運だけでメリークリスマス
福良大吉17歳、彼は普通の高校生。
だが、大吉は人並み外れた強運な男であった……
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「ケーキいかがですか?」
大吉は近所の商店街でクリスマスケーキを売るバイトをしていた。
「せっかくのクリスマス・イブなのに、あんたと一緒にバイトなんてね……」
クラスのマドンナ・安里唯も同じお店でバイトをしている。
「いや~、唯さんのサンタコス見れて幸せだよ!」
大吉は偶然同じバイトをしていた唯のサンタコスを見れて最高にラッキーなクリスマスだと感じていた。
大吉と唯がケーキを売っていると、小学校低学年くらいの姉弟がケーキを見つめて立っていた。
「どうしたのケーキ買いに来たのかな?」
「ううん、私たち目の前のお蕎麦屋さんに住んでいるのだけど、うちお母さんいなくて、お父さん一人でお店忙しいから邪魔にならないように弟と外で遊んでいるの……」
姉弟の話を聞いて大吉が目の前のお蕎麦屋さんを見ると、暮れも近いこともあり、お店はそれなりに繁盛していて忙しそうだった。
「唯さん、少しお店見ててもらっていい?」
「え、どこ行くの?」
大吉は姉弟を連れて近くのゲームセンターに入って行った。
大吉はUFOキャッチャーが得意というわけではなかったが、持ち前の運の良さでおもちゃやお菓子を次々とゲットしていく。
「凄い! お兄ちゃん、本物のサンタさんみたいだね!」
姉弟は次々におもちゃやお菓子を取っていく大吉をキラキラした瞳で眺めていた。
「こんなもんかな。はい、メリークリスマス!」
大吉はUFOキャッチャーでゲットしたおもちゃやお菓子を姉弟にプレゼントした。
「いいの? お兄ちゃんありがとう!」
姉弟は大吉に深々と頭を下げた。
大吉と姉弟がゲームセンターから出てくると、外は既に日が落ちていて、姉弟は家に帰ると言って、目の前のお蕎麦屋さんに向かって歩いて行った。
「ちょっと待って、クリスマスにはこれも要るでしょ!」
唯は家に帰ろうとする姉弟にケーキを渡した。
「あ、でも、私たちお金持っていないんです……」
「これは、余ったから店長がお姉ちゃんにくれたの。お姉ちゃん甘いの嫌いだからもらってくれる?」
唯はそう言って姉弟にケーキを渡した。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう!」
ケーキやおもちゃを抱えながら、姉弟は大吉と唯に手を振って家に帰って行った。
「唯さんいいところあるんだね。余ったケーキなんてもらってないのに」
「うるさいわね。私は早く全部売りさばいてさっさとあんたとお別れしたいだけ!
」
唯は柄にもなく子供にやさしい一面を見られたことに照れている感じだった。
「ケーキはあと3つか。よし、俺が買って帰ろう!」
大吉が残りのケーキを買うとケーキは完売し、二人はバイト代をもらって、家に帰ることになった。
「あんた早くバイト終わりたかったからって3つは買い過ぎなんじゃない?」
「うち男3人兄弟で中学生と小学生の弟いるからケーキ3つなんてすぐなくなるよ」
「3人兄弟? え、ちなみに名前は?」
「『中吉』と『小吉』だよ』
「うわっ、あんたの親のネーミングセンス疑うわ……」
唯は大吉に悪態をつくが、二人はクリスマス・イブの夜の街を楽しそうに話しながら家に帰るのであった。




