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人狼と少女 垣根の上を翔ぶ女 亜依音  作者: 冬忍 金銀花
第八章 あれもこれも穏やかな幕間(まくあい)

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第73部 私のクラスメイト……未来(みく)編


1970年10月1日


 私は昨日退院はしたもの残るはお母さんよね、でももう少しリハビリが必要らしいのだ。だって長く寝たきりだったから「あらまぁ、腕が四本もあるのね!」と、言われた程に足が細っていたから。でも、その足にも肉が付きだしているからもうすぐだよね……お母さん。


 母の愛情とはこれ程に凄いのか~と思い知らされた私の入院だった。だってか細い腕で重たく育ちつつあるママの娘をね、難なく抱き上げるお母さんだからね。私もなった事があるから判るんだが、肘が異様に大きく見える位に痩せた時なんかはね、コップのお水さえも飲むことが出来なかったんだからね。


 それがどうよ、こうやってニコニコしながら小百合と水脈を抱き上げてお乳をあげているのよね、もう私には出来ない事よね。



「亜衣音、先に退院してお母さんが帰って来るのを待っててね。」

「うん、そうする。夕方には毎日来るからね!」


 と、言って別れたのが昨日の事だが今日は登校して右手で頬杖ついて憂鬱な顔をしていた。大地は右横の机で寝たふりかな、いつもの可愛いお尻が一つも無いので寂しいのかもしれない。


「大地くんお疲れね。」

「あぁ?……なんだ、未来か煩いな~。」

「ふふふ亜衣音ちゃん。昨日何してたのよ。」

「何って、別に普通よ。夕べは教科書を読んでいただけだよね、大地。」

「そうだったかな、俺だって随分と休んだから勉強は遅れぎみさ。」

「問題は亜衣音か、随分と久しぶりだから一月分は遅れてるよね。」


 それから順次お尻が増えて並んでいった。これが幸せに写るように思える大地にはもう違和感が無くなっていた。


「未来、亜衣音をスパルタで教えてやってくれないかな。こいつは俺にばかりにくっついて来るから煩わしいよ。」

「え~ヤダ。大地と居たい。」

「ほほう……これは重傷ですね~、藍、双子。今日から亜衣音を捕まえて離さないからね!」

「ラジャー。」x3


 そう言えば私は直ぐに落ち込む性格だし、落ち込んだら大地に依存するし、これでは大地に嫌われるのも当然かな。そんな私の思いを感じ取る未来は、


「女子力UPの、一番いい方法を教えて・あ・げ・る!」

「わぉ……。」x3


 そんな藍は不細工な私に何をする積もりだろうかと気になりだした。チャイムがなってからも頬杖をしていて、チョークは飛んでは来ないが教科書で叩かれたのだった。周りの皆は叩かれる寸前になっても知らないふりだ。


 この薄情者が……!!


 教科書で顔を隠した奴はきっと笑っているに決まっている。右代表の大声で笑った奴は……もっとも私の可愛い大地だった……この薄情者が!!




*)未来みく


 今朝の私はピンクの薄い口紅だけしておいてお化粧をサボっていて、それが悪かったらしいのだ。


 未来みくはどこぞのお嬢さんで髪が長くて色白でとても綺麗。右側から垂らした前髪は左眉の横までで眉に掛る様に伸ばしている。それ以外は、う~胸のおっぱいを隠すほどまでに伸ばしている。


 両目はぱっちりとしているから可愛いし、唇は薄い桜色? かな。女の私でもつい気になるポイントだよね。眉は黒くて細くて長くて地肌も黒い?? そんな事を言ったら空手チョップを喰らいそうだから口には出来ないな、これが眉墨なのだろうか。


「おう、未来。お前……眉は地黒なのか!」……そう言った瞬間に大地は未来の上靴で蹴られていた。

「序でに足癖も悪いな!」……「ギャボ!」


 怒った未来の顔は左の眉がつり上がっているし、大地は自席の椅子を大きく跳ね飛ばして右側に退避するようにして逃げて行った。



 赤のリボンが邪魔して未来の胸の大きさが判断出来ないが大きい方だと思う。私は普通だと思うけれども一度や二度は皆の前で胸ポロリを大地にさせられていて、私の胸は公表済みだ。お乳が出るようになって大きくなったかも……!


 未来の指は白くて長いからとても羨ましい限りだ。お尻の大きさと形の解説は大地に譲りたい。


 そう言えば未来の癖だが首を左に傾げて右耳を出すポーズをよく取っているのはなぜだろうか。この耳が一番見える人物が大地だと考えていたら答えはすごく簡単だった。さらさらのロングだから耳はどうしても出てくるのだと言って教えてくれた。う~ん女の私が見ても可愛いな! 大地の前に座るから大地が好きになっても仕方ないでは、まずいよね、それ程までにプロポーションは完璧だ。だから部活の着替えに時間を掛けて綺麗な身だしなみに気を使っているのかな、ね~大地。


「男を寄せ付ける罠よ!」と言いそうな気もするのだが、肝心な男は私たちの所為で誰も寄りつけない。永遠のアイドルに昇華してしまったのだろうか、可哀想かも知れない……。未来は現実の男よりも二次元の男が本当に好きだと知ったのは高校三年生の時になる。


 少しミステリアスなミステリーウーマン、未来の二つ名に贈りたい。若しくは何か本当に秘密が隠されていたりしてね。



 確かにささやかではあるのだが未来には秘密が出来ていた。二年生の六月から馬術部のみが特待生扱いになって月謝がタダになっている。だがしかし……親には教えていないから黙って月謝袋をテーブルに置くそうだ。翌朝に満タンに補充されたお金は未来のお小遣いへと変貌するのだった。これはいつも私のお陰だと言って納入日にだけ拝まれたりする便利な神様扱いだ。夜刀神やとのかみと言って私を揶揄するのだがこの意味を調べて猛烈に怒ったら「あら、土着の可愛い角のある妖精よ!」と、笑ってごまかされてしまった。私の特に嫌いな蛇の化身なのだと私が口にしたらね、翌月から未来はそれから口にしなくなった。若しかしたらよ未来さえも知らなかったのだよね、漫画の挿絵はどことなく愛嬌の良いイラストで、とてもヘビには見えないのだからかな。


「それはね、胸の豊穣の象徴と生と死の象徴で神の使いなのよ?!」と、言う一言ですっからかんに私は騙されてしまった、恐るべし未来。



 そんなこんなで私に何かするたくらみを思い付いたらしい。


「今日は部活で集合よ、一年の娘っ子には私が知らせておくからね。あ、そうそう大地くんはお休みくださいね!」

「いいぜ、雷神の世話と乗馬で暇を潰すよ。」

「うん、お願いね?」

「未来、私を夜刀神やとのかみにしないでよ。」

「もう致しません。誓いますアハハハ……。」


 と、笑う未来の眼は別な意味で光り輝いていた。何なのよ~どうなる私!



*)馬術部の部室にて!


「ぎゃ~やめて~、お願いよ~。」

「おうおう亜衣音のやつ、未来に縛られているのかな?」


 と、大地は独り言を言いながら部室の前を通り過ぎていく。


「亜衣音ちゃんこれを着るのよ、そして『魔法遣い・亜衣音!』に変身よ!」

「いやだよハズいよ、なんでこんな短いスカートでハレンチな!」

「あんたは経験があるのね、どうしてハレンチなと言うのよ。あはぁ~ん、さては大地くんを挑発したな~? このこの……このう~……。」

「いや、そんな事しないもん……うぐぅ~。」

「ほら白状した、亜衣音ちゃんは困るとそうやって黙るのよね、うん、とてもいい性格だわ!」

「藍~未来を黙らせて頂戴。それに『私の従者だ~』と言った双子ちゃんも私を助けなさいよね。」


「いいえ、二人は亜衣音さまの地位向上と女の向上を望みます。ここは未来さまのお手伝いをさせて頂きます。碧、亜衣音さまを押さえるよ。」

「ラジャー。」


 私は制服をあっという間に脱がされて下着姿にされた。次は……う~コスプレ衣装が私の目の前に踊りだす。衣装を持って上下に揺らしてくれている未来のあの笑顔、もう止まらないという顔で……そう悪魔の顔つきだ!


「貴女たち、これを着せるからね亜衣音の腕をしっかりとホールドしててね。」

「ラジャー。」x2


 用意されていたコスプレ衣装は黒のワンピースを元にして、胸は大きく切り込みが入れられて、これではお乳の上半分が見えてしまう程だ。スカートは膝上二十cmと超短い。袖は無いのだが肩まである手袋? を嵌められた。腰には白い腰巻きにピンクのリボンが着けられていてね、頭にはカチューシャに白のフリルが付けられている。一見してメイドさん風……露出の多い首回りには黒の短かくてヒラヒラした布きれを巻かれてしまった。


「わ~亜衣音ちゃん。綺麗よ!」

「うん、これで魔法遣い・亜衣音の誕生ね!」

「未来、靴を忘れていますよ。これだとこの赤い靴が似合うかな。」

「そうね~兎に角履かせて頂戴。次は衣装に合わせて『魔性の女スタイル!』に作り変えるわよ。」

「オー!」x5


「うぐぅ~……もう勘弁して~!」


「未来ちゃん、パパラッチの叔父さんは捕まえているわよね。」

「もちのろんよ、既にスタンバイ状態よ!」

「ウゲェ~未来のパパなの? パパラッチは、」

「藍、ファンデーションはお願いね、私はアイシャドーと頬紅のお化粧を担当するね。」

「いいわよ簡単でいいよね~……ほら出来たわ!」

「うん、これは素敵でいいわね。これで青の濃ゆい色を瞼の上に着けて……次は頬紅は薄いのが

 大地くんの好みなのよね……ほら、綺麗に出来たわ。」

「双子ちゃん、髪のセットはお任せでいいわ。」

「簡単ね、このカチューシャをこうやって嵌めるだけだものね。」


「こら一年生。靴下を忘れているわよ、ここはピンクでいいかしら。」

「ラジャー。」

「あ~と背中の白い翼……これを結んで……てと、出来たわ。」


「わ~亜衣音ちゃん。きれ~い……。」x5


「亜衣音、クロに乗馬して大地くんを追いかけてね?」

「うぐぅ~……。」


「みんな~亜衣音を部室から運ぶよ!」

「ラジャー。」x6


 これにはホロお婆さまも加担しているから余計に始末に負えない。


「大地く~ん……。」と、未来は遠くで雷神を走らせる大地を呼んだ……。


「もう私はお仕舞いよ、大地に嫌われるよ~。」


 こんな恥ずかしいコスプレでは大地にバカにされるだけだろうと心配したが……? 以外や意外かもしれないね大地は私を気遣ってくれている。雷神に跨がる大地の視線は私に釘付けになっているが直前に来るやいなや、大地はやや怖い顔で未来を睨みつけていた。


 強面の大地には怯まない未来は至って真顔で対処している。


「未来、これは何の冗談だい。それに亜衣音は泣いていないか!」

「ううん全然。喜んでいるだけだよ、ね~?」

「うんうん。」x5


「大地くん、亜衣音ちゃんと馬場を周回してくれないかな。」


 未来の要望は至ってシンプルだが未来の思惑は……ラノベの主人公にでもしたいのだろうか、時期に笑い出してしまう。


 大地は雷神から降りて私を抱き寄せたいらしい素振りをしているが、背中の羽がそれを拒んでいるような感じで取り付けてあった。



「う~ん亜衣音……どうする。」

「……大地にお任せ……、」

「そうか、ならば……、」

「……え、何するのよ、え……! ウソよね、え……。」

「いいさ亜衣音。エアー・ドライヴ で二人を雷神に乗せろよ。」

「うん、……エアー・ドライヴ !!」


「きゃ~、」x6


 私と大地の二人は大きな風に纏われて雷神の背中へ飛んで乗馬した。同時に他の女子高生の五人は……スカートが大きく羽ばたいていて、白、黒、ピンクと綺麗なフォトの被写体に収まっていた。その実……私もなんだな、水色だよ!


 私と大地の二人は……私の白い天使の羽が羽ばたくのだった。羽は邪魔で落とされた方だ。


「わ~お姫さま抱っこ……いいな!」x6


「亜衣音、奔るぞ!」

「うん大地。……だ~い好きだよ!」

「俺もさ……亜衣音!」


 大地も心得ているのか、私は右向きに座らさせていて観衆に披露されていた。私の自慢の白い脚が目立って仕方がない。


「ホッホッホ~これは見物みものだわい……。」

「シン、しっかりと写すのよ。」

「わ~てるって!」


「明日の競馬新聞の一面トップだよ。見出しは、そうね~こうだね……国体優勝の……『みちのくの王女さまと王子様!』どうだいシン。」

「おお~いいね~……。」



「ありがとうな……未来。」

「うん、ありがとう。未来ちゃん。」


 未来の趣味が爆発して……今後の大いなる活躍が望まれる。次の餌食は誰だ!


「ラノベ……書きたいな!……私、」


 私の気分は……、


「もう……最高よ!」


 馬術部の五人の女の子たちは、……涙を流して……羨んでいたかな?


 馬事公苑では「職員の皆さん、是非とも馬場に出て下さい!」と放送される始末で、黒木徹さんが大きく手を振っていたな。……私、ちょ~恥ずかしいんだけど!


 明日のお母さんへの土産話しが出来たよね、大地。




 1970年9月30日


*未来の変化……


 未来のお洒落が急に変化した。どちらかと言えば地味な方にだから男が出来た風には見えないのだが、どことなく男に恋をした乙女~~という印象を振りまくのもだから気になる。お嬢さまが恋に恋する意味がどことなく理解出来たかも知れない周りの取り巻きたち。


 未来が恋をする理由が判明したのだ、理由を聞いて皆は安心したので一件落着だと思う。未来は二次元を好きなオタクなのは有名で通っているも、今回はアニメではなくてスクリーンだった。


 1970年9月30日に封切りされた……それは「ひまわり」だった。映画館へ行って思いっきり泣いて出て来たのだと遂に白状したのだ。それから部活が休みの日には何度か劇場に通ったみたい。


「未来は何だか綺麗になったみたいだね。未来にもついに男が出来たのか。」

「ないない絶対にあり得ないからね、二次元っ子に恋する乙女さから。」

「……。」


 ぼ~っとしている未来の回りがどんなに煩くなっても、頬杖を突いたままでウットリとしている。立花碧が未来の目の前で手を振っていても、自分の世界に浸ったままで一向に現実世界へと戻っては来ないのだから。藍が未来の後ろに回って両手をワシワシと鷲づかみのジェスチャーをしていて、これってもしや未来の胸を掴んで揉む気なのだろか。


「藍ちゃん……それはやめた方がいいと思うよ?」

「いいからいいから、こうでもしないと戻って来ないよ。ムッフッフ~・・・。」

「あ、あ、あ~……。」

「それっ、」

「ゥキャ~……あは、やめて、止めて頂戴~~~藍~~。」


「わ~大胆……!」

「大地、お前は見るな。」

「え~ヤダよ面白いぜ。」


「ゥキャ~……あは、やめて、止めて頂戴~~~藍~~^|^”””」

「ほらほらどうした、昨日から男に揉まれて発情したのだろう?」

「ち、違う~違うから~もう止めてよね~あは、アハハ……。」


 大きく大胆に胸を揉んでいたのだと思って周りの者たちは涙を流しながら笑っていたんだが? ちがった、未来の両脇をくすぐる藍だった。未来が机に突っ伏すものだからてっきり胸を揉まれていたように見えてしまったものだ。


「アハハ……どうだ白状しろ、男だよな。」

「違うってば、ソフィア・ローレンを観てきたんだよ、アハハ……もう言ったから勘弁して~~~!!!」

「なんだ映画館へ行ったのか……え~!!! 誰と行ったのよ、男だな。」

「やだな~独りに決まっているよ。だって皆は映画館へは行かないよね、お金出せないよね!」

「ご尤も……。」x4

「素敵な恋を見つけた……。」


 その後も未来は恋に恋する乙女へと変身していく。艶やかなアニメ衣装を着ている訳ではないのだが、あれ以来は地味な色のワンピースを着ている事が多くなっていた。地味は色だけであって胸元は大胆に広がる襟元……、観ている大地の目が気になるものだから私は手で未来の胸元を押えたくなっていた。逆に大地の目を潰しておけば良かったのだと後で気がついたのだが。


 零れそうな白い乳房の上までが覗いていたのだよ、そんな姿をしてニコリと微笑んでみれば世の男はイチコロで落とされてしまいそうだよ未来。


「わ~大胆~。」

「未来……綺麗!」x2

「大地、見るな……バッコ~ン!」

「ウギャ~、」


 胸が大きい未来だから観ている方のインパクトは大きい、このワンピースを立花の双子が着れば……感想が漏れる事は絶対にない。私は……家で大地の為に着てもいいよ、大地~大好き!


 未来はやはりか恋に恋する乙女を演じているようだった。可愛い容姿は男や他人の為ではなくて全部が自分の為に着飾るみたい、ラノベのヒロインを演じているんだよね?


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