スシノミドリ
1人部屋に戻ったゴウ。
「ヒロ…。」
幼い時から共に育ってきたヒロの今まで見た事のない姿に困惑する。
ヒロとはいつだって、なにをするのだって一緒だった。
小さい頃はケンカばかりで大変だったと親代わりの先生に言われた。
物心ついてからは毎日稽古を共にし、悪さだってたくさんやってきた。
街にきた冒険者が居酒屋で暴れていたのも2人でぶっ倒して衛兵に突き出したりもした。
部屋も同じで寝ても覚めても、四六時中一緒だった。
ヒロの事はなんでも知っていると思っていた。
ヒロも自分の事はなんでも知っていると思っている。
そんなヒロのあの態度。
「あのオッサンが何かやったに違いねー。」
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「ふぅ〜」
ゴウが出て行った後、深いため息が出た。
「自分の起源なんて考えたこと無かったなぁ。この聖霊器の前の所有者か。どんな人なんだろう。なぁ、なんで僕を選んでくれたんだい?」
ヒロは誰もいない部屋の中でポツリと呟いた。
『ふふふふ。初めて話しかけてくれたね』
「?!誰だ?!」
突如聞こえた声に身構えるヒロ。
周りを見渡すが、部屋には誰もいない。
『誰だなんて酷いじゃないっ』
「??…!!!!!まさか?!」
『そう。そのまさかだよ〜ん』
「な、何故?!どこにいるんだ?!」
『ふふふふ、聖霊器と主は繋がってんだよんっ主が僕の存在を意識したから会話できるんだよ〜ん』
「意識…?そんなの前からずっと意識してたと思うけど」
『僕を深く求めてたんだよ〜ん。理由はなんであれ。ねっ』
「求める…?…確かに。僕は君を求めたかもしれないね。それで?僕の求める答えをくれるのかい?」
『ふふふふ、前の主の事〜?』
「…いや、今はいいかな。今知った所でどうすることも出来ないし。ありがとう。話したら少し落ちついたよ」
『あれれ〜?いいの〜?』
「うん。今は武闘会に集中するよ。あっ、ゴウにも変な態度取っちゃったな。今頃心配してるだろうな。」
『ふふふふ、そー?まぁ僕はいつでもそばにいるから。見守ってるよ』
「そう?ありがとう。決勝トーナメントでは頼りにしてるよ」
『任せんしゃいっ!』
「頼もしいね。よし。ゴウの所に行こうかな。きっと心配してる」
そう言ってヒロは部屋を出た。
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コンコンコンっ
「はーい。」
ガチャっ
「ゴウ、さっきはごめんね。」
「ヒロ!!えっと、その、、大丈夫か??」
「うん。もう大丈夫だよ。」
「そ、そうか。」
「ゴウ、血塗れ公爵、スシノミドリさん。悪い人じゃなさそうだよ」
「はぁ?!何言ってたんだ!ヒロの様子がおかしかったのとあいつになにかされたからだろう!?」
「ははっ確かに様子はおかしかったね。でもそれはなにかされた訳じゃないんだよ」
「じゃぁなんだっていうんだよ!」
「ゴウ、自分の両親の事。知ってる?」
「?親?そんなんいねーよ!ヒロもそんくらい知ってんだろ」
「そうだよね。でも、親が居なきゃ僕たちはここに存在しない。」
「…なにが言いてーんだ?」
「スシノミドリさんは…多分僕の両親のことを知っている。」
「!!!!っんだと?!」
「それから僕、自分の聖霊器と会話したよ」
「??!!なにわけわかんねー事言ってんだ??!!混乱してんのか??!」
「さっきまでは混乱してたよ。でも今は冷静だよ」
「なんなんだ、、わけわかんねー」
コンコンコンっ
「?だれかきたみたいだね」
ガチャ
「武闘会スタッフです。あ、ヒロ様もいらっしゃいましたか。決勝トーナメントの抽選を行います。ホールまでお越しください」
「はーい。チッ。タイミングわりーな。おい!ヒロ!後でしっかり話聞かせてもらうからな!」
「うん。ゴウもきっと驚くよ」
『ふふふふ、』
2人はホールに向かって歩きだした。




