第70部 藍と未来の危機……見つけた澪お姉さま……
*)浜離宮恩賜庭園
情景描写は省略します各自お調べを願い……。by亜衣音。
(賜は、下賜=かしのし。読めますよね。)
「ところで翠ちゃんと碧ちゃん。今日の事は未来と藍は貴女たちの予定は知らないはずよね。」
「えぇ勿論です。」
「ねぇ翠ちゃんと碧ちゃん。これではどちらが話しているのかが分らないよね、どうにかしなさい。」
「双子ちゃんだものどっちだって構わないわ!」x2
「そう、では好きに呼ばせて貰うわね。」
「はい、」x2
「なぁ亜衣音。藍と未来が何だよ。」
「うん少し気になるのよね、何だか向こうの作業小屋に居るような感じがするの。どうしてかな。」
「藍と未来なら昨日の事だけどね、私たちが帰ると引き替えに馬事公苑に来ていたわよ。部室でお話をして居たのかな。」
「ふ~ん、みんなは馬術部を辞めたくないんだ。」
「勿論よ、こんな格好いいスポーツは無いわよ、ね~碧。」
「そうね、勿論そうよ、辞めたくはありません。」
「おい亜衣音。クロが行きたいらしいから行こうぜ。」
「そうね大地。」
「おい二人とも……ここは俺が先に行く。それとクロが鳴いたりしたら、もしも、という事になったら困る。ここに繋いでおく事を勧めるがどうだい。」
「クマの直感かしら、いいわ。大地お願い。」
「いいぜ、この双子に結んでおく。」
「それでいいわ双子は邪魔よ、ね?」
「う~亜衣音ちゃん。」x2
そう言う私の言葉に従って大地はスルスルと翠と碧を縛ってしまう。クロの手綱ってこんなにも長かったのかな。
「先に行くからね待っててね。」
「気をつけて、カムちゃん。」
「コロ~き~つけな。」
「バカ大地。帰ったら覚えていろ! いや二人ともだな大人をオチョクリやがって。」
クマが大地への恨みを蓄積させていく瞬間だ。
「カムイコロさん……早く行って。」
「あ、そうだったもう少しで大地に迫るところだったわ。」
ようやく梅雨が明けた七月中旬、湿度が激しく私の皮膚を刺激する。
「亜衣音、素直に暑いと言いなよ。」
「うぐぅ~大地の意地悪、これが文学なのよ。」
「んなもん、コロに喰わせろ!」
ウフフと笑う双子ちゃん、対して私は二人を睨み付けるも澄ました二人でもうどこ吹く風のようす。
「亜衣音さま、クマさんが到着しました。」
冗談を言っている私とは対照的なクマ、いやカムちゃんは大きく目を見張っていた。何処かで見た制服の女の二人だったからだ。二人の足は勿論のこと、胴体も両腕も縛られていて所謂手枷足枷の状態だ。ついさっきまで猿轡をされていたかのように、首には白い布が垂れ下がっている。
「おやおや、あの二人は亜衣音と同じ高校生よね、ま~あんなにスカートを捲り上げられたら、あれならば逃げようとも思わないよね、問題だわ……。」
女子高生にとっては屈辱とも言える格好をさせられていた。羞恥心をかき立てさせて逃げる事を考えさせない為の処置か、はたまた誰かの? 趣味・願望? だろう……実に不貞な事を考える残念な男だ。もち、そんな奴は一人しか居ない。
「俺は……断じて違うからな、バァろぅ……。」
「あ、男が独り言を言っているわ。う~ん、これならば見張りは一人だな。でも奥にはまだ部屋もあるからどうだろか。ここは亜衣音と大地を呼んでピュ~ンと救助させるか、あたいはモチ、見物よ!」
と、考えるカムイコロさん。そう決めたからにはスゴスゴと引き返すに限る。
「大地、カムちゃんが引き返すみたいよ。」
「だな、今更ながらの抜き足差し足かよ、」
「仕方ないじゃない、だって泥沼を歩いて来るんだもの。」
「亜衣音……இ……。」
「あ、転けた!」
「இ……இஇ。」
「わ~たしは、転けたくはないわよ遠回りして行く。」
「俺もだ、アレは置いて行くか。」
「うん、」
「私は、当て馬かい!」
「ブフッ!……。」
伸びきった葦を掻き分けて私の嫌いな蛇を踏みつけてたどり着いた作業小屋。今度は私と大地が大きく目を見張って中を覗いていた。いったい何処から、どうやって……。窓? 読者の皆さんは節穴派よね? それとも俺だけなのかい?
「ウグ~藍ちゃんと未来よね、あんな格好で可哀想……。」
「飛び込むか!」
「うん奥の部屋は分らないわね、少し待って……透視してみるから。」
「?……出来るようになったのか!」
「……。(フシア~ナ~。)」
「何だ、出来る訳無いか。(テレビ局のアナ?)」
「ウッ……大地、澪お姉さまも居るよ、やっと見つけたわよ突撃よ、戦争よ!」
「俺も糅てろ!」
「ウヒャ! 抱きつかないでくれる? ……クマ突撃するからね、いい?……臭いわ、何処かに行って!」
「あぁいいぜ。見物させて貰うからお手並み拝見だぜ。」
「クロ! お出で!……部屋の中にお願い!」
「バヒヒ~ン!……ブルル……。」 「ブフッ!……ジョー。」
「大地、」
「おう、行くぞ、」
「うぎゃ~う、う、馬、どうじで~だ~、」
「エアー・ショット 。」 「バキッ!」
「大地、」
私は巫女の魔法で木戸をぶち破り大地を先に突入させた。驚いて逃げだそうとする男が目に止まったから、
「エアー・イン・パクト。」
この男を突風で奥の部屋のドアに叩き付けるのだ、見事にドアごと奥に吹っ飛んだ。
「あ、亜衣音ちゃん。助けて!」x2
「うん待ってて、直ぐに終わらせるからね。」
「双子!……助けておやり。」
「はい亜衣音さま! 直ちに。」x2
「え?……なに、碧に翠だよね、どうしてここに? ありがとう双子!」
「大地、……注意して、エアー・スプラッシュ!」
私は奥の部屋の内部は見えないので風の刃を飛ばして牽制する。
「亜衣音、先入るぞ!」
「うん、お願い、」
「……三人だ。」
「……エアー・ショット。」x3
「うぎゃ~、」x3
ものの見事に奥の三人も吹き飛ばしてしまったら跡形も無く……壁の外まで。
「澪お姉さま!……、」
「亜衣音ちゃん……怖かったよ~。」
「もう大丈夫よ、澪お姉さま!」
「ち、違うのよ、私、亜衣音ちゃんの方が怖かったのよ~エ~ン……、」
「亜衣音やり過ぎだろう。澪姉さんも飛ばすところだったぜ。」
「大丈夫よ、ちゃんと場所は判っていたわよ。」
「ウソ……よ、亜衣音ちゃん。」
「テヘッ!」
「亜衣音、澪姉さんと病院へ跳べ、後はこちらで捕縛しておく。それと、」
「うん警部に報告するよ待ってて大地。」
私はベッドの上の澪お姉さまの縄を解いて、抱き上げて風魔法を使ってクロに飛び乗った。
「キャッ!」
「もう~お姉さま。大丈夫ですよ、寝たふりしていてよ。」
「う~~ん、そうだけれどもね、怖いよ……。」
「クロ! 跳んで……病院よ!」
「ブヒヒ~ン!」
「キャ~~~~!!!」
カムイコロさんは池でボラを捕まえて喰らっているのが見えたのよね、
「ブヒヒ~ン!……ブリ!」
「そう、途中で敵に爆弾を落としてくれたのね、ありがとう。」
「ブヒ!」
「亜衣音……あり得ない、……亜衣・得ないわ。私は敵なのかい、ほらボラよ、」
私は構わずにクロごと病院のホールへ突入したから直ぐに大騒ぎになる。当然、襲撃防止用の警報ボタンは押されて警察がワンサかと出てきて、看護婦らは、
「うわ~~~!」
「きゃ~……。」x?
私は大声で、
「急いで先生を!……警部も呼んで……お父さんと家族も呼んで、急いで…………お願いします……。」
「わ! 亜衣音さんか、」
「はい姉をお願いします。」
「直ぐに処置室を手配する……搬送~……。」
「……あ、警部さん。お姉さんも見つけました。」
「でかした。」
「それと同級生も居ましたが、」
「もしかして? え、あ、あの馬術部の明神か、今朝から捜索願いが出されていたが見つけたのか!」
「はい、今は浜離宮恩賜庭園に居ます。ですから直ぐに救急車の手配をお願い、それと犯人は四人居ましたがもう捕縛済みですのでぶち込んで下さい。」
「亜衣音~、」
「さ、桜子お婆さま!!」
「良く澪を見つけてくれたね、ありがとう。うん、あり……。」
桜子お婆さまは声にならない、搬送される澪霧さんを見て……手を口に当て嗚咽してその場に腰を落としてしまった。桜子お婆さまを優しく抱き上げる智治お爺ちゃん。(嗚咽、声をつまらせて泣くこと。)
「亜衣音さん何とも無いのか! その、怪我とかは!」
「はいお爺ちゃん何もありませんよ。でも早く明子姉さんにも知らせて下さい。」
「ここは亜衣音さんが教えておやり、俺はこのズンダレ女房の介抱で動けないかな。明子さんも亜衣音ちゃんから聞けば喜ぶよ。」
「うん、そうするね。」
だが私は数名の看護婦さんから取り押さえられてしまった。それからナースステーションへ拉致されて、脱がされて、水で身体を拭かれて、入院用のパジャマを瞬時に着せられて……しまった。
「亜衣音さんは凄く臭いです、これでは病院内には入れる事が出来ません。お部屋の風呂が先ですよね。」
「はい、おつぼ……婦長さま!」
「ゴホン……貴女も言いますか!」
「す、すみません。」
それから騒がしく病室へ送られた。
「明子姉さん、澪お姉さまを助ける事が出来ました!」
「え!……亜衣音ちゃん~ありがとう~良く頑張ったね……。」
「うん、とても運が良かっただけだよ。」
「それに引き替え~ノータリンの警察が~、」
と、言って明子姉さんは付き添って来た婦警さんを睨み付けた。小さくなる婦警さんだったが、この婦警さんは直ぐに壁の穴に隠れてしまう。
私はお風呂に入って汚れを落としてベッドの上に据えられてしまう。
「業務命令ですので、拒否・逃走は一切合切許されません。」
「うぐぅ~。」
だが私はホールに逃げ出して大地たちを待っている、……大地まだなの?
二時間後位には全員が病院に到着したがお父さんはまだだった。遅れてホロお婆さまが着いて、
「みんな! 良かった~~……。」
「わ~亜衣音ちゃん、助けてくれてありがとう。」
「未来、攫われただなんて知らなかったわ、でも良かった~。」
「うんありがとう。」
「ぎゃ~亜衣音、私、わたしは殺される寸前だったのよ~、もう亜衣音がマリアさまに見えて来たわよ亜衣音~、エ~ン……、」
「藍ちゃん。後でゆっくりと事情を話してね、これからは私が守ってあげる。」
「グスン……うんお願いよ、もう本当にあの池に沈められる前だったのよ~、」
「だったら、未来もなの?」
「うん…………そうかもしれない。私もとても怖かったのよ~、エ~ン……、」
「ぅえ~ん……、」x2
「おう、よしよし……一緒にお風呂行こうか!」
「うん、大地くんもかな。」
「あれはいいのよ……三人で入ろうね。」
「……。」x2
「大地ありがとう。……カムちゃんもありがとうございます。」
「おう良かったな亜衣音。」
「俺も一緒に風呂入れさせろや。」
「ヤダ、大地を貸すから二人で入って、命の保証は無いけれどもね。」
「亜衣音ありがとうよ、好きにさせてもらうよ。」
そう言うなりカムイコロさんは大地を抱きかかえて患者専用の大きい浴場へと駆けて行った。
「亜衣音~助けろ~殺される~。」
この悲鳴は……どっちだろうか。あの二人を追撃する二つの影もあって、これでは三対一で大地は無残に散ってしまうのか!
私は惨めな姿の二人を宥める為に警部さんに時間を頂いた。私の病室へ行き裸の三人で入浴、芋の子状態になって笑って過ごした。怒り心頭の未来の両親も無事な娘を見て喜んでいて、だが藍ちゃんの心は沈んだままだった……。
杉田家は涙なみだの再会だった。でも澪お姉さまは集中治療室へ運ばれているからガラス越しの再会で、超音波で大きなお腹の検診を受けるお姉さまは笑顔で両親に応えていた。
澪お姉さまが病室へ運ばれた頃には杉田家もすっかり気分も落ち着いて会話が出来ていたと聞いたが、残念な事に旦那さまは仕方無しの遠征中でお留守、そう何時まででも休めるのは遠征が無い時だけなのだな。馬と騎士の組み合わせは決められているというのだから無理も無いだろうね。
「亜衣音ちゃん、徹さんは大丈夫よ。私の帰還を聞いてきっと優勝して帰宅するから待っていてね。」
「そうよね~だったら亀万をお強請りしようかな~。」
「あら、もっと良い物にしていいよ、今流行の洋服とか。こんな時でないと買えないよね。」
「そうだよね、楽しみだな~。」
私は藍と未来と別れたから直ぐにお母さんへ報告に行くんだ。
私は眠るお母さんの胸に顔を埋めて澪お姉さまの無事を報告していたら、保育室から双子が運ばれて来ていた。&明子お姉さんも。
「亜衣音ちゃん、お仕事よ。」
「え? 何がよ。」
「それは小百合ちゃんと水脈ちゃんよ授乳をお願いね。もう私の乳は萎んで出ないんだものね。」
「あ、あ、あぁ、そうだね、お乳だよね。」
私はバカだったか、いつもは朝がお母さんで私の担当は夕方の一回だけの授乳だから、他のお乳の時間は哺乳瓶だという事を考えきれていなかった。今、この時に授乳は要らないのよね。
「あ、そうそう、今日は小百合ちゃんと水脈ちゃんのおっぱいはまだなんだ!」
「え~、ウソよね。」
「ウフフ、 可愛いんだから!」
と、不適な笑みの明子姉さんだ。お父さんがようやく登場して涙で潤んだ潤めイワシの目をしていたな。お父さんは私が妹に授乳する私を見て、一瞬だが沙霧お母さんの姿に見えたと言って泣き出してしまう。んで大地はどんな目をしているかな、私は………忘れていた。
酷い目……だったか。
「うんうん、協力者の女の為の小さな犠牲かな。許して大地。」
藍ちゃんの証言により藍の父が指名手配になって、事の張本人という事らしいのだ。だからか、藍は私たちに大泣きして詫びて、謝って、また泣いてしまった。今までは薄らと考えていただけであったのが、いきなり藍の父からの指示で拉致されて殺されかけたから、事件の中心人物かと理解出来たと言っていた。
「藍ちゃん。かわいそうだね大地。」
「いや、この俺はどうなんだよ。」
「今晩、上書きしてあげるね!……だ~いち。」
私は大地にそう言って夜の誘いでベッドに誘った。大地は私に馬乗りになってあの女三人がどんだけ酷い事をしたのかと必死になって私に訴えて、泣いて私を苛めてくれた。もうあり得ない……。可愛い大地だな。
「もう大地、潰れてしまうよ、お乳が流れてしまうよ、きゃ~くすぐったいよ~勘弁して~……。」
「ヤダ!」
「ここって病室よね、横には明子姉さんが居て、お母さんも……聞いているよね……大地。」
「それがどうした、」
「うひゃ、いや、うひゃ、もう笑えない、息が出来ないよ、もう許して、お願いします。脇の下は弱いのよ~!」
「うひゃうひゃ」と、お母さんが笑っている……。え? 明子姉さんだよね、今笑ったのは。




