第80部 助けたつもりが……徒となって返ってきた
1970年10月18日
*)美歩
未来は私に内緒で美歩を連れ出して来て事の始終を見せていて、この未来のお陰で後々が大変な事になってしまいもう最悪だ。今夜の事を喜んで美歩は両親へ話すのだった、ただ私の巫女の風魔法は話していない、だって強く未来に止められたから。未来だからラノベみたいなあり得ないマジックとでも言ったであろう。
一年生以外全員は大なり小なりに私が魔法使いだと知っているからね。私は事件の都度硬く口止めをしたし、大地だって可愛い女の子の眼前で凄んで見せるもの誰だって怖くて怯むよね。
「おはよう~パパ、ママ。」
「今朝は随分と早いな、学校へ行くのか。」
「うん今日から登校するわ。それよりもね聞いて聞いて!」
「美歩ちゃん機嫌がいいのね、どうしたのよ。」
「パパママ聞いてよ~私を付け狙っていたあの暴走族がだよ、一晩で壊滅に追いやられたの。誰からだと思う?」
「八州連合の欣ちゃんが成敗してくれたか、そうか欣二がやってくれたか。」
「違うわよ、欣ちゃんはただ見ていただけだよ。それがね、あの白川さんなのよ。独りで全員を警察送りにしたのよね。どぉ? 驚いたでしょう。」
「ウソがまだ出てくるようだね美歩、どうして白川さんが独りで暴走族を成敗できるのだい。」
「ジャンジャジャ~ン今朝の新聞を持って来たわ、読んで!」
「……う……ぐぅ~……これは本当か! でも相手は不明ってこの時勢にあり得ん。美歩その話は本当だろうね。」
「私だって親の七光りで生徒会の副会長を張っているのよ、信じていいよ。なんなら今日、学校に来る? 来るよね……お嫁に行きたい。」
美保は故意に白川としか言っていない、美保としては父の威厳を利用して大地と結婚したかったからであって、関東九州連合を壊滅させたのが白川亜衣音とは言えないのだ。美保の父だって女の子の私が無双出来るとかこれっぽっちも思いはしないからね。美保は強かだよ? 大地。
「美歩の未来だ、献金を入れた小切手を持参してタヌキ校長に押し込むか!」
「パパお願いね?」
この親子は校長に何を押し込むというのだろうか、答えが出るまでお預け。ちなみに欣ちゃんと美歩は幼なじみで、こんな事を考えたら将来はズブズブの関係の誕生なの~?
「ま~これで、いっか!」
校長先生は白川家に対して深入りはしていない。大地の事は事件に関わって助けて貰った、大地に正しい戸籍がないので養子に迎えた位までしか知らない。それが問題だった……。
美歩は登校して来るといの一番に私に会いに来てくれてお礼を言うのだが、私と話しが噛み合わない。昨晩の件を盛んに言っているのだが、私が打ち合わない(相手にしない)ので話しが合わないのでは無かった。だが美歩の視線はチラチラと大地に流れていて、美歩は気が漫ろという感じがしてならなかった。
「白川さん昨晩はありがとう。とても胸がすっすっすーしたわ。」
「その言葉九州の方言よね、昔住んでいたの?(昨日は私が言っていたわよね)」
「いいえ全然。昨日聞いて覚えたのよ胸が空いた気分になりました。」
「そう、それは良かったね。」
「ねぇねぇ白川さん。大地くんどんなトリックを使ったのよ教えてよ。」
「え~? 何の事かしら。昨日は部活で皆さんとお話をして過ごしただけですよ。」
「うふ~ん私、見てたんだよね。大地くんがさ~大活躍だったよね。」
あ~ここが美保が言う事とかみ合わないんだ、私と大地を間違えるとかあり得ないわよ。でも私は芝居を続ける。
「大地、あんた昨日は外で何してたのよ。」
「あぁ?……俺か、何ってランニングの自主トレだぜ。お前も知っているだろう、第一にお前も付き合って走っただろう?」
「いや~あれは……さすがに違うと思う、私は重り役だったし、」
「そう言えば重かったな、美歩以上に重かった。」
「うぎゃ大地くんは……そうよね、伸びた私を一生懸命になって運んでくれたのよね。」
「あぁそうだった、それで?」
「お礼がまだでした、……あの時はお助け頂きましてありがとうございます。今後とも末永くお願いします。」
大地を前にしてモジモジとする可愛い女の子。これだと大地はイチコロで落とされるわ大変。ちょっと大地を連れ出しておいて……でも話の本筋がズレた残念な私が気にした事はズバリ体重の事だった。
「私が重いって?」
「冗談じゃないお断りだ、お前は自分の体重を知らないだろう。」
「はい知りませんです、重かったですか?」
「まぁそう思っていろ。亜衣音、あれが来たぜ!」
「ん? 誰よ、未来の事?」
「あれが張本人だから文句を言えよ。」
「何を言うのよね、大地。」
「美歩がなぜ昨日の事を知っているか、考えてないのか!」
「?……?」
「おはよう美歩さん。」
「うんおはよう未来ちゃん。昨晩はありがとうね。」
「それで美歩さんは亜衣音ちゃんにお礼を言っているんだ。」
「うん、そうなんだけどさ~亜衣音ちゃんが可笑しいのよね。昨日は大地くんと自主トレをしていたとしか言わないのよ。隠しても私、ちゃんと見ていたのよね未来ちゃん。」
「亜衣音、美歩を昨晩連れてきて見せたのよね。これで美歩が真面目になってくれるかなって思ってね、……ごめんなさい。」
「そうなんだ未来がね。……うんいいよ。」
「ありがと~う亜衣音。」
「亜衣音、どうした。何だかボ~ッとしているな。」
「うん……。」
美歩は未来の席に座ったまま、今度は大地の机に両手の腕を付けて手の甲に自分の顎を乗せた。完全なる上目遣いで大地を眺め出した。大地は何を感じたのか、上体を大きく仰け反って美歩の顔を見る。視線が合ったら美歩が微笑んだのだ。
「わ!……なに、こいつ。」
と、言って大地は堪らずに私を見やる。私だってデレ~っとしたいつもの姿の背筋が本能的に伸びた。(わ~こいつ、清楚系ビッチだわ……! どうしよう。)そう思ったら目が点になって私の脳みそが胃袋に落ちた気分になって蒼くなる。
「大地、私……悪阻が出てきたみたい。トイレと保健室に連れて行って!」
「亜衣音ちゃん……!」ミク
「え……?」ミホ
「なんだ亜衣音。……ウソだろう?」ダイチ
「う~……本当よ、苦しいわ……。」アイネ
「よし急ごう、」ダイチ
「未来、少し休んで来るから……、」アイネ
「え、そんな、白川さんが……、」ミホ
「あ、あ、あ、衣音。私が付いて行くわ、」ミク
「……白川さん……。」ミホ
一方、校長室では重たい問題をお父さんが受けていた。美歩の父が今朝の新聞を持って校長の机をバンバンと叩いていた。新聞で机を叩く……いいえ違います悪い方のバンバンではない。
「校長先生はこの事件の真相をご存知ですか。」
と、いきなり用件を言い出した立花氏だ。お父さんよりもやや遅れて出勤する校長先生は意味不明で困惑している。立花氏はそんな事は知らないという態度で校長の机の上に新聞を広げて、広げた新聞を右手でバンバンと叩いていた。これを読めという催促なのだろうか。
「校長、この記事を見て下さい。」
「新聞は職員の朝礼の後で読ませて貰うからね。」
「いや、ここだけは直ぐに読んで下さい。ま~た白川くんが娘を助けてくれたのですよ、いや~この学校の生徒は優秀ですわ、ほら、読んで! ほれほれほ!」
「え~多摩川の河川敷でタヌキの馬鹿騒ぎがあって、関東九州連合が抗争し逮捕された?……?……白川?……うちの生徒が?……。」
「はい校長! 前の白川大地くんが、あまり大声では言えませんがですね、一人でこの族の一味を退治したとですばい!」
「う~ぅ、お~ぉ、あ~ぁ、え~ぇ、い~ぃ、白川くん! 直ぐに来たまえ!」
この校長先生は声がとても大きいのだ。若い時から喉を鍛えたからだが、場所は主に競馬場なのが凄く残念だろうか。
「校長先生、どうされましたか。」
「あ~君の息子くんがだがね~、たれ込みがありましてな、前回の学校襲撃の暴走族を~、独りで片付けたというんだが~、心当たりはどうだい。」
相当に動揺している校長先生。
「いいえ全然知りません。そう言えば新聞に載っていましたね。」
「白川教頭先生、是非大地くんを娘の嫁、? 婿に迎えたいのでいや~お恥ずかしい。美歩が大地君をいたく気に入りまして、お嫁に行きたいと申して……おります。よろしくお願いします。」
「え”~~~!!!」x2
「ですから校長先生にはこれを、小切手で一千万円です。」
「大地くんには立花家の相続の財産の全てを差し上げます。ま~ワシが引退した後になりますが、アハハハ……。」
「うぐぅ~。」
「穣くん是非婿にやって欲しい、校長命令だ!」
「校長先生それに立花さん。それは無理ですよ大地くんだって望みません。それに大地くんは亜衣音の婿養子にする予定ですので、う~~!!」
「教頭先生にはタチバナ・バイオマスの重役になって頂きまして、年俸一千万でお迎えいたします。」
「む、む、無理でございます。この高校の薄給で十分に間に合っております。」
「校長先生はこの大事で優秀な息子さんの親を薄給でコキ使ってあるのですか、でしたら追加支援で年に五百万を融通いたします。……どうでしょう。」
「し、白川くん……ワシからもお願いだ、是非……。」
「校長! こ、こ、困ります。そ~れは出来ません。」
「年俸二千万……、、、、お迎えいたします。」
「うぎゃ~、、、、。」
「バンバンバン……白川さんこの新聞を見て下さい。許嫁にさせて下さい。」
「……ウヒャ!」
美歩のお父さんは又しても机を大きく叩いて今度はお父さんを威嚇する。お父さんは大きく見開いた眼を泳がせて悲鳴を上げているのだが。
そんなこんなで立花家による大地へのお礼が決まった。どうしよう……大地がお婿さんに行くの~??




