第88部 囚われの藍と……立花の双子
1970年11月9日
*)藍ちゃんと立花の双子
時間は私が狙撃される前の時間に遡る。私こと雨宮 藍は二日目の桜花祭でお父さんを見かけたから探していた。う~ん亜衣音ちゃんの着替えとか会場の設営で気になったが、私は十時半くらいだったか偶然見かけたのよ。だから後をつけてみたの。でも、ドジっちゃって直ぐに捕まったわ。
「もうすぐ文化祭の開校時間だわ。次は何をするんだっけか。」
私は何処かへ向かっていたのだが、お父さんを見かけて追いかける事に決めた。お父さんは私に気が付いているはずだよね。だって堂々としてお父さんの前を歩いていたもの。それとも私を呼びに来たとか、あり得なくもないのだが……。
「この先は父兄用の駐車場だよね。」
と、私はつかず離れずに後をつけていた。そうよね、いつもお父さんはサングラスを掛けた男の人がいつも一緒なのに、今日は居ないのは変と考えも出来なくて、逆に私が後をつけられてそのまま車に押し込められた。
「藍。生きていたか、運がいいな。」
「お父さん。ここで何をしているのよ。また亜衣音ちゃんを付け狙っているの?」
「まぁ、そんな処だ。今日はその女を殺しにきた。どうだ、藍見て行くか。」
「殺しにって、お父さんはどうして亜衣音ちゃんを狙うのよ。何か恨みとかは無いはずだよね。」
「そんなものあるか。アレが人狼の末裔だから殺すのだよ。」
「亜衣音ちゃんは普通の女の子だよ。どうして人狼の末裔と言えるの。どうして殺されなくてはならないのよ。」
「アレの親達には酷い扱いを受けてだな、その敵討ちだな。俺の親が殺されたからな。藍は……知らないだろう。俺の弟も殺された。妹の咲子が弟の娘になるが、あれは特別でな女の人狼にされた唯一の人体実験の産物さ。ロシアのハベレケの……何とかカンとかの実験を引き継いでいたからな。」
「そんな、咲子が人狼だなんて普通に良い子だよ。それで亜衣音ちゃんがとても気にしていたんだ。」
「咲子は未熟でな、この前の巫女の血も確保出来たから、そろそろ輸血を開始する。これが成功すれば初めての、人狼の巫女の誕生になるだろう。」
「お父さん。酷すぎます、あんまりですよ。」
「藍、時間だ。ここで見ておけ。」
「なにするのよ、やめてよお父さん。」
「おい狙撃しろ。女の方から撃て。」
「へい、ボス。」
男はサングラスを外して可愛い瞳を見せていた。濃ゆいサングラスは男の威厳だったのか。大型の車の屋根に上って狙撃するらしい。姿が判らないように色々と車に飾りを施してある。
「ボス、合計で四発が最高です。取りあえず一発でも当たれば良いのですよね。」
「それでも構わんが、出来れば保険で二発がいいが。……おい時間だ、撃て!」
「ドンドンドン!」「女に一発命中、次、男…命中。」 「バンバンバン!」
「男…命中。」 「ドンドンドン!」「すみません、馬が暴れて女よりも男に命中してしまいました。」
「まぁ良いだろう。どうだ藍。」
「ウソよね、亜衣音ちゃんは平気だよ、良かった。」
「弾が小さいからな。そんなには深手にならない。ここで騒ぎが起きれば大変になるだろうよ。チラホラと警備も入っているようだ。」
「亜衣音ちゃん。大丈夫よね。」
「ボス、根性で馬に乗っています。ですが、もう薬は回っていますね、男はもう姿勢を保てないようですぜ。」
「良くやった。この女は褒美にくれてやるから好きなようにしろ。」
「有り難いですぜ、ボス。」
「お父さん。私を、娘をこんなゲスに渡していいの、やめてよお父さん。」
「ボス、テントに入って中の人間が飛び出しました。もう間違いありません。」
「アレは馬で転移できるから病院へ……先回りだ! 下りて来い。」
「へい!」
「お父さん。放してよここから出して、」
「大人しくしてな。エヘヘ……俺の嫁ッ娘にするだ。」
「あぁ、藍。こいつは人狼兵だ。力は強いから逃げられんよ。」
「イヤだ……。」
「見張りがまだだが、どうした。」
「花火の後で集合を掛けております。二人は戻りますよ。」
「そうか、エンジン掛けて待機だ。」
暫くして男達が車に入ってきた。それも二人の女の子を抱きかかえていた。
「ボス、この二人が車を覗っておりましたので捕まえました。」
「こら、放せ、イヤだ、触るな。」x2
「あ……碧に翠ちゃん!」
「亜衣音ちゃん。助けに来たよ。」x2
「バカね、何を言っているのよも~!」
「テヘッ!」x2
「嬢ちゃん、覗きは良くないな~、君たちも嫁になりたいのかな。」
「イヤよ、藍ちゃん。なによこの人達は。」
「うん、それが亜衣音ちゃんを殺しに来たというのよ。それよりも亜衣音ちゃんが撃たれて殺されたみたいなの。どうしよう。」
「え”え”え”……!!! そんな~あり得ないよ。」x2
「いいさ、こいつらはエサにしようか。病院へ行け!」
「はい。」
病院には五分と少しか、車は直ぐに着いた。男が黒服を脱いで作業着みたいな緑色の薄いジャンパーを着て病院へ入って行った。
「ボス、成功です。男はもう意識がありません。女の方はこれも直ぐに倒れて意識不明になっていました。」
「そんな、亜衣音ちゃん。」
「フハハハ……良くやった。引き上げるぞ。」
「へい!」
私たちは車に揺られて小一時間で、何処かの倉庫に閉じ込められてしまった。
「双子ちゃん、もう生きて出られないかも知れない。ゴメンね?」
「どうして藍ちゃんが謝るのよ。」
「うん、あれが私のお父さんなのよ。それでいて亜衣音ちゃん家族を襲っていた犯人たちね。もうごめんなさい。」
「え、あの池で捕らえられていた時と同じなの?」
「違うよ、あれはお金で雇った暴力団のチンピラで、こちらは組織なのよ。」
「うぎゃ~、」
「う~どうしよう~、」x2
それから三日は過ぎただろうか。狭くはないが事務所に閉じ込められていた。
「わ~もう三日間だよね、大概で外に出たいよね。」
「うん、お風呂も入りたいな。」
「缶詰とパンだけだよね。よくもこうも放置してくれて。」
「碧、開放される時は強制妊娠させられるからね。」
「やだ、逃げよう……。」
「どうやってさ、この鎖は切れないよね。」
この夜に私たち三人は、馬事公苑のお婆ちゃんと成りのデカイ女の人に助け出されたのだった。
「ガキ共、助けに来たよ。」
「わ~ありがとうございます。強制妊娠させられる前でした。」
「なら、今度にするか!」
「いいえ、助けて下さい。」
「ほれほぇ~……早く逃げるぞ。」
「そうよね、私たちも主人公だから不在では困るよね~!」x2
港区の倉庫街で開放されたのだ。うれぴ~!
「亜衣音も無事であんたらを心配しとるで~。」
「亜衣音ちゃん撃たれたよね、無事だったんだ。あ~良かった~。」x3
「先にお風呂に入るかえ。」
「はい、喜んで~。」
「クマ、海に投げておやり。」
「くせ~よ、そうだな。投げ込んでやるか。」
「乙女は臭いません。それは誤解です。」
とある外交官ナンバーのリアガラスに、「それは誤解です。」と書かれてあったが、どういう意味だろか……。なので取り入れてみました。




