本当に、そこにあった。
たまたまテレビがついていて、たまたまチャンネルを変えようと番組表を見た。
なんとなく気になって見てみた。
日本在住のウクライナ生まれの歌手なのだという。
その歌を聴いた瞬間、涙がこぼれた。
世界には愛がある。
彼女の歌には愛がある。
彼女は愛を歌っている。
ときどき、思う事がある。
神は人を探している。
どんなときにも愛を忘れないもの。
憎しみをぶつけられたとき。
苛立ちの生贄として貶められたとき。
怒りで反応しないもの、愛を知るもの。
その身に愛を秘めるもの。
神は人の中にきっとそれを探している。
だから世界はこんなにも憎しみと怒りに満ちている。
そんなものは存在しないと思っていた。
この世界は多くの聖人に支えられている。
蔑みに耐え、苦痛に耐え、大事な誰かのために笑みを浮かべて生きている。
そんな聖人達に。
けれどそれだって神が探す愛ではないのだと。
神は我々に多くを、高くを求め過ぎていると。
違った。
愛は本当にそこにあった。
彼女の歌に、魂に、生き方に。
世界には愛があった。
本当にあった。
いつか、こんな事書かなければよかったと思う日が来るかもしれない。
感情のままに恥をさらしたと思う日が。
だからわたしはここに残す。
わたしは愛を見た。
それは本当にそこにあった。
いつかのわたしが笑うかもしれない愛が、そこに。
愛を知らないわたしのために、未来の、過去の、いつかのわたしに。
聴け。
愛はそこにある。
必ず。