開会
誰が読んでいただいているのでしょうか?
思わぬ出会いを果たした2人はなんとも言えぬ気持ちのまま無言で集合会場へ向かっていた。
「…。」
(チッ!なにが血塗れ公爵だ!あんなのただのデカブツじゃねーか!大層な渾名しやがって!余裕ぶっこきやがってムカつくやろーだ!)
「…。」
(ゴウは気付いてないのか?あの人急に目の前に現れた。凄い速度で移動したとかではなく。急に現れたんだ。それにマミーは血塗れ公爵と知り合いなのか?マミーのゴブ肉のスープは確かに美味いけど王国一の男がわざわざこんな所まで食べに来るのか?なにかあるのか?)
「「はぁ、、」」
「考えても仕方ねーな!どうせ決勝トーナメントまで行けば嫌でもあいつをぶっ倒さねーといけねーんだ!」
「そうだね。ふいをつかれてビックリして情けない声だしちゃったけど本番はそうはいかないからね。」
(ゴウには一先ず黙っておこう。まずは予選突破に集中だ)
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集合場所に着くとそこには筋肉隆々ないかにも強者そうな男や、俺が勇者だ!と言わんばかりの格好をした雰囲気イケメン、杖を持ちローブを着た魔導師の女、異国の出で立ちで辺りに威圧感を与えている軍団やブーメランパンツを履いたパフォーマーなど実に様々な人種が集まっていた。
「わいわい、ガヤガヤ、わいわい、ガヤガヤ」
「わいわい、ガヤガヤ、わいわい、ガヤガヤ」
「わいわい、ガヤガヤ、わいわい、ガヤガヤ」
「うぉー!すげー!!ヒロ!見てみろよ!勇者いるぞ!勇者!サイン貰いに行こうぜ!」
「ゴウ、あれはどう見ても本物の勇者じゃないよ。」
「えー?!違うの?!あんなキラキラ装飾の奴が勇者じゃないの?!」
「そうだね。あれは唯のキラキラ装飾の人だよ。武道会で目立てばそれなりの仕事が舞い込んでくるからね。そーいった連中も参加してるらしいよ」
「ほぇ〜そうなんか。でも見かけだけじゃないやつも多そうだな。あっ!あそこショーナンさんいるぞ!おーーい!ショーナンさーーん!!!」
参加者で溢れている会場で一際目立つ軍服ゴリゴリマッチョの知り合いを見つけたゴウは人目も憚らず大声をあげた。
「っ?ん〜?おっ!お前ら。そういえばお前らも武道会出るんだったな!」
「こんにちは。ショーナンさん」
「ショーナンさん今日はライバルですね!」
「おう!まだまだガキンチョ共には負けねーよ!ぶはは!」
そう言って豪快に笑う軍服ゴリゴリマッチョ。
ブテナロック王国軍第10支部所属ショーナン。
己の信じれる武器は己の肉体。
ゴウとヒロも同じ第10支部所属である。
2人とも裏表の無いショーナンのことを好いている。
いい意味で。
そんな顔見知りの3人がしばし談笑しながら過ごしていると、会場アナウンスが流れた。
「「参加者以外の方はこのホールより速やかに退場してください。繰り返します。参加者以外の方はこのホールより速やかに退場してください。」」
「お、そろそろだな」
「「??」」
出場経験のある者は落ち着いている。
出場経験のない者は浮き足立っている。
「なに?なにが始まるんだ?」
「?絨毯に魔力がかかってる?」
「お?ヒロ気づいたか?この絨毯の上に乗ってる奴らは会場に転移するのさ」
「うおー!すげーなー!」
「なるほど。転移なんて初めてだから緊張するな〜」
「なに。緊張することはねーよ。一瞬さ」
(こいつ、魔力の流れがわかるのか?)
キィイーーーンッ!!
辺りを極光が包む。
一瞬の静寂の後、集合会場から荒野へ転移した。
「うおっ!」
「これは…」
初出場組は初めての転移に驚きを隠せない。
「それではこれよりブテナロック王国武道会の予選を行う!!」
「決勝トーナメントに進めるのは20名までだ!ここに立っているのが20名になるまで闘え!!!殺しは厳禁!以上!!!開始っ!!!!!!」
ヒュ〜〜〜………ドーーーーーンっ!!!!!
案内人による武道会開始の合図。
大きな花火が打ち上げられた。
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「おいおい!急だな!」
「そうだね。常連組は既に戦闘モードって感じだね」
「お前ら決勝に進みたかったらむやみに動くんじゃねーぞ。」
武道会常連組のショーナンは落ち着いて辺りを観察しながら今後について考えを巡らせていた。
「ジッとしてるなんて性に合わねーよ!おい!ヒロ!行くぞ!!」
ダダダっ!
「おい!ゴウ!…ったく。すいません。ショーナンさん。僕らは逃げて勝つんじゃなくて、闘って勝ちます。御武運を」
ダダダっ!!
「あーあ。行っちまった。年は取りたくねーな。」
1人取り残される形となったショーナン。
その顔にはニヒルな笑みが張りついていた。




