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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第八章 あれもこれも穏やかな幕間(まくあい)

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第82部 角砂糖に色を着けるという……発想は?……


 この日の朝、、、、。校庭で大きなドヨメキが起きた。


「きゃ~!」 「すてき~!」 「と、跳んでる怪鳥!?」 「いや、違う!」 「……ブッ跳んだ元会長だ!」


 1970年10月26日


 教室に入ってくる美歩を見て驚いてしまった。


「もう美歩ちゃん!……それはなんですの? 大地はそんな格好では落とせませんことよ。」


 今朝の美歩の容姿が……はっちゃけた?! 金髪で大きく渦巻くパーマ。それとスカートの裾を切り取り短くした~超ミニスカート。お化粧は厚めで綺麗。胸のボタンは一つ外してって、セーラー服だからそれはないか! マニキュアも!



 私が迂闊にも美歩を眺めて呆けていたら、


「これは貴女に関係ありませんわ!」

「って……わ~この子、宣戦布告かしら!」

「なにを! 宣戦布告はさっきの貴女の言葉がでしょう?」

「え?……あ、ホントだわ。」


 大地の前が未来なのだが、今日はその未来の前の子を美歩は追い出して座ってしまった。この席が気に入らなければ次を考えるらしい。……恐ろしい女だ。



 美歩は生徒会の引き継ぎを終わらせて今日、晴れて馬術部の一員になった。過去に入部させていたから今更拒否も出来ないし私と大地の波乱が始まる。主に……私のみだろうか、男の子は綺麗な女性に言い寄られると弱いのよね。



 大地は美歩に迫られるし、私は悪阻つわりの件でネチネチと言われてクロをほぼ独占されてしまった。もう最悪だ、私は指を咥えて部員たちを眺めるしかなかった。


「もう、私は部長失格よ!」


 と自棄になるから体重も増えたし体調はすこぶるいいし、ただアンミツを食べ過ぎるのが悪いようだ。


 もう本当に未来からは相当に引っかき回されてしまった。が、まだまだ終わりでは無い。次は……文化祭? 文化祭を中止しようかという問題は立花のお父さんが解決してくれた。この前の寄付金の条件の一つだったみたい。



 美歩は金髪で綺麗な女の子でクロに跨がる姿が素敵! 非の打ち所がない。今朝の私は……頭の打ち所が悪いようでぶつけたかまちで痛い思いをしてきた。ボーっとして玄関を出たものだからドアの枠(框)に頭をぶつけたのだ。


「絶対に大地の上には跨がらせない無いないからね!」とか「落ちろ!……バカ! ボケアホ美歩!?」


 遠くから大地の声がした。


「こら! 亜衣音~落ち着け。眼にゴミが入って敵わない。」


 見れば美歩は下を向いて自慢の髪を押さえているし、私は感情的になりすぎて風魔法を起こしていた。


「大地! そこで頭……冷やしてろ、バカ!」


 大地の頭には私の溜息が瘤となって降り注いでいた、あのドクロのようなツルぴかの可笑しな顔のドクロ……。手塚さんのお気に入りか!



*)杉田家の引っ越しの荷物が……


 十月十五日は霧お婆ちゃんの命日で智治お爺ちゃんのみのお墓参りだった。来年は大所帯になっても家族全員で来るからとこの一年の事を三十分に亘って話してきた。併せて自宅の荷物の手配も済ませたという。


 札幌の智治お爺ちゃんと桜子お婆さまの家が完成したのだ。明子姉さんと双子ちゃんも新居へお引っ越しだが……。


杉田家の家財道具は札幌の引っ越し業者に一任していたから、荷物が順次搬入されてくる。ま~荷物の梱包を一任せざえない理由は、誘拐等による事件が元で祖父母は東京から離れられないのが原因か。


 自宅の荷物は取捨選択されたはずなのに多すぎる箱の数。届いた荷物は桜子お婆さまの指示により、衣服、寝具、家具、食器が優先されていた。次はあまり重要ではない荷物から居間にある絵画や柱時計、四人の娘たちが残していた荷物などが届きだした。


 ある日の午後、ひょんな事から屋根裏部屋が見つかったのだ。売りに出される家の鑑定に来た不動産屋さんが荷物の梱包中にも拘わらずに家を診断していた。


 この男の目的は……小銭がタンスの奥から出てくる出てくる、小銭泥棒ではないのだが清掃される前の状態を見たかったらしいい。畳の間からも小銭は出てきた。そう、この男の子供時代はお小遣いは無かったからだ。


 年に一度の大掃除の時に出てくる小銭が唯一無二のお小遣いだった。しかしいったい何処から小銭が転がって色々な隙間に入り込んでいたのか全く判らない。


「俺の村には駄菓子屋の一つも在りやしない、小遣いが有っても使えない。だが毎年の母の日のカーネーション代の十円だけは必要だったっけな。


 私なんか母に言うのだ。「お母さん十円頂戴!」と。母は物わかりが良かったのだな。夕方には「赤いカーネーション」が私より贈られる。しかし六才上の姉も居たのだが姉がその赤いカーネーションをついぞ贈っていた現場は見た事も無くて気にも留めていなかった。これは小学校時代の悪しき習慣だ!


「俺はそんな田舎で育っていない!」と、お叱りの言葉届いた。


 この不動産屋さんが母姉妹の部屋の天井が異常に下がっていたのを見つけてしまった。押し入れの天袋は大凡が天井裏に入れる構造になっている。無ければ別途何らかの点検口が設けられたりもするが、たまには天井板が一枚か二枚が外れる事もあると聞いた。


「なぁ君バイトの高校生かな、背が低いのでそこの押し入れから天井に潜ってくれないか。」

「嫌ですよ、背は小さいでしょうが横には大きいですよ。」

「そうか五千円出そうかと思ったが、自分で潜るしかないか。」

「是非、私にお申し付け下さい。」

「アハハハ……お願いしたよ。」


 このバイト君がキュウキュウ言いながら身を捻って天井裏に入ると、


「うわ~お宝の宝庫ですよ……うわ~欲しいです。」

「奥にも行けます……うわ~お宝の宝庫ですよ……うわ~、わ、わ”~!!」


 と大きな悲鳴とドーン! という音と共に天井を破って巨体が下りてきた。


「なぁ君。報酬が出せなくなってすまないな。」

「いいです、これ……一枚で我慢しますから。」

「白い三角形のハンカチだね……いいだろう、秘密だね!」

「はい……ムフ~。」

「梯子を頼む!」

「五千円で買って来ます!」

「あぁ、இ……。」


 天井に大きな穴が出来たので荷物の搬出は簡単に済んだ。段ボール箱に十三個分もの数量が……。引っ越し業者は見た事も無い秘蔵の逸品の人形やプラモデルなどなど。それに可愛い二次元の絵、え、プロマイド写真……。


 そのプロマイド写真だが小学校の文房具販売のお店で売ってあった。同級生は格好いい俳優さんで、私が引いたプロマイド写真はあのボーイッシュな水前寺さんだった。だってこのプロマイド写真は丁寧に中の写真が見えないような、新聞紙に包まれたクジみたいな今で言う「ガチャ!」だった。



 東京には最後に届いたと思われる十三個分の箱だが、母と澪お姉さまは黙って追加料金を二人で半分こして桜子お婆さまにお支払いされてあった。支払いが済んだその日の夜は二人ともニコニコと機嫌が良かったみたい。


 若かりし母たちの乙女のお宝が出て来たのだから、喜ぶのも当然だろう。未来から来たオモチャ類は全てがホロお婆ちゃんが与えていたものだった。アインクラフトと書かれた小文字は製造会社の社名だが今はまだ存在しないが、未来の女社長は身近に実在している。亜衣音の魔法=アインクラフトという意味だ。



 そんな旧化石の品々をとある目的で私と大地に依頼してきたのだ。十~十八年前に集めた秋葉原のお宝。1972年に発売予定の物が多く有った、今はまだ1970年なのにね。この会社のマークは頭文字のイニシャルかがA・C とあったり、中には小文字でアインクラフトとも。



「ねぇ亜衣音ちゃん。ここの段ボール箱を全部高校の文化祭バザーで売ってはくれないかな~。報酬は三割よ売却代金の三十%よ? とてもいい条件だとは思わない?」

「ふ~ん、すると澪お姉さまは七十%なんだ。大地どうする? 半分こしたら15%だよね。」


「いいんじゃね! 俺は居候だしな。」

「ダメよ大地。損してまでお利口になる必要は無いのよ。」

「それなら俺は30%でいい。」

「うん決まったね。」


「亜衣音ありがとう~。」

「澪お姉さん、こちらは二人だから売り上げの60%は頂きます。」

「え~……損な~……。」

「亜衣音ちゃんそれでもいいわ。その代わりにバザーの販売を私にもさせなさい。い・い・わ・ね!」

「澪お姉さま!……お顔、怖いです……。はい、明日、部活会議で諮ります。」



 それで部員に相談したら「楽しそうだしやろうよ!」と即刻の了承だった。販売は馬術部の部員が分担して担う事に決まって、費用は一日につきアンミツを一杯の代金で済ませる事が出来た。3x8x?00円



 11月3日の文化の日(1948年・昭和23年に公布・施行。)は前後が平日だから文化祭の日程は11月6~8日の三日間に決まったらしい。普通の高校よりも一日だけれども長いのが良いところだな。


 私と大地はお父さんの小さな車で三回に分けて学校に運んだ。高校には馬術部の部室が無いので運び込んだ先はもち、お父さんの教頭先生の部屋だった。ここに段ボール箱の七個を保管させて貰う事が出来た。




「亜衣音ちゃん大地くんを放っておいていいのかな? 美歩が狙っていたよ。」

「藍はバイトが大変よね。なのに文化祭でバイトを休むのだから私たちはアンミツ食べて協力するからね。」

「来なくていい、お仕事が増えちゃうからね。」


「お店が繁盛しているのは藍ちゃんのお陰だよね。もう街中の噂よ。」

「ただね、店に来るカップルを別れさせたくて角砂糖に色を色々着けたら……お客様が増えてしまったの。だって一番利益が上がるコーヒーばかりが注文されるからマスターはウハウハで、私の配膳と食器洗いは楽ちんだもの。」



「え~角砂糖に……色着けたんだ!……口紅とか?」

「だけど私たちのテーブルは白だけだったよ。」

「違うよ人を選んで出すからね、どのカップルさんもでも離縁してくれないみたい。」

「ブッは~……。」

「煩い笑うな! かき氷のミツを掛けて乾燥させただけよ。」

「へ~凄いじゃんよ。」

「まぁね!」


「未来、コーヒー飲むならば可愛い角砂糖を出すよ!」

「ありがとう、でも飲まないよ。」


 私はストローの包み紙の先端を十字に切れ込みを入れて、先端を広げてチューリップみたいな花を作った。途中は折り曲げて葉っぱを模して造花を作りストローに差しておいた。


 テーブルを立って会計を済ませていたら、お店の女性は可愛く微笑んでテーブルを片付けていた。後で藍に訊いたらマスターのお嫁さんだって……いいな~♪


 表題は色を着ける。色を付けるではありません。

本来の「色を付ける」は、物事の扱いにおいて値引きをしたり、おまけをつけたり

する事です。


 同じように、「穴を開ける」これは自分が物事においてミスをして相手に迷惑を

負わせる意味です。良く「小説家になろう」の文中には「穴を開ける」と書かれて

いますが、本来の意味の事の「穴を空ける」という事を「穴を開ける」と書かれて

ありますね。


 これも同じ誤用が多い「身に着ける」と「身に付ける」「**の後に着いていく」

と「**の後に付いていく」もです。「道を開ける」と「道を空ける」


 この違いが分からない人は、ま~調べて下さい。情けないほどに多いのも事実です。

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