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アビスシステム  崩れゆく常識、積み重なる異常  作者: 鷹鴉
一章 人智を越えた未知足り得る世界
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6話 人類の夢、無限のエネルギー その6

6話 人類の夢、無限のエネルギー その6では、視点が常盤凪沙から新條蓮に戻ります。

扉を抜けた先。


そこは、真っ白でサッカーコートくらいの広さの空間だった。


そしてその空間の中心に、機械的で淡い光を放つ台の上に、中に浮かんだ球体。恒久エネルギーオーブがあった。


常盤を扉の向こうに置いて来ているから、なるべく早く回収しなければならない。


銃を構え、早足で進もうとした俺を、コアが止めた。


「事前情報として、先にお伝えします」


今すぐにでも回収したい気持ちを押さえ、コアの話を聞く。


「恒久エネルギーオーブは無限のエネルギーを生み出す異常物体です。もし生身で触れれば、身体に甚大なダメージを負うことになります」


手で持って行くことはできないのか。そうなるとどうやって持って行けば…………?


「そして何かで覆い持って行くとしても、無限に発せられるエネルギーによって蒸発、もしくは液状化します」


……回収が一気に難しくなった。


「ですので、ボクに搭載されている亜空間格納庫に入れることを提案します」


亜空間……言葉そのままに受け取ると、亜空間に物体を格納できる格納庫があることになる。そしてその格納庫にコアがアクセスできることになる。


「ボクのみが使用可能な格納庫です。当然、恒久エネルギーオーブを所持したまま移動することもできます」


コアに頼りっぱなしになるが、コアにしかできないことを俺ができる訳が無い。


「それにワタシが入ることは可能?」

「可能ですが、大変危険ですのでおすすめはできません。生物が生存可能な場所ではありませんので」


恐らく、コアに運んで貰おうと考えたのだろうが、白銀の希望はあっさりと断たれた。


「事前情報はお伝えしました。行きましょう」


その言葉に白銀は口を閉じ、俺はもう一度銃を構える。浮遊し続けるコアが中心へと進み始めた。俺と白銀はコアの左右をそれぞれ守り警戒しつつ、不気味なほど静かな空間を進む。


空間の中心に辿り着いても、何も起こらなかった。


「…………恒久エネルギーオーブの周囲には特殊なバリアが常時展開されていますので、まずはそのバリアの解除を始めます」


中心にある台の至近距離にまで近寄ると、コアそのまま空中に静止した。


俺は何も起こらな過ぎる状況を受け止めきれずにいると、台から放たれていた淡い光が消えた。


「?…………バリアの解除完了しました」


いくら何でもあっさりし過ぎでは…………?コアは台の上に浮遊している恒久エネルギーオーブに近寄ると、数秒経ったのち恒久エネルギーオーブが消失した。


「恒久エネルギーオーブ入手。か、完了しました」


何も起こらないこの状況に、コアが軽く混乱気味にそう言った。あり得ない。流石に早過ぎる。


今まで以上に、最高レベルの警戒していた俺自身が馬鹿らしくなって来た。


「取り出せる?」

「はい。出します」


白銀はこの異様な状況よりも、コアの亜空間格納庫に興味が行っているらしい。消失していた恒久エネルギーオーブがコアの前に現れ、すぐに消失した。


事前情報で触れたらただでは済まないことは分かっているが、出してすぐに消したことから、近くにあるだけでも何かしらの悪影響はあるのだろう。


「すごい技術……どうなっているんだ……?」


白銀は興味深い、という表情で今の出来事を凝視していた。俺としてはそんな状況ではないんだが…………


目的は達成された。だから今すぐに常盤と合流してエリア2に戻らなければ。うだうだと時間を潰していたら、浮遊の為の動力を失った空中都市は崩壊し落下するだろう。


『侵入者よ。この記録を流されているということは――――』


「?!」

「誰…………?!」


突如として、文字列が頭の中で浮かび上がった。ロボットやコアが発した地球上存在しない言語。


恐らく、その言語の文字が、今俺達の頭の中に浮かび上がっている。当然その文字は分からないが、何故か読めないのに理解できる。


その矛盾に吐き気が込み上がる。


「コア!何が起こっているか分かる?!」


白銀はこの異常事態に頭を押さえつつ、コアに向かって声を張り上げた。


「……はい。この芸当が可能なのは、デルメントルトの、最高権力者です。しかし、情報保管室にこのようなデータはありませんでした」


何がしたいんだ……最高権力者とやらは。こうして喋っている間にも、頭の中で文字が流れ続ける。


『――――私達は滅ぶ。確実に。故に、私達のいないデルメントルトがどうなろうと知ったことでは無い。だが私達の最高傑作をそうやすやすと渡すつもりも無い。だから試練を用意した。さあ、体感せよ。私達が生み出してしまった、終末の異常。その一端を』


その文字が流れ切ると、それ以降文字は浮かび上がらなかった。だが、恒久エネルギーオーブが存在した位置に、その位置周囲の情景を歪ませるほどの何かが現れた。


「な、なんだ…………あれは……?」


俺の疑問に唯一分かるであろうコアが応えた。


「恒星…………と言えば分かるでしょうか?恒星の終局に引き起こされる超新星爆発。それを一点に集中した物の断片と思われます。あの時より…………本来の破壊力からは遠く及びません。ですが、発せられるエネルギー量から計測して、この空中都市を破壊する程度の威力はあるでしょう」


断片だから即死せずに済むと捉えて良いのか、超新星爆発だからエリア2に戻るのは絶望的なのか、もう何が何だが訳が分からん。


その時、歪んだ何かから全方位に眩しい光線が放たれた。幸い俺と白銀、そして常盤がいる方向には当たらなかったが、光線を受けた壁や床や天井に、目に見えて大きな亀裂が生まれていた。


『ギィィィィィ!!!』


地面から、都市から、デルメントルト全体から、何かが軋む音が聞こえた。


発生源である歪んだ何かは、光線を放ち切ると消滅し、歪んでいた情景が元に戻った。


これは不味い。この事態を引き起こした元凶である最高権力者の狙いを考え知るよりも、今はデルメントルトから脱出しなければならない。


まずは常盤と合流。


「行くぞ!」


大声を出し、扉の方向に向かって走る。白銀とコアは俺の今の行動を察し俺と並走した。


扉に近づくと穴が開き、そのま走り扉を抜けた。

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