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第六話

火炎の剛球(ファイアボール)ッ! ふぅ、……これで最後ですね。近くに魔物の気配は無くなりました……」


 100個の火球が同時に魔物の群れに向かって飛来し、それを燃やし尽くします。

 山を越えて、また別の山に入って奥地に進むと獣人族(アニムス)の集落に辿り着きました。

 ロゼルの言うとおり、魔物の気配がエデルタ王国の山中よりもさらに多く感じられましたので、私は早速魔物の駆除に向かいます。

 

 いつものように魔物を見つけては初級魔法の連射でそれを倒しを繰り返して、時間こそは若干かかりましたが付近の魔物を一掃することに成功しました。


「は、早いッ……! 初級魔法しか使えないと仰ってましたが……。そんなレベルではありませんよ。初級といえども、同時に100発なんて聞いたことがありませんし、そもそも魔物を燃やし尽くす威力など持ち合わせていません……。上級魔法並の威力です」


 道案内をしていたロゼルは目を丸くして驚いていましたが、そんなに驚くことでしょうか……。

 不器用なので簡単な魔法を沢山繰り出すことで、威力やスピードを補っていただけなのです。


 確かに魔法の威力自体は覚えたての頃よりも幾分か強くなりましたが……。


「まさか、依頼して4時間足らずで周辺の魔物を絶滅させるなんて……。エデルタ王国はこれほどの方を出奔させる程の余裕があるというのですか?」


「まぁ、色々と事情がありまして。これで、その領主さんも納得して頂けるかと」


 まさか、婚約を解消されたついでに仕事も失ったなどと恥ずかしいことは言えるはずもなく私はロゼルの質問をはぐらかしました。

 とある伯爵様とやらも魔物さえいなくなれば討伐するお金も必要なくなるので、獣人族(アニムス)たちの悩みも消えるはずです。


「ええ、魔物も実際に居なくなった訳ですし……賃料の値上げをする必要はありませんから。本当に何とお礼を申し上げれば良いか。報酬金は本当にたったの50万でよろしいのですか?」


「いえ、別にお金は結構ですよ。夜も遅くなってしまったので、寝るところをお借り出来れば……」


「そ、それだけでよろしいのですか!? アレイン様……、それはいくらなんでも……」


「大丈夫ですから。お気になさらずに……」


 実際、お金は一生かかっても使い切れない金額を頂いたので欲しくありません。

 それに、お金に困っている獣人族(アニムス)たちから頂くのも抵抗があります。


 こうして、私は獣人族(アニムス)の集落にお邪魔して一泊しました。

 ロゼルが大慌てで集落で唯一の宿場をきれいにさせていましたので、申し訳ない気持ちになりましたが、色々とあって疲れていましたので、部屋に案内されると直ぐに寝てしまいました。



 そして、翌朝……私は族長に呼ばれます。



「アレイン殿、この度は我々の窮地を救ってくださってありがとうございます。獣人族(アニムス)を代表して礼を言わせてくだされ」


 多毛種の大型犬のような見た目から、長髪の老人へと変身した族長は……私に頭を下げて礼を述べました。

 そんなに恐縮されなくてもよろしいですのに……。


 しかし、彼らのお役に立てて良かったで――


「伯爵様……! どういうことですか!? 魔物がいなくなれば賃料は……!」


「ん~? 誰がそう言った? 先代領主のように私は甘くないぞ。払えないのなら、即刻出ていけ!」


 族長の家の外が何やら騒がしいです。

 どうやら、例の伯爵とやらと揉めているみたいですが――。

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