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3/4

悪口言う時だけ仲良くなれる関係はくだらない

その日のギルドは騒がしかった。

「ウェイドのゾンビドラゴンが倒された!!!」

途端にオオオオオオオオオオオオオ!!と歓声が埋め尽くす。

「あのゾンビドラゴンは8つの中のドラゴンでも最も厄介なドラゴンだったからなぁ」

「ああ、噛みつかれたら自分もゾンビになるんだもんなぁ」

冒険者たちは、ゾンビドラゴンが倒されたことに喜んでいた。



しかし喜んでいないものが何人か、中でも男性4人で集まっているグループにその人物はいた。

「ゾンビドラゴンがぁ、倒されたのか、あ、あ、俺たちが倒す予定じゃあなかったか?ウェイト」

「はぁ、でも、まあ、倒されちゃったものは倒されたんだし」



コウイと呼ばれた青髭の年配の男性はそう言って、皺が目立つ太ったおっさんのご機嫌を取るように笑顔を浮かべた。口元だけがにんまりしていた。




「そっすね、コウイさんの言う通りっすね、俺たちが遅かっただけですし」

「あのねぇ、ハヤヒルさん、そう言う言い方どうかと思うよ???」

そうツッコミを入れるのは、ハヤヒルと言う太った眼鏡の男。

そのツッコミに対し、コウイは少し怒る。



「まあ、いいじゃあないですか、やっかいなね、ドラゴンがね、いなくなったんですよ

 それで良いじゃないですか」



そう言ったのは痩せた眼鏡の男。



「まあ、タカのいうとおおりだな。まあ、でも、おれらぁがもうちょっと、もうちょっとなんとかしてりゃあ、そいつらよりはやあく始末できなんじゃあないのかなってえ、思うんだが?」

語尾を伸ばして厭味ったらしく皺のおっさんはそう言う。



「・・・・・・」



男たちは何も言えなかった。



「じゃあ、もう今日は良いや」おっさんはそう言って、その場を離れた。



「・・・・あのさぁ、いい加減、リーダーの機嫌とんのホント疲れない?」

そう口を開いたのは、コウイ。

「まあ今日みたいにね、コウイさんがね、もう、ブフッ、ニンマリ顔してりゃいいんじゃないですか?」

「やんだよ、俺、もう、あの人の名前忘れたもん、てか、本人も忘れたでしょ」

「もうボケてんじゃね?」

「そうそうボケてんだよ、そう思いません?タカさん」

「いやあ、もう私はあの人の考えることは分かりません」

3人はそれぞれリーダーの文句を言っていた。これまでのうっぷんを晴らすように。



しかし「あ、そうだ、オタ君、君、あしたロベルスの丘に集合だから」

とコウイは一人の少年に言う。



「あ・・・は・・・はい」

少年はそう弱々しく言った。



するとコウイが「ていうかさ、オタ君さ、君、この間さ、休んだ時、何で休んだの?」

と聞いてきたので少年は「それが、40度の熱で、皆さんに迷惑かけてしまうんじゃないかと・・・」

と言うとコウイは「あのね、俺が親だったらさぁ、這ってでも行け!!!て無理矢理だすよ!?だってそうじゃない!?君、ヒーラー役だよ!?分かってるの!?」



「えっと、だからヒーラー役が迷惑かけないように・・・」



見ると、男たちは、はぁと言う雰囲気を出していた。



「お前のそういう態度がダメだって言ってるんだ!!この、大体、体調管理がなっていないんだ、お前は、良いか!?ちゃんと体調管理していれば風邪なんてひかないんだ!!お前は体調管理がなってない!!」

「は・・・はい、すみません」

とタカはオタをしかりつける。



「オタ君にとって仕事とはなんぞや?」

と唐突にハヤヒルが聞いてきた。

「えっと、やらなくてはいけないもの?」

すると、「やらなくてはいけないもの・・・」

とオタの言葉を復唱した。

そして、「じゃあ、ちゃんとやらないとだめだよな」

とオタを窘めようとした。

「は・・・・はい、すみません」



オタは疑問だった。ヒーラー役が機能しないのに来ても良いのか?

それが邪魔になることはこの人たち分からないのかな?

それとも、倒れたら責めないで助けようとするのかな?いや、そもそも

それでも文句を言われる。そもそも、体調管理がなってないって・・・・



オタの思考は回り続けて答えが導き出せない。



「ああ、君、もういいや」



男たちはオタを締め出すようにしてあしらった。



「は、はい・・・・・・・・・」

オタは、その場を去った。



「ああ、あいつ、昨日くれば、おとなしく魔物の餌にして

やったのにな」



「ちょっと~、コウイっさん、そりゃあ、本音を言いすぎでしょ~」



「いやいや、タカさんだって、そう考えているでしょうに、も~」



男たちは、誰かの文句を言う時だけは団結している。


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