第十一話
「アレインの奴め! 調子に乗りやがって!」
「あ、アーヴァイン様、落ち着いてください……」
「黙れ! これが落ち着いていられるか!」
あのクソ女、2500億エルドを全額使っただと?
金は返さないし、戻ってこないけど、こっちが金を払えば働いてやるだと?
どこまで、増長してやがるんだ。あの女は……。
ジルベータ王国で爵位を貰ったのかどうなのかは知らんが、皇太子たる僕を蔑ろにするとは何事だ。
許さん。許さん。許さん。許さん。許さな~い!
僕はあの女を決して許さないことにした。
引っ捕えて奴隷にして、首輪をつけて一生飼い殺しにしてやる。
「しかし、殿下。アレイン様の力を借りなければ、この国の治安はどう考えても悪くなりますぞ」
「一度、話し合いの席を設けた方がよろしいのでは?」
「黙れ、黙れぇい! 皇太子の僕があの女と同等の立場で席を設けるなど出来るか! そんな惨めなことが知られれば、嘲笑の的になるに違いない!」
まったく、僕の側近どもはどうしたんだ? このエデルタ皇国の次期国王であるこの僕がたかが侯爵令嬢に頭を下げて良いはずがないだろう。
そんなことも分からなくなっているのか? こいつらは……。
「そうは仰せになられましても、事実としてエデルタ皇国は窮地です。このままですと国王陛下の不興を買ってしまい、アーヴァイン様のお立場も悪くなるかと」
「ち、父上が僕を見捨てるとでも思うか?」
「恐れながら、陛下は公明正大な御方。たとえ殿下といえども責任追求は緩めないでしょう」
父上は何だかんだ言って僕のことを許してくれそうなもんだと思ったが、こいつらは立場が危ういと忠告してくる。
うざったいったらありゃしない。だが念の為だ、アレインの要求を飲むとしよう。
「ぬぐぐ。……し、仕方ない。だが、アレインと同じ卓につくのは嫌だ。言い値を払うと伝えろ。とっとと魔物共を掃討せよ、とも」
「いえ、殿下が国庫の金をアレイン様に渡してしまわれたので、我々には支払う金がありません」
「馬鹿な! たかが、女一人を動かす金が無いはずがなかろう!?」
こいつら、わざと文句ばかり言ってるんじゃないか?
アレイン一人を動かす金が無いってふざけているのか?
そういうノリは今は要らないんだ。早くアレインを働かせろ。
「あ、アレイン様は土地でも良いと言っておられました。この国の国土を割譲して支払いをしてもよいと……」
「調子に乗るなァ!!」
もう怒ったぞ。あの女、ぶっ殺してやる。
いや、殺したら働かせられないのだから、力づくで従わせてやる。
軍隊の用意だ。そして、ジルベータにあるというアレインの領地を占領する。
そうだ。元々は僕の金で買った領地なのだから、僕が貰ってやって当然だ。
首を洗って待っていろよ。アレイン……。
この皇太子であるアーヴァイン様を怒らせたことを後悔させてやる――。




