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アビスシステム  崩れゆく常識、積み重なる異常  作者: 鷹鴉
一章 人智を越えた未知足り得る世界
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6話 人類の夢、無限のエネルギー その3

コアが情報保管室の壁に近づくと、その壁が変形し、何も無いまっさらな台と大きなモニターが現れた。


一見すればコアと初めて会った部屋の台とモニターに似ていたが、あれよりもモニターと台の大きさが違った。


それから数秒経つと台に電子的な光が流れ、台の少し上の空中に電子的な小さなボタンが無数に現れた。SF映画のような物を見せ付けられていると、コアから細長い針金のような物が伸び、何回か屈折し、


その針金のような物で電子的なボタンを別々に高速で押し始めた。すると、モニターから光が発せられた。光が発せられた途端、コアがボタンを押すのを辞めた。


その瞬間、情報保管室の床に電子的な光が流れた。光は等間隔に四角い長方形の模様を描き、床からプスューッと、小さな音が吹き出し、スーパーコンピュータのような機械的な四角く長方形の箱が、等間隔に床から浮上した。


情報保管室を半分埋め尽くすほどの箱の数だった。


その様相に、俺と常盤と白銀が呆気に取られていると、再びコアが電子的なボタンを押し始めると、モニターに暗証番号を打ち出すような画面に変わった。



「ご主人様。この地点に銃弾を撃ち込んで下さい」


いきなり、コアが常盤に向かってそう言った。


「わ、分かった!」


急に呼ばれた常盤は戸惑いつつも、立ち上がり、コアに言われた通りの場所、台に銃弾を撃ち込んだ。俺と白銀はただそれを傍観する。


下手に動いて取返しがつかなくなっては大変だし、コアが言った警備が戻ってくる可能性を考え、さっきとは様相が変わった情報保管室を見渡し警戒する。


常盤が撃ち込んだ銃弾は台の表面を抉り、そこからバチバチと微かに電撃を放った。すると、モニターに写された画面が酷く歪み、歪みが治ったかと思うと画面に何やら文字が写し出された。


「ありがとう御座います」


コアが常盤に礼を言うと、また電子的なボタンを押し始め、瞬時にそれを終えた。

細長い針金を仕舞い、その代わりにプラグのような長いコードがコアから伸びた。


そして、台からは差し込み口のような物が台から浮上した。コードは差し込み口に差し込まれ、それから約2分ほどコアの動きが停止した。






コアがコードを差し込み口から外し、コードを自身の中へと仕舞い込んだ。


終わったか?


「データコピー完了しました」


終わったみたいだ。


「目的のデータは見つかったか?」


俺がそう聞くと、コアは一瞬黙り、それからゆっくりと話し始めた。


「様々な情報を入手しましたが、研究員とボク自身に関する情報はありませんでした。情報を削除した履歴が無く、まるで、そもそも無かったかのように……」


「…………そうか」

面倒なことになっているな。


「全てのデータをコピーしたんだろ?」

「はい。コンピュータウイルス系統の、危険性が高い情報を除き、全て閲覧、コピーしました」


そうなったらもうお手上げ状態だ。コアにはすまないが、ここを出て動力室に急ぐしかない。


「目的の情報はありませんでしたが、その代わりに極秘機密である動力室直通の通路を発見しました。大幅に移動時間を短縮し、短時間で動力室に到着できます」


その言葉に、白銀が早足でコアに近づき、コアをその両手で掴み至近距離で歓喜に近い声を上げた。


「本当?!全てコピーしたならここに止まる理由は無い!今すぐに動力室に!」


ヘヴンシステム完成に必要な恒久エネルギーオーブ。それを手に入れられる時間が短くなることは、白銀にとっては願っても無いことだろう。


無論、俺と常盤も帰還する為に必要だから、嬉しい誤算だ。


「ここから然程遠く無い地点に動力室直通の通路があります。今から情報保管室の扉を開けますので、警備が戻る可能性を考慮し警戒をお願いします」


「了解」

「分かったー」

「すぅー……ふぅー……よし」


コアが情報保管室の扉を開け、俺と常盤と白銀は警戒を緩めず、その先を進む。






「これって……エレベーター……?」


コアのナビに従って辿り着いたのは、一軒家ほどの広さを持った廊下。その突き当たり。


突き当たりには、エレベーターなどで見られる大きな自動ドアが、半空きのまま放置されていた。よく見る乗り込み式の箱は見当たらず、上下共に真っ暗な空間が続いていた。底は全く見えず、どれほどの深さがあるのか見当がつかない。


一見すると、中々に酷くボロボロな有様で、この状態のエレベーターが動くとは考えづらい。仮に動いたとしても、デルメントルトの中核を担う動力室。その直通の通路を使用としている所を、あのロボット達は黙って見ていないだろう。


これら2つの理由から考えると、動力室は恐らくこの下にある。コアは、エレベーターを直接使わずに、何も無い空間をそのまま落下することで、移動時間を短縮するつもりだろう。


「想像と違う…………」


白銀は落胆した様子でそう呟いた。その様子から察するに、行きと同じ通路を使えば、すぐにエリア2に戻れると思っていたのだろう。


実際俺もそう思っていた。


コアの反重力機構は、人を持ち上げ飛ばす出力は出ないと言っていたし。この凹凸の無いまっさらな壁をよじ登るにも限界がある。結局、コアと白銀が話し合った通路を通ることになりそうだな。


「ご主人様達には、この下に落ちて頂きます。反重力機構を作動させますので、大事にはならないはずです」


そう言うなら心配無いだろう。コアがあのロボット陣営だったら、俺等は既に全滅している。


「せーの。で飛び込もう」


常盤がそう提案した。バラバラで落ちるよりも、一緒に落ちたの方が効率が良いか。


「それで良いんじゃないか?」

「よし。新條君の許可は貰ったから、白銀ちゃんはどう?」

「ワタシは特に文句は無いけど…………」

「よーし。コア。準備は良い?」


いつの間にか常盤が指揮を始めていた。


「準備は完了しています。いつでも反重力機構を起動可能です」

「それじゃ、せーの!」

「ちょ……!まっ――――」

「うぇ?!」


いきなり常盤に手を掴まれ、そのまま同じく手を掴まれた白銀と一緒に、手を引かれ何も無い真っ暗なエレベーターを落下した。

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