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アビスシステム  崩れゆく常識、積み重なる異常  作者: 鷹鴉
一章 人智を越えた未知足り得る世界

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6話 人類の夢、無限のエネルギー その4

「反重力機構。起動しました」


その言葉と同時に体がフワッと浮き上がり、ゆっくりと底に着地した。落下地点は暗く、懐中電灯を取り出し周囲を照らす。


常盤と白銀は無事。コアは一緒に落下し、今は常盤と同じ目線に滞空。全員無事に底に着いた。


周囲を照らしていると、俺達がいる場所から少し上の所に、大きな扉らしき物があった。


その扉は豪快に破壊されており、扉としての機能を失わせていた。まぁ、その点に関しては好都合。ありがたくその扉を潜る。底と扉とは少しばかり高さがあったので、まず俺が常盤を肩車し、扉に上がらせる。


次に白銀を肩車して上がらせ、俺は常盤に手を引っ張ってもらい、底から扉へと移る。

扉の向こうは、エレベーターに落ちる前にいた通路と瓜二つに見えた。


「こちらです」


再びコアに先導してもらい、その通路を進む。通路を何回か曲がると、急に明るくなった。天井には照明があり、広く長い通路を隅々まで明るく照らしていた。


そこから少し進むと、機械的で大きな扉に到達した。そして扉の他に…………


「け、警備用戦闘機兵が破壊されてる…………?」


あのロボットの名称が戦闘機兵だと知れたが、今はそんなことはどうでもいい。俺達の目の前には、模様にしか見えない大きな扉と、その扉の前に何体いたのかすら分からなくなるほど、粉々に破壊されたロボットの破片が散乱していた。


あのロボットを粉砕するほどの何かがいる。しかも複数体のロボットを。


ロボットを破壊するのなら、こいつらと敵対関係か?いや、そもそも鉢合わせなければどうでもいい。その何かの目的は知らないが、今は恒久エネルギーオーブを――――


「上です!」


その声がコアから発せられた瞬間、天井から何かがこちらに向かって突っ込んできた。


俺が反応する前に常盤が左腕で何かの攻撃を受け止めた。今の衝撃が風を生み、常盤の腕からミシッと嫌な音が響いた。


常盤がそのまま振り払うと、何かが俺達と少し離れた所まで後退した。


「情報保管室警備者?!」


あれが、あの部屋の警備……?姿も、形も、雰囲気も、今までの機械とは違っていた。異常界で何度も見た、怪物という風貌だった。


人型の姿に背中から生える4つの触手。そして頭を守る為か、頭を覆うほどの黒いヘルメット。

目の前の怪物は、今までのどんな怪物よりも、異様な気配を放っていた。


「気を付けてください!情報保管室警備者は異常を保持する異常生命体です!」


異常生命体…………不味いことになった。あの怪物に時間を掛ければ、怪物の応援が来る可能性が高い。そして、仮に怪物を倒せても、


動力室には相応の性能を持ったロボット等がいるはずだ。動力室という重要な施設に、ロボットなどのセキュリティを配置しない可能性は限りなく低い。


そもそもあの怪物を倒せるのかすら怪しい。2人二手に分かれたとしても、確実に戦力不足。


そして、恐らく確実に、恒久エネルギーオーブを回収できるのはコアだけだ。


「先に行って!私はできるだけあれを抑え込んでみる」


常盤が、一歩前に出てそう言った。常盤の再生能力ならある程度は大事にならないとは思うが、あの怪物は未知数だ。


「ボクも加勢を――――」

「コアは新條君と白銀ちゃんに付いてってあげて。私は大丈夫だから」


常盤も、俺と同じことを考えたみたいだ。予想できる動力室のセキュリティからして、1人であの怪物を押さえ込む他無い。


怪物を1人で抑え込み、2人でコアを護衛。白銀は身体能力的に無理として、残りは俺と常盤。仕方ない、か。


「……了解しました。扉を開けます。ご主人様。充分に気を付けてください。ボクが今まで得た情報には、情報保管室警備者の異常の詳細に関する記録がありません」


苦い口調でそう言い、扉にひと1人通れるくらいの穴が空いた。


「早く行くぞ、すぐに回収して常盤の加勢に!」


「…………そうするしか、ないか……コア!恒久エネルギーオーブの回収は頼んだ!多分ワタシ達じゃ回収できないと思うから!」

「分かりました。ボクもできうる限りを尽くします」


常盤を残し、俺と白銀とコアで扉を抜け、動力室に入る。

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