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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第八章 あれもこれも穏やかな幕間(まくあい)

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第78部  立花 美歩……


 あの騒動の翌日は臨時休校になった。だから今日という日を持て余す感じで大地をいびって遊ぶのだが、大地はお母さんの用事を買って出て逃げて行った。私は帰って来た大地をブラパン姿で迎え撃つも……あ~又しても逃がしたか!



*)立花 美歩


 翌々日に学校は再開されたのだった。


「ねぇちょっと! 立花さんはどこ?」

「美歩はお休みですよ?」

「あ、ありがとう。」


 私は美歩のクラスを訪ねたが休んでいて、この日は気になりながらも掃除に精を出した。だって殆どが割れたガラスだものね。


「未来、大きな割れたガラスは無いのね。」

「藍ちゃん、昨日にね清掃業者を入れて掃除させたそうよ。お父さんが話してくれたわ。」

「そっか、生徒に怪我をさせない為だね。」

「でもガラス屋さんは大変だろうね、殆ど一日でガラスを入れなきゃならないものね。」

「碧、よくそんな事を知っているのね。」

「地元よ福岡市の駅裏の小学校でガラスを割られた事件があったのよね、卒業式の翌日の夜だったかな。それで業者の女性職員さんまで総動員してガラスを嵌めてあったのを覚えているわ。」

「へ~そうなんだね。」

「でも碧、翌日からは春休みで生徒は居ないのよね。」

「六年生が居なくなっただけだからさ、」

「あ~そうか、先生たちもまだお仕事中だよね。」


 私たちは光るガラスの破片が残らないようにして廊下を掃除していた。廊下はいいとしても屋外がとても大変だった。土や石ころに混じっているのだから手で拾ってという訳にもいかない。窓枠にも残っているから怪我した者も居たようで、箒類は少ないし途中から割り箸が支給されたからサボる事も出来なくなった。



 この日の授業は三限目からの開始になってこの日は無事に終了して、そして迎えた放課後の馬事公苑での部室。モヒカン刈りにされた男の話を反芻する。



「最初は皆に確認よ、いいかしら。この話しは本当か、それと美歩に取っては未だに秘密で他人は全く知らない情報かって事だよね。藍はどう考える?」


「うん、私は可哀想な男を見ていたからたぶん本当よ。そりゃ多少は話しを盛っているかもしれないけれどもね。未来、続き。」


「何よこのリレー式の会話、これでいいのかしら。そう良いのね。で、モヒカン刈りにしていた時の男はね、何だか幸せな顔だったな。次、智子。」


「あ、あれは~テヘッ……、いじっていたから男は喜んでいましたわ。だからね信憑性は高いと思うわ。次は眞澄よ。」

「え~智子のアホ、俺まで同類と思われるじゃないの。『あへ~』の顔は可愛いかったな。だから途中からは信憑性に欠けます。ウソが半分ね。次、双子。」


「後輩から呼び捨てかい。とても気持ち良かったわよ、これぞ女王さまの気分ね。確かに踏まれて『あへ~』と何度も言っていたわ。次、カス!」


「私は何もしていませんって、私は残りカスかよ。翠のアホ! たぶん全部本当なのよ。だって意地でも美歩さんを捕らえようとしていましたから。あれだけの兵隊を犠牲にする必要があるのならばそうとうなスケバンなのよね。」


「あ~言っちゃったよ~そうね、スケバンの頭領でしょう? それに年齢の詐称さしょうでしょう?」


「バイクを乗り回しての道路交通法違反。堂々としてバイクを乗り回すってどうよ。」


「あ、お化粧が濃いので素顔とはかけ離れていたとか、ま~これは大同小異で犯罪にはならないわね。」

「そうね、美歩の素顔って綺麗で可愛いし、あれならば族長が一目惚れしたのも頷けるな。」


「ねね、これってガールズトークよね、誰が話していてもいいのよね。」

「藍、違いますよ。これはテーブルトークという手法よ、ずれています。」

「未来のバカ!」

「テーブルトークの利点は誰が話したかを考えずに済む方法で、会話の流れを単に楽しむ手法なのよね。分ったかな~?」


「こらこら話しの筋から外れました、これからが問題よね~。」

「え~いいじゃんか、何が問題なのよ。」

「こいつまだ頭の中がずれているね、叩いても直るかな。」

「双子の観点から申しましてとても無理です。以上。」


「それで、どうしたいのよ部長。」

「副部長さん、次をお願い。」


「関東九州連合のボスの銀治郎だよな、あれは諦めないだろう。例え美歩をキズ物にしても受け入れる侠気おとこぎの高い性格だな。だから別の女を充てがうかボスを再起不能のモヒカン刈りにしてしまうかだね。」


「大地先輩。いくら何でも私たちを差し出す……ないですよね?」

「亜衣音がいいだろう、どうする。」

「どうするって大地、私もイヤよ。べ、別に大地よりも強くて色男で財閥の御曹司なら考えてもいいわ。」


「おい皆、方向が決まった。亜衣音本人もいいと言ったからやるぜ~!」

「おー!」x6


「だ、だ、だ~いち。何を言っているの、わ~たしが、了承する訳が無いわよ。え~、大地……?」


「亜衣音。お前は明日から立花美歩の影武者だ。濃い化粧して関東九州連合のボスの元に行って貰う。そして種なし”に為てこい。」

「うぎゃ~イヤだよ独りで行くのもイヤだよ。」

「俺らが兵隊になってやるから関東九州連合のボスを絞めようぜ!」

「イヤ、ダメ、出来ないよ~、」


「よ~し決まった。服は美歩から貰って、いや盗んで化粧品は買うかな。」


「大地先輩、グループの名前はどうしますか。」

「マニア大水藍碧だいすいらんぺき。……pc変換できた。けって~い!」


「先輩~あり得ないですよ~。」


 部室の女の園にお婆ちゃんが混じる。


「ホ~ッホッホ~~こりゃ楽しいひとときじゃのう。亜衣音に大地、いいかい直ぐに美歩の家に行くのじゃ。もしや襲撃に遭っているかも知れんぞ。」


「え~ホロお婆さま、それは無いでしょう。」

「亜衣音、美歩の学校が知れたんだぜ俺はどうして気づかなかった、お婆ちゃんの言う事が正しい。今日の夜は間違いないぜよ!」

「え!……うそ、」


「亜衣音、ワシは伊達に百八十年も生きてはおらぬぞ。気を引き締めていってこい。」

「うそだ~ホロお婆さまってもう幾つなのよ~、……ホンとなの?」

「あぁ? 何か言ったか、聞こえないよ一桁多いだけじゃ。」

「へ~……本当なんだ、知らなかったわ……妖怪ババァだよね。」

「喧しい黙れ!」

「小声でも聞こえるんだまだ若いね。」

「おうおう、孫よ可愛いのう……。」

「お婆ちゃん、指を鳴らすのは止めて!」



*)決戦前……



 その夜、私と大地とホロお婆さまにカムイコロさんの四人で美歩ちゃんの家を見張った。


「お母さん、大地と二人で修行に行ってくるね。先にはクマと妖怪ババァが待っているから安心していいよ。」

「あらそうだったわね。お婆ちゃんから連絡を受けていたのを忘れていたわ、でも気をつけてね。」

「は~い行ってきます。」

「亜衣音、もう忘れ物しているだろうが、何かな。」

「なに?」

「今宵の戦闘服だろうが、持たずに行ってボロボロの服で帰ってきてみろ、な?」

「大地……はい。」

「二階の窓から投げようぜ。」

「うん私が投げるから大地は下で受け止めてね。……私も受け止めて!」

「ヤダ!」



 私と大地の二人が現着しても美歩の家の周りに駐車する車は無い。だけども裏通りの道路には……在るわ在るわ車高短の車がオンパレード。夜も遅くなりつつあるから人通りも少ない。


「ヒグマ、明日のバイトの仕事はなんだい。」

「明日ね、勿論くず鉄の廃品回収業だよ儲かるだろうね原価はタダだしね。それに夜中に全部を片付けたら大儲けだよ。マッポに渡す前に全部を回収さ!」

「ほぇ~……儂も雇ってくれないかい。」

「いいぜ、六四でいいね?」

「いいさ、儂が六だね。」

「……。」


「ホロお婆さま、クマちゃん遅くなりました。」

「なに今からさ。それで大地、この作戦の指揮は任せたから亜衣音もいいよね。」

「お願い大地。」

「いつもの押し付けかよ参るね。家の周りではドンチャンできないからどこかに呼び出すしかないね。」


「大地先輩。」

「わぉ……ビックリだぜ。何で来たんだ来るなと言ったよな。」

「いいえ何にも、ですよ先輩。」


「この子らは亜衣音の専属アシスタントじゃて、ほらお化粧と用意した服を着せるのだろう?」

 

「だったな忘れていたよ、亜衣音の改造を任せた!」

「任されました!」x6


 族の車のように派手な低床ボデーに……私は派手な改造者に仕立て上げられて、スカート丈は短くカットされてお化粧は何処まででも厚く、髪は糊で固められた改造人間にされてしまった。


「パチパチパチパチ……。」

「うぐぅ~。」

「亜衣音、格好いい、俺は好きだぜ!」

「うん、頑張る……。」


 そうだね私はチョロイ女なのだよ、大地……信じてるよ。


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