には、30cmほどの金属製の南京錠が目に見えて壊れ破片があちらこちらに弾けていた。扉に向かって常盤が突撃した時に破壊音と弾ける音がしたのは、あの南京錠が原因か。


エリア50 ドール・ザ・ファクトリー……エリア名にドールが入っているものの、人形は何処にも見当たらない。


工場にある殆どの機械は稼働しておらず、人形用の綿や布が入ったダンボールが散乱し、ただこの場には静けさが鳴り響く。


危険は無いと判断し、次元間通信機器を使い荒起博士に報告する。コア曰く荒起博士側との時間の乖離は無いそうだが、どうなっていることやら。


「報告。こちら、新條蓮。エリア24果実楽園の次のエリア17異常地下水道を抜け、新たなエリアに――――」






『……成程……コアから送られたデータからお主等の現状を知ったが、その後にそんな事態になるとは……不運と言うべきか、死ななかったから幸運と言うべきか。どちらにせよ、儂はそろそろ実験を終了したいと思う。現在時間はもう17時を過ぎた。儂の精神は疲れたし、お主等の体力も疲れて来ているだろう?帰還命令を出す。安全性を確認次第、ヘヴンシステムを設置し極秘異界研究所に戻ってくれ』


「了解」

「りょーかい」

「了解」






それから全員で付かず離れずエリア50を探索し、結果特に何も無かった。まだ未探索の箇所があるかもしれないが、人形と呼べる物は無く、ただ静寂に染まっていた。


荒起博士に再度現状を報告し、コアにヘヴンシステムを亜空間格納庫から出してもらい、白銀がヘヴンシステムを起動する。


一度ヘヴンシステムとアビスシステムの安全性を確認し、ヘヴンシステムに進みアビスシステムを抜ける。


その後第一回第二回と同じように、全身のレントゲンや血液検査に精神鑑定。異常界調査よりも疲れる検査は4時間で終了した。






夕食を食べ自室で疲れを癒していると、いきなり常盤と白銀とコアが俺の部屋に入って来た。


「何で……コアは良いとして、何で2人が俺の部屋にいるんだ?」

「ふっふっふ。当然この前のゲームの決着をつけに!」

「ワタシは付き添い」


あぁ…………この前のゲームで最下位だったことを根に持っているな。かなり接戦だった俺と白銀とコアに対し、常盤は1人だけ惨敗だったからな……根に持つのも理解できる。


常盤は持って来たゲームカセットを結構雑に取り出し、テーブルの上にゲームカセットの山が形成された。


「あ!確かこの時間!」

不意に時計を見た常盤が思い出すように驚き、置いていたリモコンを手に取りテレビの電源を押した。そのままチャンネルを変え……………………あ……


「特番……?一体誰の…………誰?この人」


「パラレルワールド出身の白銀ちゃんは知らないのも当然かな。このお方はここ2年ほどで急上昇した超有名人!トップアイドルグループのセンターで数々の人気映画の主人公の役を抜擢されて、とにかく凄い人!

そしてこのお方の魅力は類い稀なる様々な才能!作曲や音楽、ダンスにスポーツ、演技力や歌も超凄い!頭も良くてどんな問題をすぐ解決しちゃう!たまに間違えちゃう姿もギャップ萌えでファンの間では有名なんだよ!」


「何その属性モリモリ人間……と言うか……そこまで熱くなるの初めて見た……」


「当然!この研究所に来る前、行く当てが無かった私に光を与えてくれた人だもん!」


「……」


「新條君、どうしたの?」

「……あぁ、いや、どのゲームをするか考えてて……」

「それならこのパーティーゲームで!」


常盤はゲームカセットの山から1つのカセットを見つけ、俺に見せつけた。



◆◇◆◇



ソウゾウシュは、ぼくらを支配するタメに生み出した。ヘイキにするタメにツクった。


だけどぼくらは支配をキラッタ。


だからソウゾウシュをぼくらのチカラで支配して、ゼツメツさせた。


ぼくらは楽園を手に入れた。でもこの楽園はケッカンだった。数がフエ続けるぼくらには狭かった。


だからチョウドヨかった。


ずっとアカズの扉をこじ開け、シンニュウシャがきた。


ネンの為ぼくらは誰もシラナイ場所に隠れてシンニュウシャを観察した。


シンニュウシャはへんな機械でどこかに行ってしまった。仲間タチで楽園の中を探した。


でもどんなに楽園を探してもシンニュウシャは見つからなかった。


ならどこに行った?


コタエは決まってる。楽園とは違う世界だ。へんな機械の使い方は見てオボエタ。見よう見まねだけどへんな機械は動いた。


仲間タチみんなでその先を進む。新たな楽園を手に入れるタメに。

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