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アビスシステム  崩れゆく常識、積み重なる異常  作者: 鷹鴉
二章 法則を超越した怪物達

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9話 ホテルの支配者 その1

今日は異常界を調査するアビスシステム実験の開始日。


異常界の調査メンバーは俺と常盤と白銀とコア。俺と常盤が持つのは前回に引き続き同じ銃。白銀は荒起博士と共に改良を施した改造銃。


特殊弾だけでは無く普通の銃弾も撃てるようになったらしい。


荒起博士と白銀とコアの合作、小型ミニ電磁砲銃レールガンはコアの亜空間格納庫に。


そしていつもならあの重く少し目立ち装着しにくい多耐性防護服を装着する所だが、今回はいつもの多耐性防護服では無く、荒木博士と白銀とコアのもう1つの合作。


改良型多耐性防護服を3人それぞれに渡された。細かな形や機能がそれぞれ違うそうだ。


荒起博士の説明を受け、常盤は神妙な面持ちで渡された改良型多耐性防護服を装着していた。無論俺も同じ気持ちだ。


改良型多耐性防護服は前の防護服とはまず見た目から違った。


ベースの色は前の防護服と同じだが、俺の改良型多耐性防護服には青いラインが入っていた。常盤の防護服は赤いライン。白銀の防護服は白いライン。


判別をつける為か、3人それぞれに別々の色のラインが入っていた。


次に違うのは重さ、重量。一気に1キロほどにまで減ったらしい。しかし、どうやったらここまで軽減できるんだ……?


次に頭の部分。元々頭は完全に覆われていたが、改良型多耐性防護服ではそれが取っ払われて頭や顔が見えるようになった。


頭の安全面に対して荒起博士に聞くと、コアのシールドの技術が使われており、生半可な攻撃では簡単に弾いてしまうらしい。


確かシールドは、デルメントルトの小型ロボットからの銃撃乱射の時に、常盤と白銀を守った青白い球体の膜か。


荒起博士によると、通常時は青白い球体の膜は張られず、緊急時に青白い球体の膜が張られるそうだ。


主な変更点は以上だが…………


「使用感はどうじゃ?不備があれば調査に響くからな。遠慮無く言ってくれ」


荒起博士はまだ直接伝えることがあるそうで、未だこの部屋に留まっている。


一応確認するか。


サイズは問題無し。特筆すべきほどの動きの阻害は無し。


「特に問題は無いかと」

「大丈夫ですよー」

「ああー良かったー……ワタシが主導して造ったから、ダメなとこあったらワタシの責任になるとこだった」


荒起博士じゃなくて白銀がやったのか。


てっきり荒起博士が小型ミニ電磁砲銃レールガンと一緒に造った物だと思ってしまっていた。


「あー、あー。聞こえるかー?」『あー、あー。聞こえるかー?』


いきなり荒起博士の声が二重に聞こえるかと思ったが、元々防護服に内蔵されていた無線機か。


声の主である荒起博士は、いつの間にか小さな装置に口を近づけ、その声を発していた…………が、それを今やる必要はあるのか?


まさか、それも新たなに開発した物……?


「新條蓮は気付いたか」


荒起博士は待っていましたと言わんばかりに、その装置についての説明を始めた。


「これは次元間通信機器。デルメントルトが持っていた次元や空間を通過する科学技術を流用した物らしい。これを使えば異常界に無線機を設置し中継する必要も無くなる。コアから聞いた時はまさかと思ったが、これほどの代物を造ることができるとは…………」


荒起博士自身も驚いた様子でその装置に触れていた。技術の革新が止まらないな。


「この次元間通信機器はお主等の改良型多耐性防護服に内蔵し、何かあればそちらからも通話が可能になった。何かあれば遠慮無く通話を掛けてくれ」


荒起博士はそう言うと次元間通信機器を白衣のポケットに入れ、次の説明を始めた。


「コアによれば、先日の実験の影響でアビスシステムを起動すると異常界にあるヘヴンシステムが共鳴し、

アビスシステムとヘヴンシステムが繋がるらしい。本当だな?」


「はい。それぞれの回廊が繋がり引っ張りあっていますので、外部からの干渉が無ければ問題無く繋がるはずです」


「今回の実験ではお主達が異常界に到着し次第、アビスシステムを稼働停止させる。こちら側に怪物が来てしまう事態を避ける為じゃ」


荒起博士は長い長い実験の説明を止め、一度息を大きく吐いた。


「まあこれくらいか。大体これで、お主達に伝えるべき今回の実験に関する説明はこれで終わ……おっと、忘れる所じゃった。常盤凪沙よ。お主に渡す物があった」


荒起博士はそう言うと、小さな円柱の形をした蓋付きの容器を常盤に投げ、常盤はそれを手に取った。


「なにこれ?」

「抽出黒錠剤。以前、黒果実の発芽に成功したと言ったじゃろ?その容器に入っているのは、ハズレの黒果実のエキスを抽出し、黒果実の効力を落とすことなく錠剤化した物。ハズレかどうかを見分ける方法も確立したから、ハズレでは無い黒果実が混入している可能性は限り無く低い!遠慮なく使え!」


常盤はその容器から1つの黒く小さい錠剤らしき物を取り出した。


恐らくそれが荒起博士の言う抽出黒錠剤だろう。


「あらかじめ言っておくが、ハズレの黒果実特有の不味さは多少マシにはなったがまだ不味い。味は感じるな。一息に呑み込め」


常盤が、それは無いでしょ、と言う呆れ顔を荒起博士に向けていた。


「それでは、儂は制御室に向かう。こちらの準備ができ次第アビスシステム実験を開始する。それまで待機じゃ」


荒起博士はそう言って待機室を後にした。






『これよりアビスシステム実験を開始する』


こちらの準備が整い、荒起博士からの実験開始を待つこと数分後。


やっと来た通信に僅かながら緊張が走る。


『アビスシステム、起動!』


その言葉と同時に、モニターに映し出されたアビスシステムが何事も無く亀裂が発生した。


待機室の扉が開けられる。俺含めた特殊部隊は待機室から実験室に移動する。


『さあ、今回の実験に目的は無い。思うがままに未知の世界を調査せよ!』


「了解」

「りょーかい」

「了解。じいじ」


その言葉を異常界の突入許可と受け取り、俺と常盤と白銀とコアと一斉に亀裂に入…………は……?


「…………え……?」

「……なんで今ここに…………」

「……異常を、確認…………即時撤退を要請します」


白銀と常盤はただ唖然とし、俺は言葉が出て来なかった。アビスシステムの亀裂を抜け、ヘヴンシステムを通過し、今まで異常界での拠点として使っていたホールに出た。


しかし、本来ならあり得ない場所に、ホールの出入り口である扉の前に、怪物がいた。


何度も怪物を見て、異様な姿には慣れた。

だがそれ以前に、それ以前の問題だった。


「初めまして」

その怪物が口を開いた。


『何じゃ、急に全員黙って。どうなっておる?何か報告せい!』


荒起博士が次元間通信機器を通し捲し立てて聞いて来るが、それに応える暇は無い。


ヤギの頭と肩から2本の腕と脇下から2本の腕が生えた計4本の腕を持ち、タキシードを着た人型の怪物。


首と頭以外の肌はタキシードと白い手袋に隠され見えず、下2本の手は後ろに回し、その体勢で扉の前に立っていた。


「ワタクシはエリア2 ディメント・ホテルエリア3アブノマル・ホテルの支配人ジョキュと申します。以後お見知りおきを。ワタクシは貴方達3名に、このホテルの宿泊代金を戴きに参りました」


支配人ジョキュと名乗った怪物は、少し残念そうな声色でそう言った。


白銀は目の前の怪物を知っている様子だったが、明らかに困惑の表情を浮かべ警戒している。


こんな知性を持った怪物が今まで何処に潜んでいた?

いや、それ以前に白銀はこのホールを怪物の来ない安全な場所と言っていた。


ならば何故、そこに怪物がいる……?


「お金でも払え……ってこと?」


常盤が緊張の籠った声で目の前の怪物にそう聞いた。


「金銭では御座いません。お代は貴方達の身体。その血肉を頂きます。さて、今まで滞納されていましたので、少し利子を付けさせてもらいましょうか?」


その怪物はヤギの顔でニヤリと笑った。流石にこれは本格的にヤバい……!


「アレ以外の、この部屋にある物全部収納して、早く!」

「了解」


コアがそう言うと、目の前の怪物を除きホールにあったほぼ全て。


後ろにあるヘヴンシステムや置いて行った設計図や残骸の山など。


ほぼ全てが消滅し、コアの亜空間格納庫に収納された。

「走って!」

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