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いいわけ

 夜の公園、二人の男が取引を行っている。


「おい、ちゃんと約束のモノは持ってきただろうな?」

「ああ、そちらこそ、こちらが提示した額のカネは持ってきてるんだろうな?」


 素人っぽくない二人、一人は白い粉の袋がたくさん入ったアタッシュケースを差し出し、もう一方は万札の束がたくさん入った革鞄を渡す。


 二人が取引をしていると、茂みの方で若い男が取引を見ている。


「おいテメェ見てやがったな?」


 白い粉を持ってきた男が茂みに隠れていた若い男性に近づき、誰の指示で見張っていたかを聞くと男は誤魔化すように適当なことを言ってきた。


「いえ、あそこにいる犬を連れたおばさんが、『あの茂みの奥でいいモノ見れるわよ!』って言ってきたから、てっきりカップルがいいことしているのかと思って覗いてしまったんです……」


「つまらねぇ言い訳しやがって! でも、あのババアも俺たちを見たってことか!」


 男は大型犬を連れた中年の女性に近づき、公園で何を見たかを問いただす。


「何って、あの屋台のおじさんが、公園で刑事もののドラマの撮影をやっていると言っていたから、そこのお兄ちゃんに教えてあげただけよ! 文句があるなら、あの屋台のおじさんに言って!」


 男は屋台のオヤジが現場を見ていたと気づき、屋台に座っていた3人組のサラリーマンらしき3人のお客を怒鳴ってどかすと、屋台のオヤジに何を見たか答えるように怒鳴り散らした。


 少し強面そうな寡黙なオヤジと言った感じの屋台の店主だったが、煮ていたおでんの火を止めたかと思うと、ゆっくり顔をあげて、低い声で話してくる。


「何を見たって、そりゃおめぇヤクの取引しようとしていたテメェの面だろ!」


 男は店主の鋭い眼光を見て、直ぐに素人ではないと気づいた。


 男は逃げようとするが、お客だと思っていたスーツの3人組に取り囲まれ、咄嗟に内ポケットから拳銃を出そうとするが、今度は先ほど問い詰めたおばちゃんの犬が男の右手に噛みつき、男は拳銃を落としてしまう。


 結局、スーツの3人組に取り押さえられ、最初に茂みで覗いていた男に手錠をはめられ、逮捕される。


 屋台の店主、お客、犬を散歩させていたおばちゃん、そして最初に茂みでのぞき見していた男も全て警察であったのだ。


「お前こそ、あんなところで何を取引してたんだ?」


 強面の屋台の店主に扮した警官に問いただされるが、男は麻薬の取引とは認めず嘘をつく。


「あれは、取引していた彼が野球関係者でチームでたくさんロージンバックがいるから、売ってほしいと言っていたので、売買していたのですよ?」


「ああ、そうなのか? おい、杉山~。お前、コイツからうちの署で今度やる野球大会のロージンバックでも買っていたのか?」


 強面の屋台の店主が公園の男に大声で問いかけるのを聞いて、取引した男も警官だと気づく。


「つまらねぇ、言い訳すんじゃねぇよ! ほら、あとは署で話を聞いてやるから来い!」


 こうして男は捕まり、警察署へと連れていかれるのであった……。


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