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アビスシステム  崩れゆく常識、積み重なる異常  作者: 鷹鴉
一章 人智を越えた未知足り得る世界

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3話 自称世紀の天才発明家 その2

◆◇◆◇



No.0

現世帰還隊。壁抜けバグでこの狂った世界に来てしまった人達が、元の世界に帰還する為に作られた組織。


私はこの組織の副隊長として、隊長に任命された。隊長に任命した理由を聞いたら、仲間思いだからと言われた。


それだけなら他にも適任は居ると言ったが、お前ほど仲間を大切にする人は居ない、と。嬉しかった。副隊長に任命されたからには、しっかりとその責務を果たしたい。


その1つとして、このノートに日々の記録を書き記すことにした。この記録が、いつかきっと誰かの役に立つことを願って。



No.4

少し失敗をしてしまった。隊長は気にしなくていいと言ってくれたが、私の気が収まらない。

副隊長として、失敗した分は取り返す。



◆◇◆◇



ページをめくる。



◆◇◆◇



No.12

最近体が重い。だが、隊長に心配は掛けたく無い。

この前の失敗を絶対に繰り返さない。


これから失敗を絶対にしない為に、体が重くても頑張らなければ。



No.13

隊長に着いてこいと言われた。何をされるのだろう。



No.14

隊長に連れられ、扉を通り小さな丘に着いた。静かだった。空に夜空が浮かんでいた。夜空に目を奪われていると、隊長から落ち着いたか?と言われた。


私は、隊長に心配を掛けてしまった様だ。


仲間から言われたのか、隊長自身が見抜いたか、どちらにせよ隊長は本当に優しい。一度冷静にこれまでを思い返すと、私は根を詰め過ぎた様だ。


少し、頑張りすぎた様です。と隊長に言った。それを聞いた隊長は口を大きく開いて笑った。


笑いながら、その場で仰向けになり手を頭に回した。

気に入っている場所だ。お前も寝転がって夜空を見たらどうだ?と言って来た。


その言葉に従い、隊長と同じ様に仰向けになって夜空を見た。隊長は太陽だ。この世界で漂流していた私達を分け隔て無く受け入れ、現世帰還隊を創り上げた。本当に凄い人だ。


そんなことを考えていると、隊長から一皮剥けたな。と笑顔で言って来た。私も笑ってしまった。大爆笑をした。ここまで笑ったのはいつぶりだろう。


その後、隊長と副隊長である私が仲間達に無断で居なくなったことに全員から叱られたのも、良い思い出だ。



No.20

特殊な時計を見つけた。隊長が持っている腕時計とは形が違う。形としてはアナログの置き時計だ。


元々の所有者は既に屍となっており、そばに特殊な時計が置いてあった。


使えそうな物をそのままにして置くのは勿体無いので、時計は持ち帰った。



No.26

拠点から出発した食糧調達班から連絡が入った。


食糧が実る場所に通ずる重要な道が、一部停電してしまった。こんな時、笑顔は本当に厄介だ。


廊下が暗ければ何処でも出現し、その廊下に居座ってしまう。物理的な干渉は全てすり抜けるというあの力はこちらに対抗する力が無ければあっという間に蹂躙されてしまう。


何とか停電を復旧できて良かったが、本当に危なかった。



No.41

仲間からよく現世帰還隊以外の組織の名を耳にする。この世界は膨大だ。きっと私が認知していないだけで、様々な組織があるのだろう。


とりあえず、仲間から聞いた組織を箇条書きに書いてみる。


・現世帰還隊

書くことは無し。


・緋色信仰

赤い⬛︎を信仰しているとかのヤバい連中。蒼新星教とは犬猿の仲らしい。


・蒼新星教

青い⬛︎を信仰しているとかのヤバい連中。緋色信仰とは犬猿の仲らしい。


・ヴェルデント商会

様々な物品を販売、買取し、特殊な道具を渡して人のコロニーを地獄絵図に変えた。人間を生きたまま人形に作り替えたなどの黒い噂が絶えない組織。


・404連合

名前だけで、それ以外は分からない組織。



No.95

緋色信仰の遣いと名乗った怪しい人物が隊長に会いたいと現世帰還隊の門を叩いた。私が出る間もなく仲間達に追い払われたが、嫌な予感がする。


このまま何も起きなれればいいが…



◆◇◆◇



「緋色信仰について何か知っているか?」

「そのノートに書かれている以上のことは知らない。前に緋色信仰の信者らしき衣服を見つけたことはあるけど、ボロボロで何も分からなかったし」



◆◇◆◇



No.196

新入りが数人入った。怪物達から逃げてここに来たそうで、食糧と休息を与えた後、役割を振り分けてそれぞれの仕事に当たらせる。



No.200

新入りの1人が、本部に来る前に元の世界に帰れるかも知れないオブジェを見たと言った。


本当かどうか確かめる為に新入りがナビして数人が調査におもむくと、まだ探索出来ていない部屋の1つが別エリアに繋がっていたそうだ。


調査は新エリアの発見に止め、探索用の部隊を編成する為に一度帰って来た。


その新エリア探索の為に隊長自身が探索部隊に入り、新入りのナビの元、調査におもむいた。私は残って隊長が居ない分の穴埋めをする。



◆◇◆◇



「エリアってなんだ?」

「世界を場所ごとに区分けした名称。扉や道を通り過ぎると行ける世界。

例えるなら地平線まで続く草原にある扉の先には、地平線まで続く海原があるみたいな感じ。世界世界言っても多すぎて分からなくなるからエリアで分けてるそうだ。

ちなみにここはエリア2ディメント・ホテル。2人が行き着いた真っ暗闇の雪原はエリア12暗雪原。エリアを使った名称は広く知られているらしい」



◆◇◆◇



No.204

私が本部で書類仕事をしていると、調査におもむいた仲間の1人が満身創痍で帰って来た。


駆け寄って何が起きたかを聞くと、裏切られた。罠に嵌められた。隊長が死んだ。と言って来た。私の頭の中の整理がつかなくなった。


隊長が死んだ?冗談と思いたかった。そんな状況では無いことは仲間の姿で一目瞭然。私はすぐに部隊を編成して例のエリアに向かった。



No.206

隊長が死んだ。緋色信仰のヤツらの罠に嵌められた。新入りの中にスパイが混じっていた。


スパイが現世帰還隊の目的に関連する偽の情報を隊長に意図して流した。新エリアは死がすぐ隣にいるほどの超危険エリアだった。そのスパイはいつの間にか何処かに行ってしまい取り逃した。



No.210

生き残った仲間から聞いた。緋色信仰のヤツらは隊長の腕時計を奪いに、隊長が死ぬと腕時計を剥ぎ取ろうと近づいたそうだ。


仲間の妨害で何とか阻止できたが、もう隊長は戻らない。



No.222

隊長の亡骸と、隊長が大切に持っていた腕時計を、確認している中で1番安全なエリア、エリア7四季流れる丘に隊長の墓を立てた。


隊長が私を連れて来た、思い出のある場所に。


そして、誰にも隊長に近づくことは無いように、隊長の腕時計が持っていた力を暴走させた。


隊長の腕時計、3分時計は、時計の針の速度を調整することで、生物とその生物が身につけている物以外の時間を操作出来る。


私はその点に着目し、針の速度を限界まで高めた。

結果、1番安全だったエリア7四季流れる丘はその様相を変え、およそ3分で四季のみが流れる危険なエリアとなった。


緋色信仰のヤツらが欲していたであろう、隊長の形見である腕時計は絶対に渡さない。



◆◇◆◇



「?……ここら辺のページが破れてまるまる無いんだが……」

「元々だ。そのノートはワタシが見つけた時とほぼ同じ状態。副隊長が破ったか、その他の誰かが破ったか、ワタシには分からない。

だが、No.222からNo.443まで、その間のページは無いがその前後の記述で間に何が起きたか。ある程度は推測出来る」



◆◇◆◇



No.443

私は残った仲間と共にあの憎きヤツらに決死の特攻を仕掛ける。もし、私が現れずに時計がそのままなら是非使ってくれ。


元々屍のそばにあった物だ。私の死後、持っていかれても文句は無い。



No.444

全滅した。仲間は全員支配された。


私達の特攻は虚しく失敗に終わり、捕らえられ緋色信仰が信仰する⬛︎に会わせられた。あれは⬛︎じ⬛︎無い。そこらに徘徊している化け⬛︎以上の化け物だ。


一緒に連れられた仲間達は化け物を⬛︎⬛︎し、瞬く間に⬛︎⬛︎物を⬛︎⬛︎し始め、その後⬛︎⬛︎し始めた仲間が化け物に喰われた。私の声が届くことはなかった。


私は仲間の⬛︎常に気づき化け物を直視しなかったが、信者が持っていた化け物の赤い⬛︎にさわってしまい、化け物に対して⬛︎⬛︎心が芽生え始めた。


私は近くの鈍器で頭を叩き、一時的ではあろうが正気に戻れた。


一瞬の隙を突いてこの本部に戻って来⬛︎たが、次はあの化け物に祈りをしたい⬛︎⬛︎に駆られた。もう一度本部にあった鈍器で頭を殴り、このノートに今までのことを記録する。


現世帰還隊は壊滅。生存者は私1人。


だが、私はこのノートに記録し終えたら今持っている拳銃で自殺する。


現世帰還隊の副隊長として、私は死にたい。頭を鈍器で殴り正気になったはいいが、頭から血が流れ続けていてどちらにせよ長くは生きれないだろう。


このノートを読む者が居たら、私の亡骸を雑に捨てて構わない。私の副隊長権限で、この本部にある物を好きにして構わない。


もし可能なら、緋色信仰のヤツらじゃなければ、エリア7に置いてある3分時計を持って行って構わない。私が許可を出した。私は地獄行きだ。


私に対して何をしてもいい。だが、仲間達と隊長、現世帰還隊の誇⬛︎を、ふみにじらないでくれ。






なんばーよんよんご


アレをしったら支⬛︎されたされる。


かんするモジはケシた。わた、たしはミノがさレテた。シハイかくさん、タメに。


あれハえいきょょつよすぎル。シょうさいしるはシンジゃなる。


あの⬛︎にちかずくナ、あれははバケもの、だいよん⬛︎⬛︎⬛︎おなジくらい。


エリア⬛︎⬛︎⬛︎はマクツつだ。いのちステタくなければちかズくな。

ぜった⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎



◆◇◆◇



最後のNo.445のページの文字はほとんどが赤黒い血で書かれ、ノートの端々が赤く血に染まっていた。

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