第77部 母の退院……嬉しい……
*)母の退院
「女のケツ断力は最高よ! 七個も揃えば最凶かしら?」
双子ちゃんが一番多くボコボコと叩いていた。私? 私はなんだろうね、秘密。
「さ、軍資金が入ったわ!!」
「え~亜衣音ちゃん、カツアゲしてもいいのかな~。」
「さ、行くわよ。」
私たちを遮るモノが出た。
「ウギャ!」
私たちはアンミツ食べて部室へ向かうと私の悲鳴と共に鬼が待っていた。勿論、赤鬼のお父さんだ。
「亜衣音、学校へ戻ろうかね。他の部員も勝手な外出だね、同じく戻ろうかね。」
「うぐぅ~。」
「教頭先生、亜衣音ちゃんは美歩さんと学校を守りました、それでいいでしょう。なぜ呼び戻しですか。」
「ま、それはそれ、これはこれ。」
「先生たちは隠れて何も出来なかったのですよね、それはとても生徒には誇れたものではありませんよね。」
「そうだ、もっと言え! 未来。」
「明神も随分と亜衣音に毒されたようだな、誠に申し訳なく思うよ。さ、学校へ戻るよ、いいね。」
「は~い、」x7
今からという時に邪魔がはいり私たちだけの立花美歩の救援対策会議は流れた。私が大地を放っていた事にお父さんはスルーしてくれた。
へへ~んだ、私たちは美歩の秘密を知っているもんね!
「教頭先生、もう全校で帰宅ですよね。なのに私たちだけが居残りは断固反対いたします。」x2
「今度の意見は誰かね、双子かい。」
「はい、私も暇ではありません。帰宅して喫茶店のお手伝いをして学費を稼がないと学校へ通えません。」
「今度は雨宮か、お前の事も検討しているからもう暫く我慢しておけ。」
「藍ちゃん。このお財布は藍に上げるね。」
「わ~やった! ありがとう~亜衣音ちゃん。」
「亜衣音、いいのかな。」
「だって寄付して頂いたのよ、使っていいわよ。」
「教頭先生、どうして車でお迎えではないのでしょうか!」
「お前ら、番号!」
「一,二,三,四,五,六,七、人です。」
「俺の車は良くて四人までだ。黙って歩け。」
学校の校門が見えてきたらパトカーの赤色灯が回転しているのも見えてきた。校庭には黒塗りの大きな乗用車も在る。
「立花、お前はパトカーの迎えが良かったのか? もう着いた。」
「逮捕された気分になりますので要りません。」x2
「あ~明日は全校でお掃除か! いやだね。」
「亜衣音は得意だろう、今まで何枚を割ったと思っているんだ。」
「お父さん全部私の所為にしないで欲しい。大地だって、あ、まずい!」
「知っているよ大地も災難だね、嫁がこんなだらしなくて問題ばかりを起こすからな。」
「先生、大地先輩は悪くありません。そんなに言われましたら大地先輩が可哀想です。」
「判った、今後は亜衣音だけを叱るようにするから、山口、勘弁な、」
「いいですよ、亜衣音先輩はもう慣れっこですから。」
「う~智子のアホ!」
「会議室だ、全員入れ。」
「は~い。」x7
私たちはお父さんに続いて会議室へ入った。お小言を頂戴するには最初が肝心だからシオラシクしておくこと、これに限る。
「あ、大地!」
「おう亜衣音、無事だったようだな。」
「うん、私も逮捕されるのかな。大地はもう釈放なの?」
「亜衣音、帰ってからでいいだろ。こちらは立花のご両親でお前たちにお礼を言いたいそうだ。」
「馬術部の皆さん。娘の危機を助けて頂いて厚くお礼を言いたい、ありがとう。それから今後も馬術部の皆さんには美歩を引き立てて頂けたら嬉しい限りですので、どうかよろしくお願いします。」
「美歩さんのお父さん、私たちは何もしておりませんよ。一番の功労者さまにお礼を言われるだけでよろしいでしょう。」
「娘の母です。娘は部活の初日はそれはもう満面の笑顔で帰宅して来ました。それからお夕食の準備の間じゅうお喋りが止まりませんで、こんな娘を見たのは幼稚園以来かと思った程で御座いました。私からもお礼申し上げます、どうか娘を卒業までよろしくお願いします。」
「お母様、分かりましたから頭を上げて下さいませ。」
いや~何処かのお嬢様だけあって未来の受け答えは立派なものだ。私を含め皆はそう思っているだろう。私は暴走族の男から知り得た情報はしっかりと口にチャックをしたし、これを全員にアイコンタクトで送ると皆はうんうんと頷く。
「特に教頭先生のお子さんは、大地くんとどなたですか……亜衣音さんは。」
「私ですが……お怒りになられますか?」
「何を言われますか今朝の自殺騒ぎを止めて頂いて、尚且つ暴走族の襲撃からも守って頂きましたから感謝しております。」
「あ、いや、それは、馬術部の部員ですので部長としましても当然と言いますか、ホンと、お怪我をさせずに終わって良かったです!」
「おぉ~これはとてもお元気なお嬢さんですかな、これならば美歩を預けてもいいでしょう。親としても安心が出来ます。」
「美歩さんは私のライバルですので、これから先は縁も切れません、たぶん。」
「ほっほっほ~とても嬉しい事を言って頂いた、ありがとう。」
「あ、いえ、こちらこそよろしくお願いします。」
「……ます。」x6
「よ~し皆もういいだろから全員帰宅してくれ、大地くんは亜衣音を頼んだよ。今日だけは大人しく帰ってくれないかな、特に……なぁ亜衣音?!」
「はいお父さん、真っ直ぐに帰ります。」
「みんな帰ろう。」
「失礼します。」x8
私たちは会議室から出ても一言も話さない、何処に耳が潜んでいるのか分からないからだ。だからここは大人しく校門を出た。
「今日はお疲れさま! 私と大地は久々の電車だから一緒に帰ろう?」
私のこの一言でガールズトークに火が付いて電車がホームに着いて別れるまで続いた。見逃した電車は何本だったか?
「今後の事は明日の部活でね、」
「バイビー!」x6
早く学校が引けたから行き交う人は私と大地の二人を怪訝そうに見てくれるから、何も疚しい事はないのよと、眼で語りかけても分かる人は居ないものだ。千歳烏山駅も本当に久しぶりで、電車から降りるのが勿体ないと思ってしまう。こんな感想を大地に話したら、勿論、『バカだな』と言われた。
「ただいま~、」
「今帰りました。」
「わ!……。」x2
「あらお帰りなさい。」
「お母さん……今日退院したんだ、良かったね。」
「はい……亜衣音と大地くんには大変世話を掛けたね、ありがとう。」
「だからお義父さんは亜衣音に真っ直ぐに帰る様に言ったのだろうな。」
「そうね……お父さんもハッキリ言えば良いのにね、性格ワル~。」
「亜衣音が毎日見舞いに来ると言いながら来ないのが悪いのです。だから今日の退院が言えなかったのよ。」
「そうだねお母さん。ごめんなさい。」
帰宅するとニコッと笑ったお母さんが出迎えてくれたからとても嬉しい。これから毎日続くかと考えたら心もウキウキしてきたな、大地。
「貴方たちはとても汗を掻いていますよね、お風呂を用意していますから入って来なさいよ。」
「お母さんありがとう直ぐに入りたい。それに、ここをお願いしてもいいかな。と、洗濯出来たらいいな!」(薮に飛び込んだから服が少し破けたのよ。)
「はいはい、大地くんは何かある?」
「えぇ、洗濯して頂けましたらとても助かります。」
「ねぇお母さん、お父さんは帰りが遅いのかな。」
「そうね~電話では何も言っては無かったわ。でもね会議の内容が重たいの、文化祭を中止にして校舎の修繕を優先しようかと言ってましたよ。」
「うわ~大地大変な事になったね。大事な文化祭が『おじゃんに』ならないよう明日はしっかりお掃除を頑張ります。」
「あらあら亜衣音、頼もしい事を言いますね頑張ってね。」
「頑張るから……お母さんが居てくれてとても嬉しい。」
お洗濯は澪お姉さまにして頂いたしお裁縫は明子姉さんがしていた。私のママはまだ何も出来ないらしくて、少し動いたら長く休憩をしなさいと言われている。
「お母さん。本当は退院の予定日はまだ先なのよね。」
「そうね、長く病院に居ても気が萎えるだけだし、家に居ても同じに思えたから出てきたわ。亜衣音、これからはお手伝いをお願いね。」
「はい~喜んで~。」
私の家に人が集まりだした。最初は白川の祖父母で、ま~いつものお寿司を運んでくれた。次はホロお婆さまだったか、今日は暇だから帰って来たよと言うのだ。これって私への当てつけかな。次は黒木一家。徹さんが中々仕事が引けないからとやや遅い登場だった。だって両親の二人が揃わないと双子の移動が出来ない。となると最後は杉田家の祖父母になるか、明子姉さんは娘の二人を祖父母に預けて早めに来てお手伝いをして頂いていた。
「お母さん。もう皆が揃ったよ始めようよ、お母さんの退院祝い。」
「亜衣音、何を言うのよ。まだですよ。」
「え~もうお腹が空きました。」
「だってまだでしょう?」
「誰が来ていないのよ……あ、お父さんか~まだ帰ってなかったのね残念。」
「亜衣音、たぶんだけれどもね麻美さんが来るはずよ。こんな事には特にお姉さまは鼻が利くのよね。」
「へ~そうなんだ、ま~たシシャモかな!」
「グダグダが多すぎますよ、大地くんと二階に行きなさい。あ、カギ! 掛けてても……いいわよ?」
「そうする。行こう……大地。」
「お義母さま……、、、、。」
「途中で助けに行きますよ?」
「そ……んな!」
「ウッヒャ~幸せ~!」
お父さんは帰ってきたが麻美さんがまだという理由で、十九時からの母の退院祝いの開催となって私に粗品が贈られた。ま、内祝いというやつか。
ヤッターッター!
私は厚底のロングブーツを頂いたのだ、超最新のモデルだという。
「亜衣音、大地くんへのお返しは……亜衣音が選んであげなさい。」
「う~~~~ん、お母さんありがとう。」
「俺、妙ちくりんはイヤだぜ。」
両親からはキディランドにも遊びに行ける許可が下りた。大地、久しぶりのデートだよ! お化粧にも力が入り、
うふん~……。




