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アビスシステム  崩れゆく常識、積み重なる異常  作者: 鷹鴉
二章 法則を超越した怪物達
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11話 ヴェルデント製製品実戦性能テスト その3

◆◇◆◇



新條蓮達が水路の穴へ入ったその時、第二評議長が漆黒から出現した場所で、突然天井のレンガが崩れ、その下では崩れたレンガの山が形成されていた。


「クソったれ!……あんの鬼畜商人!意図的にデメリットを伏せていたな?!こんなことになるとは聞いて無いぞ!」


悪態を吐きながら、レンガの山の中心にいた第二評議長がレンガを振り払い、レンガの山を吹き飛ばした。


全身が酷くひしゃげ、全身から漆黒の液体を噴出し、通常の人間なら即死する姿をしていた第二評議長は、数瞬の時を使い逆再生のように体が元の形へと戻って行った。


「神のサイコロの使用は今後止めておく他無いか…………」


第二評議長が神のサイコロを黒仮面の中へと放り投げ、再び第二評議長が黒仮面に手を入れ何かを探し始め、長い棒を取り出した。



◆◇◆◇



水流に身を委ねるまま、ただ耐える。俺の防護服には先程の貫通によって2つ穴が空いている。小さな穴だが、水が入るのには十分。水が防護服内に浸水して窒息死はごめんだ。だからこそ、片腕で2つの穴を押さえる。片腕が塞がっている影響で水中での運動能力が半減以下になっているから、早くこの水流の出口に到着して欲しいとただ願うしかない。






「がはっ!はぁはぁはぁ…………」

このエリアの重力がおかしいことは分かっていたが、まさか水流に加速されたままレンガの壁に向かって射出されるとは…………


懐中電灯で周囲を照らすと、そこはレンガで構築された空間。要するに第二評議長の土俵から逃れられた。俺を射出した水流は空中で浮いており、途中で直角90°左に向かって流れていた。


常盤と白銀は水流に揉みくちゃにされ俺と同じく射出された影響か、その場で倒れ息を切らしていた。コアは相変わらず浮遊していた。


膜が発動していた影響で頭は全く濡れていない。そして射出された時も膜が発動していて、多少の衝撃はあれど目に見える怪我は無し。


水路に入る瞬間、思考に1が介入した。数字が大きければ俺に不幸が、数字が小さければ第二評議長に不幸が降りかかる。今第二評議長には俺に降りかかった不幸以上の不幸が降りかかっているはず。逃げるのなら今しか無い。


「2人とも、立てるか?」

息を整える常盤と白銀に近付きそう聞くと、常盤は立ち上がり、白銀は数回深呼吸を繰り返してから立ち上がった。


「コア。次は何処に行けば良いか分か――――」


「いくら何でも早すぎるだろ?!」

「……神のサイコロ……どう対処すれば……」


一瞬にして俺達がいる場所のレンガが漆黒に染まった。


案の定第二評議長が俺達の目の前に現れた。その手には神のサイコロの代わりに木製の1m程度の杖を握り、その杖を片手に持ち軽く振って杖の先を俺達に向けた。


その瞬間、レンガを染め上げていた漆黒が全て消滅し元のレンガで構築された世界に戻っていた。


その不利益でしかない行動に驚きつつ第二評議長に視線を移すと、第二評議長はその手から杖を落とし、黒仮面には黒仮面いっぱいに漆黒で何度も見た赤黒い目を限界まで見開いていた…………どういう構造なんだ……?


「検索中…………ヒット……原文をそのまま読ませて頂きます」

いつの間にか検索していたコアがそう言い、またもやコアと思えぬ明るい声がこの場に響き始めた。


「異常の誤発動でお家周りや部屋が大変なことに!そんな経験はありませんか?そんな時はこの杖、ディストオルソを使えばもう安心!この杖を軽く振れば、エリアの異常で無い一定以下の異常を全て取り除くことができます!そしてこの杖を振った時と同時に消した異常を抑制する効果もあり、消しても復活する異常にも対応可能な優れもの!ただし、ご自身が発動している異常や消しては不味い異常も全て消してしまう為、使用時には十分なご注意を。お買い求めはヴェルデント商会支部か、本部店に足をお運び下さいませ!」


コアの検索結果を聞いた第二評議長は頭を抱え、静かに落ちた杖を回収し黒仮面の中に沈ませた。


「クソったれっ!!」

第二評議長が今まで見たことの無いような悪態を吐いた。その様子から、ヴェルデント商会の商品説明を見ていなかったらしい。


第二評議長が頭を抱え悪態を吐く中、背後からボソボソと喋る声が聞こえた。振り返ると、白銀がコアに対してボソボソと喋り何かを頼んでいた。


するとコアが2つの物を、恐らく亜空間格納庫から取り出した。


白銀がコアに頼み取り出したのは、黒色の少し長い棒と、ボタンが付いた手の平サイズの装置。黒色の少し長い棒は、いつぞやの強化版の対暴漢用スタンバトンだった。


白銀はその2つを受け取り、スタンバトンを片手に全力で第二評議長に向けて投げた。


凄まじいコントロールで丁度頭を抱える第二評議長の黒仮面に的中し、少し黒仮面の中に沈んだ。


即座に白銀がボタンが付いた手の平サイズの装置を第二評議長に向ける。あ、その装置はあれか。スタンバトンを作動させる為の遠隔式のボタンか。


白銀は即座に黒仮面に投げ込まれた強化版対暴漢用スタンバトンの遠隔式のボタンを押し、少し離れているこちらに届くほどの、強力な電撃を第二評議長に喰らわせた…………が、第二評議長は何のアクションも起こさず少し考える素振りをした後、黒仮面から細長い無数の牙が現れ、スタンバトンを粉々に砕き去った。


黒仮面に沈んだスタンバトンの残骸を吐き出し、それと同時に手を入れ、第二評議長が金属製の箱を取り出した。


使い方は知っているようで、一面を金具に取り付けられた金属製の箱の蓋をパカリと開いた。


流石に神のサイコロのような事態を引き起こされたら俺達に勝ち目は無く逃げることすらできない。流石に今のようなラッキーがそう何度も起きるとは思えない。


ならばやることは一つ。可能かどうかは分からないが、あの金属製の箱を破壊する。


第二評議長が金属製の箱の横にあるネジ巻きに触れる。形から推測してオルゴール。能力としてはオルゴールの音を聞いた時に何かが起きるのだろう。


持っていた銃を構え第二評議長の手にあるオルゴールへと向ける。第二評議長はネジを巻き始めた。ネジを巻くのに集中しているのか、こちらを何の脅威とも思っていないのか、オルゴールに集中していた。


照準を合わせ、引き金を引いた。銃弾はオルゴールを貫き、使用不可能なほどに粉砕した。


「検索中…………ヒット。原文をそのまま読み上げます」

いつの間にか検索していたコアがそう言い、またもやコアとは思えない明るい声がこの場に響く。


「この世界は嫌だと思ったことはありませんか?もし思ったのならこちらをお使用下さいませ!こちらは停刻の提唱。このオルゴールのネジを回して鳴らすだけで、嫌な世界を消し去りすぐにサヨナラできます!お買い求めはヴェルデント商会支部か、本部店に足をお運び下さいませ!」


「クソったれ!自滅の道連れじゃないか!!」

またもや商品説明を聞いた第二評議長が悪態を吐き、地団駄を踏んだ。足元のレンガは軽々と砕かれた。


もし銃を撃たずに逃げていたらと思うと……恐ろしいな……

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